精神科医はぐりん

精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 精神科専門医/精神保健指定医 /産業医/現代ビジネス執筆

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マガジン

  • 発達障害

    ASD/ADHDといった発達障害や発達特性(いわゆるグレーゾーン)を持つ方の「生きづらさ」と、「生きやすく」なるためのヒントを書いてます、

  • 気分障害(うつ病、双極性障害)

  • トラウマ、PTSD、多重人格

    トラウマや多重人格、PTSDについて書いています。

  • 愛着障害

    愛着障害について、書いています。

  • 精神科医療制度

    精神科医療について、過去からの変遷や現在について、強制入院や身体拘束に関する精神保健福祉法についてかいています。

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自己紹介(R6.5月.更新)

※2023年9月記載→2024年5月更新 はじめまして。精神科医のはぐりんと言います。 このブログでは、 ・精神科医のリアルな日常とホンネ ・読んでいただいた方の日常に 「少し」お役立てできるような情報 をお届けしています。 私がnoteを始めた当初(2023年9月)のきっかけですが、日々精神科病院で勤務している中で、 以前に比べれば敷居は低くはなったものの、まだまだ精神科への受診や治療へのハードルが高く、 一般の方々に精神科のことが広まっていないと感じている

    • 【論文紹介】双極性障害~見直されるべき太古の薬~

      ご訪問ありがとうございます。 今日は、双極性障害の薬物治療に関する最新の論文を、私個人の見解も交えてお伝えしていきます。やや専門的な内容にはなりますが、ご容赦下さい。 薬ごとの再発入院(躁、うつ)と副作用入院を調べた論文 今回ご紹介する論文はフィンランド発です。6万人(!)もの双極性障害の患者さんで、薬物治療を継続している方を対象としたもの。 平均約8年フォローし、その間に「精神科入院」と「非精神科入院」になった方を調べたものです。 「精神科入院」とは、うつ状態や躁

      • スキャンダル報道が及ぼした思わぬ影響

        ご訪問ありがとうございます。 先日大きな波紋を呼んだ、国民民主党の玉木雄一郎代表のスキャンダル。 私自身あまり関心はなかったのですが、連日の報道でどうしても目に留まってしまいます。また私の周囲でも少し興味深い波及効果(?)があったので、今回はそれについてお話しようと思います。 ※最近時事ネタが多いではありますが、それだけ社会とメンタルヘルスは切り離せないものなのだと考えています。 高齢者の嫉妬妄想 スキャンダル記事が週刊誌ですっぱ抜かれたのが11月11日。衆議院選挙

        • 今の自分を大切にするマインドセット

          ご訪問ありがとうございます。 今回は、今の自分を大切にするマインドセット、と題して書いてみたいと思います。 iphoneのメモリー機能 iphoneのメモリー機能をご存知でしょうか? 「~なひととき」「~への旅行」といったテーマごとに、過去の写真を自動で選別して、動画で連続再生してくれる機能です。 私もたまに見るのですが、なんだか懐かしく、旅行写真などは非現実感も相まって一層楽しそうに見えるし、被写体は自分を含めてみんな若いし、エモいBGMなんかも流れていたりして、

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        自己紹介(R6.5月.更新)

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        • 発達障害
          30本
        • 気分障害(うつ病、双極性障害)
          5本
        • トラウマ、PTSD、多重人格
          5本
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          7本
        • 精神科医療制度
          9本
        • メンタルヘルス全般
          22本

        記事

          発達障がいオススメ本1冊

          ご訪問ありがとうございます。 発達障がい~オススメの本1冊を紹介~ 先日久しぶりにジュンク堂に立ち寄った際、発達障がい関連の書籍があまりに多くて驚きました。 実際にはさらに写真の本棚が6つほど、上から下までビッシリ発達障がい。 どの本を読めばいいのか、どの本が正しい知識、役に立つライフハックが書いてあるのか、2時間ほど吟味して選んだのがこの一冊。 少し値は張りますが、今年読んだ発達障がい関連の本では、個人的には一番の良著でした。そう思った理由をいくつか書いてみたいと

          発達障がいオススメ本1冊

          テレビ局の炎上動画を見て思ったこと

          ご訪問ありがとうございます。 今回は、最近炎上したフジテレビアナウンサー陣の動画を見て感じたことを書いてみたいと思います。 動画の内容と感想 ご覧になった方も多いかと思いますが、内容的には新人アナウンサーの容姿を先輩アナウンサーたちがイジるというもの。 公式Youtubeの制作側としては、和気あいあいとした雰囲気をアップしたつもりが、それを見た視聴者からは「イジメではないか」と大炎上しています。 私もこの動画を見ましたが、イジリを超えて不快に感じました。話している内

          テレビ局の炎上動画を見て思ったこと

          職場でのマスク解禁に思うこと

          ご訪問ありがとうございます。 今回は、私の職場でマスクが解禁になった際に感じた違和感について書いてみたいと思います。 「マスク任意」に対する職場の反応 ある朝病院に出勤した際、「マスクは任意」と突然発表されました。 「医療関係者はマスクを一生外せない」と言う人もいましたから、マスク解禁は寝耳に水で、聞いた当初は解放感よりも戸惑いの方が大きかったのが正直なところでした。 病院でのマスク着脱には賛否あるかと思います。 総合病院など不特定多数の人の往来が激しく、年がら年

          職場でのマスク解禁に思うこと

          院内のviolenceについて〜見過ごされがちなキズ〜

          ご訪問ありがとうございます。今回は精神科病院における暴力の問題について。内容的にもheavyになりますので、今現在調子がすぐれない方は、折角ですが読むのをお控えいただければと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 精神科病院と暴力の問題は、切っても切り離せない、古今東西抱える大きな問題と言えます。しかし世間一般の方々にまで実態はそこまで知られておらず、ある種ブラックボックス化しているようにも感じます。 精神科病院での暴力と聞いてどういったことが思い浮

