マガジンのカバー画像

建築家、音楽を語る。

19
建築家による音楽エッセイです。
運営しているクリエイター

#芸術

【紅白歌合戦2024】人類文化の終焉に立ち会う。

【紅白歌合戦2024】人類文化の終焉に立ち会う。

まずはとりあえず、
2024年の紅白出場歌手の一人「tuki.」という方について調べてみた。

16才とのことだ。

全てが想像の範疇に収まり、
何一つ新しいものの無い人工的でキッチュな「プロダクト」であった。

え?16才なんだから、もう少し新しいもの無いの?

と思ったが、無いみたい。

今の16才って辛そうだなあ。

基本的に16才は辛いのがデフォルトだが、
「衰退的な辛さ」をこの方の音楽か

もっとみる
【巨匠の晩年最高!論】黒澤明、ジャイアント馬場、志ん生、マイルス、ローリングストーンズ。

【巨匠の晩年最高!論】黒澤明、ジャイアント馬場、志ん生、マイルス、ローリングストーンズ。

私はいまだ何歳になっても「次の試合」への準備を行っている。

やはりずっと「現役選手」をやってないと生きていけない体質、というものがある。

人生という競技の現役選手である。

この世界でたった一人でも、私に「期待」している方が居る限り私は現役選手で居続けたい、という願望を持っている。

「続ける」ことが重要なのだ。

その願望の元を辿って行くと、
「巨匠晩年最高!」という世界へとたどり着く。

もっとみる
【時代ガチャ】 今日は「Ado」について勉強した。

【時代ガチャ】 今日は「Ado」について勉強した。

今日は「Ado」という方について調べてみた。

ライブの様子をいくつか拝見した。

私の数少ない知識を導入すると、
例えば新海誠監督の映画と同じなんだな、コレは(他の類似事案は知らないし、立ち入る気もない)。

ライトでプラスティックな感動、

強い現実逃避性、強迫観念的な共感性、

潤沢な予算で煌びやかに細部まで作り込んだ果てのチープネス、

そのチープネスをパッケージする強刺激性、

これらと

もっとみる
映画『ELVIS』~エルビスとHIP-HOPとエミネムと。

映画『ELVIS』~エルビスとHIP-HOPとエミネムと。

※公開当時に書かれたテキストです。

突然エルビス・ブームがやって来た。

映画の帰りの車の中でエルビス流してたら涙が止まらなくて大変だった。

さて、
この映画の素晴らしさは、「歴史軸」がキッチリと定まっている点である。

貧乏で黒人街の中の白人街区で育ったストーリーはエミネムをすぐに連想させる。

教会の啓示のシーンはブルース・ブラザース。

南部保守白人に囲まれた中で挑発的なパフォーマンスを

もっとみる
【アイドル新歴史学】 ①アイドルの誕生。

【アイドル新歴史学】 ①アイドルの誕生。

一般的に、日本における「アイドル」の始祖は南沙織と言われている。

大阪で万博が開かれた年、彼女はアメリカの占領下の沖縄の地からパスポートを片手に「日本」へやって来た。
「アイドルの始祖」が「外地」から渡来してきていることは大変興味深い。
仏教伝来〜「和様化」の再現なのである。

彼女のデビュー曲の作曲はもちろん「天才DJ」筒美京平。
筒美京平は、外来文化としての洋楽を「和様化(リミックス)」する

もっとみる
【アイドル新歴史学】 ②アイドル・ルネサンス。

【アイドル新歴史学】 ②アイドル・ルネサンス。

1970年代に音楽雑誌『ミュージックマガジン』誌上で「日本語ロック論争」というものが勃発した。
簡単に言えば「ロックは英語で歌われるべきか、あるいは日本語で歌ってもロックになるのか?」というテーマであった。

現在の「日本のロック」と呼ばれるものは、かの時代の「論争」を経て確立していったものなのである。

「ロック」という外来文化に対して「元の形式を崩さない」のか、
あるいは「和様化して取り込む」

もっとみる
【アイドル新歴史学】 ③第二次アイドル・ルネサンス。

【アイドル新歴史学】 ③第二次アイドル・ルネサンス。

1980年代前半~半ばに起こった「第一次アイドル・ルネサンス」とは、
1970年代初頭から1970年代半ばにかけて興隆した南沙織、天地真理、浅田美代子の「古典」に対して、
1980年代初頭から1980年代半ばに、松田聖子を筆頭に、中森明菜、小泉今日子、早見優、石川秀美、堀ちえみ、松本伊代から菊地桃子まで、百花繚乱のアイドル再興の時代が到来した時代を指す。

そしてその後、1990年代半ばから200

もっとみる
【私のモーニング娘。】 石田亜佑美卒業発表に添えて。

【私のモーニング娘。】 石田亜佑美卒業発表に添えて。

モーニング娘。’24、石田亜佑美メンバーが卒業を発表した。

私は最近はずっと「早く後進に道を開けろ!」と思っていたのだが(失敬!笑)、
いざ卒業発表のニュースを聞いたら大きな喪失感が湧いて来た。

そして、その喪失感の源へと遡ってみた。

「私のモーニング娘。」は「2013年」であった。

この年の夏に発表された『わがまま気のまま愛のジョーク』、
そして『愛の軍団』に私は激しいショックを受けた。

もっとみる
【Juice=Juice沖縄公演】 過去と未来、現在?

【Juice=Juice沖縄公演】 過去と未来、現在?

まず初めに、
私ハロープロジェクトを「純粋なる音楽エンターテイメント」として愛でている。
例えば、マイルス、JB、ジェフ・ミルズの並びに置いているのだ。

その意味で、Juice =Juiceの登場は衝撃的であった。

まずそのデビューにおいて、何と、温存していた宮本佳林ではなく、「ジョーカー」大塚愛菜で勝負に出たのである。

べらんめえ調で切れ味鋭いリズムの大塚愛菜は、あたかもセックス・ピストル

もっとみる
ある日突然、ザ・ビートルズについて考えてみた。「ロックとリアル・ファイト」

ある日突然、ザ・ビートルズについて考えてみた。「ロックとリアル・ファイト」

ザ・ビートルズ。

勿論キライでは無いが、ザ・フーやローリング・ストーンズほどには私の心に響いてこない。
ノスタルジーは確かに感じるのだが、、、。

何故だろうか?

突然、考えてみた。

恐らくその理由は、
1966年を最後にライブ活動を止めたことにある、
という仮説に至った。

初期の楽曲におけるツンのめる様なガレージ・パンキッシュなドライブ感は今でも心沸き立つ。
さて、ここからもう一段鍛え上

もっとみる