発達障がいオススメ本1冊
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発達障がい~オススメの本1冊を紹介~
先日久しぶりにジュンク堂に立ち寄った際、発達障がい関連の書籍があまりに多くて驚きました。
実際にはさらに写真の本棚が6つほど、上から下までビッシリ発達障がい。
どの本を読めばいいのか、どの本が正しい知識、役に立つライフハックが書いてあるのか、2時間ほど吟味して選んだのがこの一冊。
少し値は張りますが、今年読んだ発達障がい関連の本では、個人的には一番の良著でした。そう思った理由をいくつか書いてみたいと思います。
オススメする理由3つ
① 読みやすさ。一番のポイントかもしれません。500ページ以上ありますが、対談形式で進むためスラスラ読めます。私は本を読むのが遅い方で読破するのに2週間ほどかかりましたが、読書慣れしている方であれば2.3日で読める内容かと思います。
② 多角的な視点。おそらく編集者の黒坂氏が一番こだわった点かと思います。取材に3年近くかけ、合計13人もの専門家や発達障がいの当事者と対談しています。
専門家からの外側の視点、当事者からの内側の視点、さらには専門家・当事者と対談した黒坂氏(自身の子供も学習障がい)のレビュー、発達障がいというある種fuzzyな分野を扱うからこそ、多角的な視点は必須と言えます。
精神科医、小児科医、発達障がい当事者である漫画家や研究者、特別支援学校の校長先生、基礎研究者、発達障がい者向けの就労支援企業の創始者、ディスレクシアの第一人者、やはり当事者でもあるニトリの会長似鳥氏、
精神科医だけで見ても、日本で初めてADHD外来を立ち上げた岩波氏、『ケーキの切れない非行少年たち』の著者宮口氏、発達障がい関連の著書を多数書かれている第一人者でもある本田氏、といった錚々たる面々が並びます。安心して読み進められる内容と言えるでしょう。
③ 初版が2023年12月と比較的最近に出版されている点。発達障がいは、ここ10年で急激にfocusされてきた比較的新しい概念で、今でも少しずつ捉え方が変わってきています。
例えば、一昔前まで使われていたアスペルガー症候群という言葉は、現在はほとんど使われなくなりました。発達障害という言葉自体も「障害」という表現が好ましくないという理由で、今後数年以内に神経発達症という呼称が浸透してくるでしょう。
発達障がいに関して、なるべく新しい情報/著書をキャッチするという姿勢は大事だと言えます。
発達障がいって何だろう?
本書を読み終えて、結局「発達障がいって何だろう?」と考えてみました。この問いは本書の中でも、13人の名だたる専門家や当事者に投げかけてられていますが、そういった有識者たちであっても「発達障がいの定義を答えるのは難しい」というのが多くの見解でした。
ただその中でも、皆さんが一定の解釈をされていて、そこには各人で共通する部分もあれば異なる解釈もありました。
以下に本書の中に出てきた、発達障がいとは何か?に対する答えをいくつかご紹介したいと思います。
・発達障がいは「社会との関わりで決まる」。
・発達障がいは治すものではなく、目の前に生じる課題に対応するもの。発達が進むに従って、次第に明らかになってくる日常生活の困難さ。
・「発達障がい」は疾患名ではない。生まれつきの脳機能の偏りを持つ状態の総称である。
・「臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいという本能的な思考が強いこと」
前者2つは社会との関わりを通して明らかになってくる困難さ、後者2つは個人の特性上の観点から、いずれも発達障がいを端的に捉えている表現だと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。