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弱おじの本棚

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読んだ本の記録です。
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#人生

ピンと張りすぎた心の弦を、優しく緩めてくれる一冊。〜「かすり傷も痛かった」を読みました〜

ピンと張りすぎた心の弦を、優しく緩めてくれる一冊。〜「かすり傷も痛かった」を読みました〜

箕輪厚介さんの「かすり傷も痛かった」を読んだ。

以前に出版された「死ぬこと以外かすり傷」に対するアンサー的な本で、心境の変化や生き方に対する考え方が大きく変わっていて、読んでいてとても面白かったし、共感できた。

そして何より、心が緩む一冊だなと感じた。
もちろん、良い意味で。

頑張れ。負けるな。もっとやれ。
成功のために書かれた意識の高い本なら山ほどあるが、本書のように「やっぱりあんまり無理

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窓から眺めていてもいいし、自分が生きたい方向に進んでみてもいい。〜「いのちの車窓から2」を読んで〜

窓から眺めていてもいいし、自分が生きたい方向に進んでみてもいい。〜「いのちの車窓から2」を読んで〜

星野源さんの「いのちの車窓から2」を読んだ。

前作のいのちの車窓からを読んでから、長い時間が経った。

人は変わる。
僕の考え方も、見えている景色も、あの時は大きく変わっている。

これからの人生をどう生きようか。

敷かれたレールをただ進んでいくだけの人生。

人生なんて決まっている?
運命ってものがあって、僕たちがどう行動したところで、起こる事象は何も変わらない。

そう諦めて生きてしまって

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登山とは人生であり、人生とは登山であり。「残照の頂」を読んで。

登山とは人生であり、人生とは登山であり。「残照の頂」を読んで。

湊かなえさんの「残照の頂」を読んだ。

登山と人生。
よく対比される二つ。

様々な思いを抱えながら、山を登る人々。
みんな色々ある。
そう思えるだけで、力強く、明日へと踏み出す力をもらえる。

登山の季節がやってくる。
一歩一歩、無心で歩みを進めていく。
山に登らずとも、皆が山を登っているのかもしれない。

登っていく自分を労っていこう。
他人を見下すのではなく、共に人生という山に挑む仲間として

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依存をしないために自立をしなきゃ。「盲目的な恋と友情」を読んで感じた人生の難しさ。

依存をしないために自立をしなきゃ。「盲目的な恋と友情」を読んで感じた人生の難しさ。

辻村深月さんの「盲目的な恋と友情」を読んだ。

他者への依存をテーマにした作品で、怖いな、と同時に、わかるな、と感じた。

人は弱い生き物だ。
自分に足りない部分を、何かで埋めなくては生きていけない。

だから酒を飲む。
ギャンブルにハマる。
タバコを吸い、時にはいけない薬なんかにも手を出す。
いわば、依存だ。

人への依存は、その最たるものかもしれない。
満たされない。認められたい。この世界に自

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人生と小説はマジ自由。「みどりいせき」を読んで感じたこと。

人生と小説はマジ自由。「みどりいせき」を読んで感じたこと。

大田ステファニー歓人さんの「みどりいせき」を読んだ。

お洒落。ポップ。
今風。

小説というお堅い存在に抵抗がある人は、騙されたと思って読んでみて欲しい。
こんな小説もありなんだと、表現は自由なのだと、きっと驚くはずだ。

人生を楽しむ。
ルールなどない。

物語の内容とか、それ以前の部分で強く感銘を受けた作品。

作者の生き様だとてもかっこいいです。
やりたいことやろう。
人生はまだまだ楽しめ

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複数の世界を持ち、半身で気楽に楽しむという人生のコツ。〜「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで〜

複数の世界を持ち、半身で気楽に楽しむという人生のコツ。〜「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで〜

三宅香帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んだ。

まず、本当に読んでよかったと感じている。
面白かったし、人生について考える良い機会を与えてくれた。

タイトルを見て、敬遠していた。
単なる読書術の本だろうと。

全く見当違いだった。
この本は読書だけじゃなく、「生きる」ということの本質であったり楽しみ方を提示してくれる素晴らしい本だ。

詳しくは読んでほしいので、自身に響いた部

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「もう明日が待っている」を読んで、「色々あるけど頑張ろう」と思えた話。

「もう明日が待っている」を読んで、「色々あるけど頑張ろう」と思えた話。

鈴木おさむさんの「もう明日が待っている」を読んだ。

率直な感想。
読んでよかった。

私自身、SMAPの熱烈なファンというわけではない。
昔からスマスマとかのバラエティはよく見てたなぁ、くらいの印象。

今回、この本を読んで、SMAPという存在を深く知ることができてよかったと思っている。
鈴木おさむさんとSMAPの関係性も知らなかったから、知らないところで色んなドラマがあるのだなと、改めて感じた

