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発達障害

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ASD/ADHDといった発達障害や発達特性(いわゆるグレーゾーン)を持つ方の「生きづらさ」と、「生きやすく」なるためのヒントを書いてます、
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学歴に潜む生きづらさ

学歴に潜む生きづらさ

今日は神経発達症(ASD/ADHD)の方のWAIS(ウェイス:知能検査)に関して、最近続けて見かけたとある共通点についてお伝えしていこうと思います。

※WAISは発達障害かどうかが分かる検査ではありません。検査の詳しい内容については過去の記事にも書かせていただきましたので、ご存知ない方はそちらも良ければご覧ください。
※事例紹介は個人が特定されないよう、主旨がずれない範囲で情報を変更、限定させて

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私が医学生時代に陥った相対的境界知能とは

私が医学生時代に陥った相対的境界知能とは

ご訪問ありがとうございます。

今回は境界知能について書いてみたいと思います。最後までお付き合いいただければと思います。

一見普通に見える「境界知能」

境界知能をご存知でしょうか?

だいぶ知られるところとなりましたが、境界知能とはIQ70-84に該当する方たちを指します。

仕事が上手くいかず何度も転職を繰り返している、人より物覚えが悪く作業スピードが遅い、

家事や仕事が時間内に終わらずよ

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発達特性を持つ子が結婚式の余興に臨んだ話

発達特性を持つ子が結婚式の余興に臨んだ話

ご訪問ありがとうございます。

今回は発達特性を持つ、小学校低学年のAくんが結婚式の余興に臨んだ際のお話をしたいと思います。

活発?多動?HSP?なAくん

Aくんは、普段元気いっぱいの男の子です。外で遊ぶのが大好きで、運動神経も良く、同級生からの人気もあり友達もたくさんいます。

通知表を見てみても、基本的には「元気で活発」「好奇心旺盛」と良い面が並びます。

一方で、教室で走り回ったり、皆と

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発達障がいオススメ本1冊

発達障がいオススメ本1冊

ご訪問ありがとうございます。

発達障がい~オススメの本1冊を紹介~

先日久しぶりにジュンク堂に立ち寄った際、発達障がい関連の書籍があまりに多くて驚きました。

実際にはさらに写真の本棚が6つほど、上から下までビッシリ発達障がい。

どの本を読めばいいのか、どの本が正しい知識、役に立つライフハックが書いてあるのか、2時間ほど吟味して選んだのがこの一冊。

少し値は張りますが、今年読んだ発達障がい

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失感情症って多分こういうこと〜ASDとの関連も〜

失感情症って多分こういうこと〜ASDとの関連も〜

ご訪問ありがとうございます。

今回は「失感情症」について書いてみたいと思います。

私自身もよく分かっていないのかもしれませんが、
その分読者の皆さまと同じ目線に立ってお伝えできればと思います。

失感情症〜アレキシサイミアとは〜

失感情症、別名「アレキシサイミア」のほうが馴染みがあるかもしれません。

実に10人に1人はこの失感情症と呼ばれる状態とも言われており、決して他人事ではありません。

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ADHD連鎖と毒親連鎖

ADHD連鎖と毒親連鎖

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
ご訪問ありがとうございます。

今回は「ADHD連鎖」と「毒親連鎖」というテーマで書いていきたいと思います。

精神疾患を抱える方の妊娠/出産事情

精神疾患を抱える方の妊娠出産に関しては、
どうしても慎重にならざるを得ません。

その理由は、大きくは2つあると思っていて、

1つは「今の薬をそのまま飲んでいて胎児に影響は出ないのだろうか?」という薬の問題、

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夫婦間のカサンドラ症候群について〜本当に発達障害が原因なのか

夫婦間のカサンドラ症候群について〜本当に発達障害が原因なのか

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
ご訪問いただきありがとうございます。

今回は久しぶりにカサンドラ症候群について書いてみたいと思います。

カサンドラ症候群とは

カサンドラ症候群とは、

「自身のパートナーや家族がASD(自閉スペクトラム症)で、情緒的交流やコミュニケーション、関係構築がうまくいかずストレスを溜め込み、心身の不調をきたしてしまうこと」

