脳の若さを保つには? 3つのマインドフルを駆使するセルフケアメソッド
「1日の中でどれだけマインドフルな時間をたくさん持てるか、ということか…」
先日から「脳腸相関」という言葉を取り上げ、腸こそ健康の最重要器官だと記事にまとめました。
一方で、脳への関心がなくなったわけではありません。脳のパフォーマンスをいかに維持向上させるかは、私にとっても非常に大きな関心事です。そんな中、脳のパフォーマンスに大きく影響するであろう「老い」という側面から脳にアプローチする本に出合いました。
改めて、脳を健康に保つためのシンプルメソッドについて整理したいと思います。
脳が老いないためのシンプルな方法
今回参考にしたのは久賀谷亮さんの著書。「脳が老いない世界一シンプルな方法」。「世界一」という言葉を見て「ホンマかいな?」と疑問符が灯りますが、著者の久賀谷さんは精神医学に精通された医師。非常に分かりやすくシンプルな内容ですので、おすすめです。
この本の良いところは、読者が最も欲している「いろいろあるけど、結局何すればいいの?」という芯のところを冒頭の8ページにギュッと整理してくれているところ。「まずはここだけ読んだらOK」という親切設計が素敵ですね。読者の気持ちがよく分かってらっしゃいます。。
内容は小説っぽいストーリーになぞらえて展開する形で、読み物っぽく仕上げています。ここは賛否分かれるかもしれませんが、ちりばめられたエビデンスやメソッドは参考になるところが多いです。脳に関心のある方はご一読ください。
脳の老化のメカニズム
脳の老化には染色体末端を保護する役目を持つテロメアの長さを決める酵素「テロメラーゼ」が関わっています。長寿遺伝子とも呼ばれるテロメアは時間と共に短くなる傾向があり、0歳で10,000塩基対あったものが、35歳で7,500、65歳で4,800まで短くなると言われています。ちょっと恐ろしいですね…。テロメアは老化と共に短くなることから「生命の回数券」とも言われていますね。
老人のテロメアの長さは子供の半分以下になります。この長さをなるべく維持するにはテロメラーゼを多く分泌することが大切です。その手法がマインドフルネス。マインドフルネスという瞑想法はテロメラーゼの分泌を促すため、瞑想を適切な形で継続すれば、大人の脳でも成長し続けられると言います。
脳を若く保つ3つのアプローチ
本書では脳が老いないメソッドとして大きく3つの手法を紹介しています。
1.毎日できること:マインドフルネス瞑想
2.運動中にできること:マインドフル・インターバル
3.食事中にできること:マインドフル食事術
そもそも我々の健康は食事、運動、睡眠(休息)の3大要素で構成されています。それらにそれぞれ「マインドフル」なアプローチをすることで脳を健康に維持できるということですね。
瞑想は脳の疲労を取り除くのに効果があると言われています。ストレス低減だけでなく集中力、記憶力向上、そして免疫機能改善など、様々な効果をもたらします。瞑想自体のやり方についてはここでは触れませんが、本書に書かれている内容は極めてシンプルな手法です。
瞑想以外の2運動と3食事について面白い発見があったので取り上げてみます。
「運動」は脳の萎縮に効果あり
本書では運動の効果は「記憶力アップ」「脳内の老廃物除去」「細胞の老化を防ぐ公算が物質を増やす」「アルツハイマー病予防」など脳にプラスの効果があると説きます。
その中でもピックアップしてご紹介するのが「マインドフル・インターバル」という手法。これ、私も初めて聞く言葉でした。やり方は、ランニングやウォーキングなどの持久系の運動している途中で速度を落とす、あるいは立ち止まるというもの。その時に血流が手足の末端に流れている感覚、呼吸が静まっていく感覚など、カラダの中の状態に意識を向けて、カラダが少しずつ変わっていくことに集中します。
こうすることで、自分の体に意識を集中することができ、瞑想と同じような効果が得られるというもの。また、インターバルをしっかり持つことは「自分をケアする」という意識にもつながります。過去の自分のパフォーマンスと比較せず、その日の自分の体調に合わせる。運動を「辛いもの」ではなく「自分を労わるもの」に視点を変えることで、セルフケアへの意識も高まりそうです。
