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ノンフィクションのブックレビュー

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ダンスや舞踊以外がテーマのノンフィクションの本のレビューです。
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#身体

『「わざ」から知る(コレクション認知科学)』生田久美子著:伝統芸能から考える、身体や生活の中での学びと教育

『「わざ」から知る(コレクション認知科学)』生田久美子著:伝統芸能から考える、身体や生活の中での学びと教育

熟練の職人の動きを機械に覚えさせて物を作る場合、人と機械が作る物は同じになるのか?
微妙な差は?「精神」は?
→p. 195

p. 15
華道の根本の形式は「天」「地」「人」。

pp. 16-17
伝統芸能の習得、段階、目的は、学校教育のそれとは異なる。
行っていること自体に段階が設定されているのではなく、学ぶ者がそれぞれ目的を見いだして行っている。

p. 17
わざを伝授する者が評価を下す

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『日本人の身体』安田登著:境界が曖昧な、人や自然とのつながり

『日本人の身体』安田登著:境界が曖昧な、人や自然とのつながり

本の紹介文より:「本来おおざっぱで曖昧であったがゆえに、他人や自然と共鳴できていた日本人の身体観を、古今東西の文献を検証しつつ振り返り、現代の窮屈な身体観から解き放つ。」

内容の箇条書きメモ。

病名を付ける(ネーミング)ことで、個別の身体が忘れられてしまう。(8-9ページ)

身体を意識するのは、病気になったりけがをしたりしたときだ。(44ページ)

能は、死者の声を聞く芸能である。 死者に一

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『身体感覚で『論語』を読みなおす。』安田登著:「人間らしい」孔子の姿

『身体感覚で『論語』を読みなおす。』安田登著:「人間らしい」孔子の姿

能楽師などさまざまな分野で活躍する著者が、孔子の思想を、小難しい学問としてではなく、身体で近づいていくものとして表現した本。

『論語』にはほぼ何の興味もなかったが、人間が生きることに直結したものだったのかなと思い、少し読みたくなった。

『手の倫理』伊藤亜紗著:介助やスポーツから「触覚」を考察する本

『手の倫理』伊藤亜紗著:介助やスポーツから「触覚」を考察する本

「触覚」について美学者が考察した本。研究者も一般の人も読めるように書かれている。

キーワードは、「ふれる」と「さわる」、「道徳」と「倫理」、介助・介護、スポーツ、コミュニケーション・伝達、信頼、共鳴、不埒など。

体育の授業が目指すのは、他人の体に失礼ではない仕方でふれる技術を身に付けること、と聞いて、著者の伊藤は感銘を受けたという(p. 24)。私は、そのように考える体育科教育学の研究者がいる

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伊藤亜紗『記憶する体』:障害や病気のある人が編み出した知恵とは

伊藤亜紗『記憶する体』:障害や病気のある人が編み出した知恵とは

伊藤亜紗著『記憶する体』は、それぞれ異なる障害や病気のある人たちが試行錯誤や創意工夫を経て身に付けた、身体の「ローカル・ルール」を、インタビューから浮かび上がらせた本。

■p. 46
「ものを作るという作業をしていくと、自分が何を求めているのか、何を知りたいのか、ということの基盤が、・・・具体化していくんです」

全盲になってからも、メモを取る人の言葉。書くことで、思考が整理される。絵も描く。手

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