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書評、感想文ではありません… 「本」からの連想と言いましょうか…
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『バリ山行』そしてサイン会

『バリ山行』そしてサイン会

今日、梅田へ出かけた。
梅田へ出かける事はそんなに大層なことでは無い。
電車を使って1時間足らずで到着する、今日梅田に行くことになったのは遡れば、あの日僕は梅田を彷徨っていた…

茶屋町辺りの書店を2軒梯子して「力が出ない状態」になり、いつもは行かない阪急三番街で食事をしながら、Xを観ていた…
するとタイムラインに松永K三蔵氏のポストが…

正直な話し『バリ山行』は「読みたい本」としてペンディング

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“マルジナリア”は“門前”では止まれぬ

“マルジナリア”は“門前”では止まれぬ

これまでいろいろな人たちが、蔵書の余白に書き込みをしたマルジナリアが残っている。そこにはそれぞれの人がどのように本を使ったのかという息づかい、本との接触の痕跡が残っている。それを眺め味わってみることで、ひょっとしたらそれまで必ずしも見えていなかった、その人のある面が見えてくるかもしれない。
         ー山本貴光 『マルジナリアでつかまえて』

マルジナリアに“門前”はあるのか? 吉岡浩満氏

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ひとの寂しさ『岡潔対談集』

ひとの寂しさ『岡潔対談集』

 岡潔をご存じだろうか、多変数複素関数論の三つの問題を解決した数学者です。ドラマ化もされているのでご存じの方は多いかと思う。

随筆『春宵十話』が有名で、何かといえば「情緒」が口癖のように出てくる、「道元」と「芭蕉」が大好きな人だ、芸術の話しもされる、脳科学の話しも出てくる。時代背景もあるのであろうが、脳科学、仏教、美術の話しの岡潔は僕ははっきり言って好きでは無いが、何故かなんとも好きな文章も多い

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『海馬を求めて潜水を』

『海馬を求めて潜水を』

2023年2月5日加筆修正

いくつかは変わってしまったけど
生涯思い出す場所がある
ずっと変わらないものもあれば、そうでないものも
姿を消した場所もあれば、残っているものも
そんな場所で恋人たちや友人たちと過ごした
ひとときを今でも思い出す
亡くなった人も入れば、生きている人もいる
僕の人生で出会った愛しい人たち

「記憶」という言葉からは「天才的な記憶力が有りさえすれば、僕の人生はもっと素晴ら

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読書は脳をどのように変えるのか?     『プルーストとイカ』

読書は脳をどのように変えるのか?     『プルーストとイカ』

僕は本を読む事は好きだが、得意では無いと思っている。難しい文章だと眠たくもなる。
普段生活していて「分かっているつもり」でも、「気づきににくい事」は結構あるようだ。
「読書は苦手」「漢字は読めるけど書くのは苦手」と思っている人は結構多いと思う。(僕も含め)

子どもの頃を思い出すと…
先ずは声を出して読む音読から始まる。読み方を覚えた文字を目で追い(意味を考えながら)声を出して読み上げていく。

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なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない

なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない

2023年3月1日 加筆修正

現代の僕たちは、万葉集で高市連黒人が詠んだ“棚なし小舟”に乗り込んでしまったようです。

積読していた東畑開人氏の『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』を開くと、前書きに「小舟」の一節を目にした。

気づいたら大海原に…ひとり小舟でぷかぷか浮かぶ僕たち、そんな僕たちを補助船が案内してくれる。

最近、高市連黒人の歌と見事に重なって、読み進めています。

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『千年の読書』 人生を変える本との出会い  三砂慶明

『千年の読書』 人生を変える本との出会い  三砂慶明

三砂慶明さんの『千年の読書』が四刷になったそうです。
おめでとう御座います。

「おめでとう御座います」と言う言葉で良いのかな?
本当に凄いと思うのと同時に、いい本なので納得しています。

この本と出会ったのは昨年、時々立ち寄る大阪梅田ルクアの蔦屋書店梅田店で平積みしてある真っ白な表紙に目が止まり、手に取った、、と記憶している。
「タイトルだけで面白そうやん…買うか買うまいか…」

もともとのお目

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『フラジャイル』弱さからの出発 松岡正剛 Ⅰ-2

『フラジャイル』弱さからの出発 松岡正剛 Ⅰ-2

Ⅰ ウイーク・ソートで?