また、本書では「ムーブメント瞑想」という手法も紹介されています。これはラジオ体操やヨガ、太極拳などスローな動きのエクササイズを積極的に取り入れるというもの。カラダの感覚を研ぎ澄ませて集中するイメージですね。これも、呼吸に意識を向ける瞑想と同じような働きがありそうです。
「食事」で若い脳を維持する
本書では「食べるもの」だけでなく「食べ方」にも気を配りましょうと提案されています。具体的には以下の3つのアプローチ。
①「食べる」を意識する (食事瞑想)
本書では食べる前に「なぜ食べたいか?」を考えましょうと説きます。普段そんなこと考えずにお箸を持っていることが多いと思います。すぐに口に運ぶのではなく、まず考えて、感じる。見た目、盛り付け、香り、など視覚、嗅覚に訴えかける情報に集中します。そして子供のように好奇心を持って食べる。
こうして食事に意識を集中することで、本当の意味で食事を味わえますし、余計な雑念が頭から消え、瞑想に近い効果を得られるのだと思います。私も食事の際、「いただきます」と「ごちそうさま」は必ず言っている言葉ですが、冷静に考えると「動物や植物のいのちをいただく」ということです。この食材がどこから来たのかということも考えながら食事をすることで、食事の意味がより深くなり、食事瞑想を効果的に行えるように思います。
②「依存」から抜け出す RAIN
食事にまつわるネガティブな側面が「依存」です。世の中には依存度の高い食べ物があります。その代表例が糖ですね。「食べたい」「飲みたい」という渇望感を手放すことが大切です。その手法がRAIN。
Recognize:渇望感を認識する
Accept:それを受け入れる
Investigate:身体の変化を検証する
Note:言葉にする
こうしたステップを踏むことで、「依存」から距離を置き、正しい食生活を送れるようになります。ついつい食べ過ぎてしまうモノがある人は一度トライしてみてはいかがでしょうか。
➂テロメアを長くする食品を選ぶ
先にご説明したテロメアを長く保つために有効な食事として、以下の食材を積極的に取り入れましょう。
・繊維質の豊かな物(全粒穀物など)
・新鮮な野菜、果物
・豆類
・海藻
・緑茶、コーヒー
さらに、炎症を抑えるフラボノイドやカロチン、抗酸化作用があるものを積極的に摂取し、逆にインスリン抵抗性を減らす糖類の多いものは避けるのが望ましいですね。推奨されている食品が本書では詳しく取り上げられていますので、興味のある方は是非参考にしていただき、食生活の見直しに活用頂ければと思います。
まとめ
脳にまつわる不安は誰しも少なからずあるのではないかと思います。
「はぁ、昔に比べて集中力が切れるようになったなぁ…」
「ん?いつもより頭が疲れやすくなってきたぞ…」
「あれ?人の名前がなかなかな出てこない…」
特に記憶力への不安を持っている人は多いと思います。私も、「この人の名前なんだっけ…?」と、ヤバイと思うことは日常茶飯事です。これ、年齢のせいにして結構諦めがちですよね。
しかし、今回ご紹介した本では「脳が老化すること」は止めることが出来、むしろ成長し続けられるということが最新の脳科学研究で分かってきたと説きます。
「脳の老化は止められない」「大人の脳は成長しない」という通説は近年の科学的研究では覆されつつあります。つまり、「何歳になっても、脳は成長し続けられる」のです。
なかなか勇気をもらえる言葉です。そして、その重要なキーとなるのがテロメラーゼという酵素であり、それを分泌させるのにはマインドフルな時間をいかにたくさん持てるかということ。呼吸法としての瞑想だけでなく、運動、食事にもマインドフルなメソッドを取り入れ、脳を労わる習慣を持ちましょう。
脳の老化は突然進むというよりも、今この瞬間も着実に進んでいます。だからこそ、今できることからセルフケアしていくことが大切ですね。
早速今晩の食事からマインドフル食事術を取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。