          院内のviolenceについて〜見過ごされがちなキズ〜

          これから精神科の受診を考えている方へ

          ご訪問ありがとうございます。 今回は、これから精神科の受診を考えている、迷っている方へお伝えしたいこと、を書いていきたいと思います。 些細なことで受診してもいい 精神科を受診されるキッカケは、人それぞれ様々です。元気がでない、眠れない、発達障害ではないか、認知症ではないか‥etc 中には、恋人に振られて苦しいから、という理由で来院される方もいます。 失恋って精神病なの?と思われるかもしれませんが、日常生活を送れないほどの悲嘆に暮れている方の場合は十分に治療的介入が必

          これから精神科の受診を考えている方へ

          発達特性を持つ子が結婚式の余興に臨んだ話

          ご訪問ありがとうございます。 今回は発達特性を持つ、小学校低学年のAくんが結婚式の余興に臨んだ際のお話をしたいと思います。 活発?多動?HSP?なAくん Aくんは、普段元気いっぱいの男の子です。外で遊ぶのが大好きで、運動神経も良く、同級生からの人気もあり友達もたくさんいます。 通知表を見てみても、基本的には「元気で活発」「好奇心旺盛」と良い面が並びます。 一方で、教室で走り回ったり、皆とふざけて違う方向へ盛り上がってしまうこともあるようです。忘れ物も多いと書かれてい

          発達特性を持つ子が結婚式の余興に臨んだ話

          私が医学生時代に陥った相対的境界知能とは

          ご訪問ありがとうございます。 今回は境界知能について書いてみたいと思います。最後までお付き合いいただければと思います。 一見普通に見える「境界知能」 境界知能をご存知でしょうか? だいぶ知られるところとなりましたが、境界知能とはIQ70-84に該当する方たちを指します。 仕事が上手くいかず何度も転職を繰り返している、人より物覚えが悪く作業スピードが遅い、 家事や仕事が時間内に終わらずよく叱られたり、 同僚や家族との人間関係がうまくいかない、 そう言った方に知能検

          私が医学生時代に陥った相対的境界知能とは

          相手を不快にさせないアサーティブな回答法

          不安対象を避け続けるのは望ましくない 皆さまはプレゼン、会議など不特定多数の人前で話すことは得意でしょうか? おそらく日本人で得意という方は少ないかと思います。 私も大の苦手です。 ただ苦手だからと言って避けてばかりなのは望ましくありません。 不安症やパニック症もそうですが、不安対象を避け続けるのは良くないとされています。 積極的に、とは言いませんが、無理なくスモールステップで、できそうなことにはチャレンジするのが良いでしょう。 実際に遭遇した会議の場面 今回

          相手を不快にさせないアサーティブな回答法

          現代に生きる私たちは視覚情報にさらされ過ぎている

          身近なものが引き起こす「錯視」 突然ですが、下図↓の模様、 どこかで見覚えがありませんでしょうか? ピンと来た方も多いかとおもいますが、天井の模様です。 オフィスやスーパー、ありとあらゆる所で見かけますよね。トラバーチン模様と呼ばれているらしく、石灰石を基に作られているそうです。 表面が凸凹しているため吸音性にも優れ、耐熱性もあり、かつ安価だそうです。 病院でも広く使われており、 私が勤務している病院の天井にも、 この「トラバーチン模様」が使われています。 ある

          現代に生きる私たちは視覚情報にさらされ過ぎている

          OD患者を立て続けに診て思ったこと

          昨今のODはうつだけが原因じゃない 今も昔も自殺企図行為によく用いられる手段に、 過量服薬(Over Dose、以下OD)があります。 最近立て続けにODの患者さんを診察する機会がありました。 たまたま重なったのか、季節の変わり目/気候の影響からなのか、新学期シーズンだからなのか、原因はよくわからないのですが、兎に角多いです。 男性も少なくはないですが、やはり女性に多いと言えます(今回は主に女性のODに関して)。 診断名だけ見るとうつ病や適応障害、アルコールが原因で

          OD患者を立て続けに診て思ったこと

          ドラマ『精神科医ヨワイ』に見る日本の精神医療ー現状と課題

          精神医療の魅力が詰まったドラマ NHKドラマ「shrink〜精神科医ヨワイ〜」をご覧になった方はおられるでしょうか? 最終話までの全3話、各話とも濃密で、視聴者を強く惹きつける、医療ドラマ兼ヒューマンドラマでした。 これまでの医療ドラマというと、天才外科医が躍動し難しい手術を成功させたり、 あるいは緊迫した救急医療の現場を再現したりといった内容が主でしたが、 shrinkでは精神医療という、これまであまり扱われたことのなかった分野が舞台となり、 精神科医のヨワイ先

          ドラマ『精神科医ヨワイ』に見る日本の精神医療ー現状と課題

          「認知症の薬」は飲む必要があるのか?

          今回はフォロワーさまから頂いたリクエスト、 「認知症の薬」について書かせていただこうと思います。 認知症なのに「認知症の薬」は必要ない!? 昨今、「認知症」が原因で入院になる方が増えてきており、それにも伴い「認知症病棟」と呼ばれる、 認知症の患者さんに特化した病棟が、全国各地の病院で増えてきています。 私が勤めている病院にも「認知症病棟」があります。 さて、この認知症病棟に入院している患者さんのうち、「認知症の薬」を飲んでいる方の割合はどれくらいだと思いますか?

          「認知症の薬」は飲む必要があるのか?