聞く技術 聞いてもらう技術 東畑開人
『聞く技術 聞いてもらう技術』を手にしたのは昨年、2022年10月。
前々から、「話す」「きく」には問題意識を持っている。
ここ数年「傾聴」という言葉が持てはやされ、人の話をいかに耳を傾けて「聴く」か、「聴く」とは…と言う本が沢山出ている。
だいたい、人と会話していても、人の話しなんか半分ぐらいしか聞いてないもんで、相手が発したキーワードをもとに、自分が何を喋るかで頭いっぱいになる人がほとんどです。
人が喋っているのに人の話を遮って話す場面も日常です。多数で話しをしていると、話しを奪って、違う話しに変えてしまう人。
人の意気揚々と悦に浸りながら語る姿を見ていると…「確実に快楽物質出してるよな…」と思うこともあります。
前職がコールセンターのアドバイザーだったので余計に思うのかも知れません。
オペレーターに「説明の前にしっかり相談者の話しを聴いて、想像しながらアドバイスして上げて下さい」と口すっぱく話してましたが…だいたいみんな聞き取りはそこそこにして、自分のアドバイスに悦に浸ってました。
“聞く”に関しての話しで言うと、男性は女性の話しを聞くのが下手です(僕も含めて)。
話しをしながら先に“判断”してるんですよ、それで女性に「どう思う?」と聞かれると、「こうするべき、ああするべき、ああだ、こうだ」と言ってしまうので、女性に「そんなことを聞いてない」と叱られ、挙句の果てに「もう、ええわ〜」とキレられるしまつである。
女性は先に「共感」や「同意」が欲しいのに、その場で求めてもいない「アドバイス」が先に出てきて「私の気持ちを理解していない」とブチ切れるのであろう。
昔のTVドラマ風に“新聞を読みつつ、空返事をする亭主“のスタイルの方が少しはマシなのかも知れないともおもったが、そんな場面になる食卓は令和では想像がつかない。
人にもよるんだろうが、「聞いて聞いて」と声をかけて「どないしたん?」と返事が返ってくる相手のイメージはどんな姿だろう?
僕には相手の左手にスマホが見えます。
視線はスマホ、僕に視線を送ることなく「どないしたん?」と返す相手が見える、「新聞を読みつつ空返事」が「スマホでゲームをしつつ空返事」と置き換えられたと言うわけでは無いであろうが、コミュニケーションが取りにくい事には変わりない。
立ち止まって考えると、普通のコミュニケーションが意外と難しい。
話しを“聞く”のほうが難しい
「聴く」のほうがむずかしそうに見えて、 実は「聞く」ほうがむずかしい。
と言う。
「聴く」は注意深く耳を傾け、心の奥底、気持ちに振れる。
「聞く」は語られていることを言葉通りに受け止める。
そう、そもそも「言葉通りに受け止める」ができていない。
どうすれば「聞く」ができるか?の話しです。
カール・ロジャーズばりの「傾聴」ではなく、日常の「聞く」なんです。
思い返すと、大体のストレスのもとは対人関係で人の職場の不満や愚痴を聞くと
「コミュニケーション不足」が発端です。
そのコミュニケーションの「聞く」と「聞いてもらう」をまずは「聞く技術 小手先編」「聞いてもらう技術 小手先編」から入っていきます。
聞いてもらう技術
聞いてもらう技術 小手先編の冒頭では
「うまくしゃべる技術」ではないと、断りから始まります。
ひとに話しを聞いてもらえないのは、しゃべり方「うまくしゃべる技術」ではなく「心配される技術」だと言い切って小手先の技術を紹介しています。
本当に著書が伝えたいことは「技術」ではないんですよね、だからわざわざ「小手先」と書いている。
「人に心配をかけない」「こうするべき」「こうあるべき」と、知らず々、一般常識や社会規範に囚われ過ぎて、身動きが取れなくなってしまった僕たちに、もうちょっと気楽に生きようよと提案しているように思えた。