【休職】自分を認めるための「時間論」【道元禅師】
こんにちは、心理カウンセラーMOKUJIです。
メンタルヘルスでお悩みの方向けに、心が軽やかになる実践的な記事を書いています。
本日のテーマは
「病気の『今の自分』をどう捉えるか」
です。
・休職している今の自分はダメだ
・早く復職しないと社会人として自分を認めることができない
・とにかく今の苦しみから抜け出したい
このように休職している時に自分を認めることができずに苦しんでしまうことがあるかと思います。そんな時に、「少しでも自分を認めてあげるための考え方はないか」、と探し求めるのは無理もありません。かくいう私もそうでした。私が、そんな時に出会ったのが、道元というお坊さんの言葉です。もちろんメンタルヘルス改善のために書かれたものではありませんが、人生の真理を悟った偉いお坊さんの言葉は、心を病んだ現代人の心にも滲み入るものがあります。
🍀道元
日本に禅の思想を確立した一人。鎌倉時代初期の禅僧・道元(1200~1253)。曹洞宗の宗祖であり、主著「正法眼蔵」は、坐禅のマニュアルや心得として今も多くの人に読み継がれてる。
🍀道元の「時間のとらえ方」(時間論)
道元がその思想を書き残した大著「正法眼蔵」。 その巻頭の章「現成公案」に道元の時間論を感じとることができます。
「現成公案」には、「薪(焚き木)」と「灰」の話があります。普通私たちは、薪が燃えて灰になると考えます。だから薪と灰は連続していると捉える。ところが道元禅師は、そうは見ません。「薪はあくまでも薪であって、灰はあくまでも灰である」と考えます。
つまり下記のように説明できます。
過去/現在/未来という時の流れを一直線に結ぶことはできない。
また過去から現在を理由づけたり、未来を予想することもできない。
私たちは「現在」の連続の上に生きているだけである。
これを「休職」を例に考えてみましょう。
(1)休職前の元気だった自分(過去)→(2)休職中の病気の自分(現在)→(3)復職しているであろう元気な自分(未来)
道元の時間論からすると、このように考えることはできないというわけです。これは因果論に縛られた物の見方です。存在するのは「現在」だけです。だから休職している「現在」だけを見つめ、迷い、決断していくことが求められる。また、「見つめる」「迷う」「決断する」、これらのことができるのは「現在」においてだけです。過去や未来は存在しません。
だから「(1)休職前の元気だった自分(過去)」に戻ることが、「未来」の自分の姿では決してありません。またそうする必要はないし、戻ることもできないのです。
でもそうですよね。休職した間に、自分が感じたこと、経験したこと、苦しんだこと、それらを無くすことはできません。だから以前と全く同じ自分に戻るなんてことはあり得ない。
🍀道元の時間の捉え方から学べることは何か?
それは、「現在を生きる」ということだと思います。もっと意訳してしまうと、「現在を味わうことに集中すればいい」ということです。
・散歩をしているときの景色を思う存分ゆっくり味わえる
・子どもとの時間をゆっくりとることができる
・読書をする時間がたっぷりある
・内省することにより自分の人生を見つめ直すことができる
・新しい趣味を見つめることができる
・様々な価値観を持つ新しい人との出会いがある
こんな風に、休職しているからといって、全てがマイナスばかりではありません。むしろ、一度レールを外れた人にだけ許される時間の使い方も沢山あります。そういうものに向き合い、味わう。それが「現在を生きる」ということになるかと思います。
🍀「現在」を味わうためのワーク
日記やノートなどに、「休職している間に感じとれた良かったこと」をなんでもいいので箇条書きで書き出してみましょう。おそらく、そのどれもが休職してなければ味わえなかったことではないでしょうか?そしてそれを宝物のように大切にしてください。
本日は以上になります。
それでは、また。
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