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ADHD連鎖と毒親連鎖


こんにちは、精神科医のはぐりんです。
ご訪問ありがとうございます。

今回は「ADHD連鎖」と「毒親連鎖」というテーマで書いていきたいと思います。

精神疾患を抱える方の妊娠/出産事情


精神疾患を抱える方の妊娠出産に関しては、
どうしても慎重にならざるを得ません。

その理由は、大きくは2つあると思っていて、

1つは「今の薬をそのまま飲んでいて胎児に影響は出ないのだろうか?」というの問題、

もう1つは「この患者さんは子供を育てることができるのだろうか?」という養育能力/養育環境の問題。

そういったことは私が伝えるまでもなく、
患者さん自身が把握され心配される方も多く、

実際に
「私は結婚して子供を産むことができるのでしょうか?」と直接聞かれることもよくあります。

そういった質問にどう答えるかはケースバイケースではありますが、

基本的には、

『子供を産むか産まないかは患者さん自身の権利であり、私が決めることではない』

というのを大前提にお答えしています。

感覚的には、統合失調症の方でもお子さんに恵まれ、幸せな家庭生活を送っている方も珍しくなく、

中には4人のお子さんがいらして、皆それぞれ独立し立派に就職されているような方もいます。

出産後の見通しが立たないままの妊娠


一方で、「実は妊娠しまして‥‥」

と、ある日外来で突然打ち明けられ、今後の経過について頭を悩ませるケースも少なくありません。

そういった方は、ADHD躁うつ病ASDの方に多いような印象があります。

計画性がなく、流れに任せて妊娠してしまったという方も多いです。

上述のように突然の妊娠報告を受け、
養育環境について色々と伺っていくと、

育児の1番のパートナーであるはずの父親が、
元彼であったり誰かわからなかったり、、要は出産前からワンオペ育児が確定していたりします。

そうでなくとも、パートナーがいわゆる弱者男性と呼ばれる方だったりします。

さらには養育に際して(母親の)両親の手を借りることができる状況なのかを伺うと、

関係性が良くないばかりか、仲違いして実家を離れ遠方に住んでいる方も多く、到底助けを借りることができないような状況だったりします。

出会い~妊娠〜育児環境にまで及ぶ「ADHD連鎖」


パートナーとの出会い方や関係性、妊娠に至るまでの経緯、両親との衝突とそれに伴う遠方への転居、

こういった一連のことは、ADHDの衝動性計画性のない場当たり的な言動といった特性ですべて説明がつきます。

妊娠を打ち明けられ、出産後の福祉サービス(ヘルパーやファミサポなど)を手配し、何より虐待やネグレクトといったことがないよう環境を整えます。

出産後しばらくはそれでうまくいったとしても、いずれは経済的な面で復職する必要性が出てくるし、

その傍らで育児をしたり、中には子供も発達障害で手がかかったり癇癪を起こしたり、文字どおり
発達特性が連鎖するケースも少なくありません。

母⇔本人⇔子供の「毒親連鎖」


ADHDの方は、小さなことは気にかけなかったり、嫌なことがあっても引きずらなかったり、傍から見るとどこか憎めないところがあったりします。

元々は愛嬌があって子供に愛情を注げるような母親でも、上述したような、出会い~妊娠〜育児環境のADHD連鎖にハマってしまうと、

いずれ子育てに余裕がなくなり子供に辛く当たってしまい、結果的に子供から見ると毒親たり得てしまうのです。

元を辿ると、将来の見通しが立たないままの妊娠や、あるいは両親の元を勢い離れてしまったことが
始まりです。

両親との不仲が養育環境を狭め、結果的に子育てに余裕がなくなり、自身も子供に辛く当たってしまう、という母⇔本人⇔子供の毒親連鎖が起きてしまうのです。

おわりに

今回述べたようなことは、自分自身の特性を把握し注意深く行動していれば(あるいは周囲からの指摘があれば)、

もしかしたらどこかの時点で違った選択肢を取れていたかもしれません。

『子供を産むか産まないかは、その人自身の権利

と言いましたが、自身の子供に降りかかる影響を考えると、必ずしもそうとばかりは言いきれないように思うのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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