を言います。

特に、夫が「ASD」

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「認知症」と「高齢者の発達障害」

「認知症」と「高齢者の発達障害」

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
ご訪問ありがとうございます。

今回は「認知症」と「高齢者の発達障害」、
一見するとあまり関連がなさそうな2つに関して
書いていこうと思います。

やや暴論になるかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。

認知症が原因で入院になる方

認知症が原因で入院になる方がいます。

認知症の入院者数に関して、統計的には意外にもH26→H29年は7.7万人と横ば

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過剰適応が招く不適応〜大仰型ASDについて

過剰適応が招く不適応〜大仰型ASDについて

ASDのタイプと特徴

ASD(自閉スペクトラム症、いわゆる発達障害)には5つのタイプがあります。積極奇異型、受動型、孤立型、それに尊大型、大仰型です。

前者3つ(積極奇異、受動、孤立)はASDの
本質的な特性(社会性の障害、コミュニケーションの障害、こだわり:ウィングの三つ組)
がそのまま表に出ているようなタイプ、

対して後者2つ(尊大、大仰)は本来のASDの特性に他の要素を重ねたタイプのA

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発達障害の方がアドリブが効かないワケ

発達障害の方がアドリブが効かないワケ

咄嗟に気の利いた返しができない

「あの時こう言っておけば良かった」

上司や友人、あるいは職場の会議などで、その場では咄嗟に良い考えや気の利いた言葉が浮かばず、

後になってから徐々に理解が追い付き、良いアイデアや言葉を思いつき後悔する、、

パッと言葉が出てこない、いわゆる
「アドリブが効かない」「会話の瞬発力がない」、

誰しもがそういった経験があるかとは思いますが、こと発達障害の方は往々に

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発達特性を持つ方が30年以上続けている仕事

発達特性を持つ方が30年以上続けている仕事

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。

今回は、発達特性を持つある患者さんが30年以上続けている仕事、と題してお伝えしていきたいと思います。

50代の女性Aさん、旦那さんに連れられ初めて精神科を受診されました。

受診の直接のキッカケは夫婦関係の悪化と、
「離婚するために行った」とある軽犯罪行為(詳細は伏せます)でした。夫への当てつけにしては奇妙

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ASDの方と話す際に一番に配慮したいこと~私の失敗談から

ASDの方と話す際に一番に配慮したいこと~私の失敗談から

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
※2分で読めます。

普段ASDの方と関わる機会をお持ちの方も少なくないかと思います。お子様や友人、家族や職場の同僚、あるいはご自身がASDという方もいるかと思います。 ※ASD:自閉スペクトラム症

ASDを公言している方もいれば、「あの人ASDかも」という人まで、周囲に思い当たる方がいるかと思います。一昔前

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発達障害は不器用なのか〜疲れやすさとの関連も

発達障害は不器用なのか〜疲れやすさとの関連も

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。
※3分で読めます。

発達障害の方で、字が上手く書けなかったり車の運転が苦手だったり、あるいは家事や料理が要領よく出来なかったり、姿勢保持がうまくいかない、といった方が少なくないかと思います。

発達障害(神経発達症)といえば、ASD、ADHD、LD(学習障害)の3つがもはや定番ですが、

先日、DCDという精

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ASDの方の無職率80%は本当なのか調べてみた

ASDの方の無職率80%は本当なのか調べてみた

こんにちは精神科医のはぐりんです。
※この投稿は3.4分で読めます、最後までご覧いただけたら嬉しいです。

今回はSNSで、ASDの方の無職率が8割、というかなり衝撃的な情報を目にしたので、私なりに調べ考察してみました。

調べてみると、2019年のアメリカの就労支援に関するコラムの中で、『世界全体で推定7000万人とも言われるASDを抱える人々のうち、約8割が無職もしくは著しく能力以下の仕事に従

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