僕が初めて「フラジャイル」という言葉を意識に留めたのは、ステイングの『フラジャイル』だろう。

ステイングは人間の愚かさを嘆き『フラジャイル』として伝えた。

松岡正剛が記す“フラジャイル”は多様な“フラジャイル”だ。

 おおむね「弱さ」は「強さ」の設定によって派生する。
「強さ」の相対として「弱さ」は浮かび上がり、そして深淵さを帯びる。

松岡はここでは単純な二項対

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『フラジャイル』 弱さからの出発  松岡正剛 Ⅱ-1

『フラジャイル』 弱さからの出発  松岡正剛 Ⅱ-1


Ⅱ 忘れられた感覚1 全体から断片へ
2 フラジリティの記憶
3 はかない消息

フラグメント(fragment):破片、断片、断章
フラジリティ(fragility):壊れやすさ、虚弱 《病理》脆弱症

ここでは、“断片”や“部分”に見え隠れするフラジャイルをあぶりだそうとしている。

珠光の部分の侘び茶。

不完全なピノキオ。

自分の“全体”を隠そうと努める自然界の生きものたち。

「以上

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聞く技術 聞いてもらう技術 東畑開人

聞く技術 聞いてもらう技術 東畑開人

『聞く技術 聞いてもらう技術』を手にしたのは昨年、2022年10月。
前々から、「話す」「きく」には問題意識を持っている。
ここ数年「傾聴」という言葉が持てはやされ、人の話をいかに耳を傾けて「聴く」か、「聴く」とは…と言う本が沢山出ている。

だいたい、人と会話していても、人の話しなんか半分ぐらいしか聞いてないもんで、相手が発したキーワードをもとに、自分が何を喋るかで頭いっぱいになる人がほとんどで

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『THIS IS WATER 』「これは水です」

『THIS IS WATER 』「これは水です」

ありききたりだが、四月も終わりに近づいて来た。

今月オープンした近所のスーパーのレジは長蛇の列、並ぶ人の表情は「良いものが安く買えて、溢れんばかりの笑み」では無く、不満気で疲れた顔で並んでいた。
そんな事を考えながら、レジに並んでいると、おばちゃんに堂々と横入りされた。
駅のエスカレーターでも今日もおばちゃんに割り込まれた。
横入りしたおばちゃんは僕の心を見透かす様に怪訝な表情を浮かべる。
「怪

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絶望名人カフカの人生論

絶望名人カフカの人生論

将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。

将来にむかってつまずくこと、これはできます。

いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。

フェリーツェへの手紙

「火事教育」寺田寅彦随筆集 第四巻より

「火事教育」寺田寅彦随筆集 第四巻より

その日は何故、寺田寅彦随筆集第四巻だったかは覚えていない、何故「火事教育」だったかも覚えていない。
僕は何かをもて余した時に寺田寅彦の随筆を捲る癖の様な習慣が知らぬまについてしまった、その日はたまたま寺田寅彦随筆集第四巻だったわけだ。

この「火事教育」は東京消防庁のホームページでも使われている。

東京消防庁のホームページによると
「火災による死者が1人、墜落による死者が13人、傷者が67人とい

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たまごかけご飯

たまごかけご飯

このシーンで「塩」に少しひっかかった…卵かけご飯は僕にとっては「醤油」がスタンダードである。主人公の波多はたまごかけご飯を喰らう前に卵粥を食べている、昭和の頃は御膳の上には醤油差し、ソース、食卓塩が三種の神器の様に並んでいたが、今時はテーブルの上には調味料の指定席は無い。

妻が卵粥の微調整用に置いていてくれた「食卓塩」を卵かけご飯に流用したのかと思ったが、いや待てよ…波多家は卵かけご飯は「塩」と

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