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生を忘れるな 安冨歩著作書評集

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私が主催している「代読ダイアローグ」で読んだ安冨歩さんの著作の書評集です。 依頼主である長崎大学の技術員の野口大介さんのコメントも掲載しています。 私なりの視点でみた安冨さんの思…
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2022年1月の記事一覧

第12章 『老子の教え』の書評へコメント

第12章 『老子の教え』の書評へコメント

安冨歩『老子の教え あるがままに生きる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 ご感想を興味深く拝見し、ここ数日、「道」について、考えていました。「道」は言葉にして表すのが難しい概念です。「道」は「存在(Being)」であるという視点が、安冨先生の『老子』解釈の上で一貫した考え方であるということになります。宇宙が誕生する前は「無」でしたから、「存在」と

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第12章 『老子の教え』

第12章 『老子の教え』

『老子の教え』の書評文

 私は該当書籍と『超訳論語』のエッセンシャル版を読み、安富さんが東大で『論語』と『老子』をもとに講義を行った動画を視聴しました。

 
 安富さんが『老子』と『孔子』の間で連続していると考えている概念は「道」(Tao)と述べています。
 実は、「道」と云う概念は『論語』と『老子』に限らず、中国の思想の根幹を支える概念でもあります。
 安富さんは、『論語』と『老子』に注目さ

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第11章 『「れいわ一揆 製作ノート」の書評』へのコメント

第11章 『「れいわ一揆 製作ノート」の書評』へのコメント

原一男+風狂映画舎(編著)『れいわ一揆 制作ノート』(恒星社)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 三原じゅん子さんについて語られた「ファイヤーラジオ」を視聴しました。確かに、三原さんに関し、知らないことばかりであったとわかりました。以前の一月万冊で、NTT接待問題と自民党総裁選の時期に(三原さんと同じ自民党議員の)高市早苗さんが取りあげられ、そのウルトラ右翼ぶりが強く印象に残っていた

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第11章 『れいわ一揆 製作ノート』

第11章 『れいわ一揆 製作ノート』

『れいわ一揆 制作ノート』(皓星社、2020)の書評文

 該当書籍は、単に安冨歩さんやれいわ新選組の本とは云えない内容となっています。映画「れいわ一揆」もそうなのですが、非常に入り組んだ構造となっています。本書の前半の頁は、山本太郎さんを除く2019年の参院選に立候補した人たちの生インタビューが掲載されています。読んでいて気づくのは、一人ひとり背負っている背景がまったく異なると云うことです。当然

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第10章『「経済学の船出」の書評』へのコメント

第10章『「経済学の船出」の書評』へのコメント

安冨歩『経済学の船出——創発の海へ』(一月万冊)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 『専門分野を持たないで研究する方法』という、2006年公刊の安冨先生の論文があります。

 この中に、

とあります。斬新かつ興味深いです。なるほど、一月万冊による『複雑さを生きる』や、『経済学の船出』の復刊は、そういう考えに基づく「プロジェクト」であったか、と思い至りました。

 本書『経済学の船出

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第10章 『経済学の船出』

第10章 『経済学の船出』

『経済学の船出』(一月万冊、2021)の書評文

 該当書籍は私が今まで読んだ安冨さんの著作の中で一番、内容が入り組んでいました。他の著作も十分濃く、一章だけで一冊の本が書けるのは相変わらずなのですが、該当書籍はそれが一段と強いと云えます。分量が他の著作と比べて圧倒的に多いので無理もないのですが。一月万冊が特典動画をつけた理由がわかります。該当書籍の実践版が『生きる技法』と『あなたが生きづらいのは

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