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「成瀬は信じた道をいく」を読んで、「やりたいこと、やろう」と思った話。

「成瀬は信じた道をいく」を読んで、「やりたいこと、やろう」と思った話。

宮島未来さんの「成瀬は信じた道をいく」を読んだ。

前作に続いて、登場人物たちの爽やかな姿に心を動かされ、生きる元気をもらえた。
今回の作品は主人公の周囲の人たちにスポットライトが当たる機会が多く、それもまた良いなと感じた。人と人とのつながりが美しい。

信じた道をいく。
改めて、やりたいことをやらなきゃなと、感じさせてくれた。
やりたいことをやらず、何が人生だ。

信じる対象は、自分の心の声だ。

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「令和元年の人生ゲーム」を読んで、「人生なんて所詮ゲームだよな」って心が軽くなった話。

「令和元年の人生ゲーム」を読んで、「人生なんて所詮ゲームだよな」って心が軽くなった話。

麻布競馬場さんの「令和元年の人生ゲーム」を読んだ。

若者たちが働き方や生き方に悩んだり考えたり、そんな姿を見て、自分の生きたいように生きなきゃなと思った。

自己実現。理想の自分。
私もいいおじさんだ。
何歳まで、そんな綺麗事を言っていていいのだろう?
いや、何歳だって、この問いから目を背けてはいけないのかもしれない。
いつかどうせ、壁にぶち当たる。

私の人生、これでいいの?
こんなはずじゃな

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「考える教室」を読んで「考える悦び」を学んだ話。

「考える教室」を読んで「考える悦び」を学んだ話。

若松英輔さんの「考える教室〜大人のための哲学入門」を読んだ。

まさに入門にぴったりの本で、数名の哲学者の紹介、そしてその考えをどう読み、どう思考を深めていけば良いのか道筋を照らしてくれている。

本を読むことは最高のエンタメだ。
だが、もっと楽しいことがある。
それは、本を読み、思考を深めるということ。

ゆっくりと一人で本を読み、著者との会話を通して、己の人生について深く思いを巡らす。
こんな

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「脳に良い行動を積み重ねれば、幸せに生きられんじゃね?」という考察。〜「脳科学で解く心の病」を読んで〜

「脳に良い行動を積み重ねれば、幸せに生きられんじゃね?」という考察。〜「脳科学で解く心の病」を読んで〜

カンデルさんの「脳科学で解く心の病」を読んだ。

心の病からアプローチして、脳の働きを説明してくれている本書。
内容は専門的で、正直ちゃんと理解ができているかは怪しい。

学んだことを端的に表すと、「心の状態を作るのは脳」だということ。
ならば、健全な精神状態を生み出すためには、脳の状態を健全に保つことだけに、まずは全振りしてみても良いのではないか?

具体的に。
脳に良い習慣として、私が行ってい

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「終わった人」を読んで「他人軸で生きないことの大切さ」を学んだ話。

「終わった人」を読んで「他人軸で生きないことの大切さ」を学んだ話。

内館牧子さんの「終わった人」を読んだ。

会社員を退職した後に、何をしてどう生きたら良いかわからず、人生に翻弄されるおじさんの姿を描いたお話。
めちゃくちゃリアルで、歳をとることが怖くもなった。

私たちは、日々の忙しさを良いことに、自分の価値観に向き合うことから逃げ続ける。
本当はどう生きたい?何がしたい?
やることがあれば、その課題と向き合うことから逃れられる。

だが、やがて誰しもが「終わる

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「仕事の辞め方」を読んで、「結局はご縁だよな」と思った話。

「仕事の辞め方」を読んで、「結局はご縁だよな」と思った話。

鈴木おさむさんの「仕事の辞め方」を読んだ。

私自身、今すぐに仕事を辞めたいと思っているわけではない。
だけど、将来に漠然とした不安や不満があるのは事実だ。
本当にこのまま生きていていいの?
この仕事を続けていって、本当に後悔しないの?

日々の忙しさをいいことに、私たちは自分の感情から目を逸らす。
やりたいことをやるなんて、若者の特権。
おじさんは我慢して、淡々と死ぬまで生きるだけ。
そんな人生

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「つまらない住宅地のすべての家」を読んで、「みんな色々あるよなという救い」を得た話。

「つまらない住宅地のすべての家」を読んで、「みんな色々あるよなという救い」を得た話。

津村記久子さんの「つまらない住宅地のすべての家」を読んだ。

ある住宅地に、逃亡犯が近づいているという情報が入る。
団結して対策する過程を描く中で、住人たちのそれぞれの生活や人生が少しずつあらわになっていく。

「みんな色々あるよな」と、思った。
そして、なぜだか救われた気持ちになった。

きっと、自分だけじゃないって安心できたからだと思う。
よかった。みんな真っ当に生きているフリして、実はちゃん

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