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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2023年10月の記事一覧

「一日がかりの運動会」は昭和の家族モデルを前提としたイベント

「一日がかりの運動会」は昭和の家族モデルを前提としたイベント


「一日がかりの運動会」復活コロナ禍によって学校行事が大きく削減されました。

その代表的な例の一つが運動会です。

これまでは終日、お昼ご飯をグラウンドで食べてその後も競技を午後まで行うというスタイルでしたが、コロナによる影響で短縮、昼食をはさまない実施に切り替わりました。

そうした開催方法から一転、コロナ自粛解禁を受けて本年度からは終日で実施する学校もあるようです。

終日の方が生徒の参加す

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栄養教諭「ゼロ」は市場経済の必然

栄養教諭「ゼロ」は市場経済の必然

栄養教諭「ゼロ」教員不足が全国的に問題になる中、高知県では給食の実施さえ困難な状況にあるというニュースが報道されています。

授業を行う教員だけでなく、栄養教諭などの学校を支える立場の職員に関しても不足が表面化し、公教育崩壊が始まっているのは間違いないでしょう。

「人材確保のためあらゆる方策」という大嘘記事内には以下のように教育委員会の職員のコメントがありました。

ここで「あらゆる方策」を取っ

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「1人1台端末整備基金」は徳島県と同じ轍にならないだろうか?

「1人1台端末整備基金」は徳島県と同じ轍にならないだろうか?


1人1台端末整備で基金を文科相に要請 全国知事会の文教・スポーツ常任委員長を務める大村秀章愛知県知事は26日、文部科学省で盛山正仁文科相と会談し、GIGAスクール構想の1人1台端末について、高校段階も含め端末の整備・更新を全額国費で進めていくよう要請しました。

現在、小中学生に対しては自治体などが配布、貸与していますが高校生の場合は自費による購入が公立高校でも半数となっており、公費負担の場合も

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「高専」の魅力と闇

「高専」の魅力と闇


話題になる「高専」最近、「神山まるごと高専」など、通常の中等教育機関とは異なるの独自教育を行う「高専」に注目が集まっています。

私自身も高校受験時に高専を選択肢に入れた時期がありましたし、今現在自分が中学生ならば高専へ進学する選択をした可能性はかなり高いと考えています。

カリキュラムやその独自性、高等学校の違いなどが魅力的に見えるからです。

では実際の高専とはいかなる場所なのでしょうか。

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国立大学への補助金に選択と集中を批判する人たちが地方私立大学を排除したがる矛盾

国立大学への補助金に選択と集中を批判する人たちが地方私立大学を排除したがる矛盾


研究費の減少、選択と集中地方国公立大学は研究費の減少に苦しんでいます。

この20年で教育研究費が3分の1になったという話もあるようです。

運営交付金を減らしただけでなく、選択と集中という名のもとに一部の研究重点大学に予算を集中し、多くの大学への予算は減り続けています。

その上、法人化したことに伴い書類申請などの業務が増加し、予算が少ない上に研究時間も取られるという状況が常態化している大学も

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生徒会は「民主主義の幼稚園」

生徒会は「民主主義の幼稚園」


「地方自治は民主主義の学校」「地方自治は民主主義の学校である」とはイギリスの政治家、法学者であるジェームス・ブライスの言葉です。

民主主義における権力者は国民全員であり、国家の意思決定は国民の合意により行われます。

しかし、日本のような議院内閣制の場合、国民が選挙で行政府の長は選ぶことができませんが、地方自治の場合は二元代表制のため国家政治と比較して住民の意見を反映させやすくなります。

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「リコーダーよりも作曲ソフト」という教育門外漢の社会学者の放言

「リコーダーよりも作曲ソフト」という教育門外漢の社会学者の放言


「リコーダーよりも作曲ソフト」社会学者の古市憲寿氏がいつものようにいつものごとく持論を展開しています。

彼の主張の前半部分は全くもって正しい。リコーダーが人気な楽器であるとは言えないし、仮にリコーダーが引けたとしても役に立つ可能性は低いでしょう。

では氏の言うようにリコーダーを学ぶ意義はないのでしょうか。

リコーダーである必然性はないが合理性はある私は音楽教育に関しては専門ではないため、実

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集めて配る二度手間を好む日本:低所得世帯受験費用補助

集めて配る二度手間を好む日本:低所得世帯受験費用補助


こども家庭庁の受験費用補助という政策子供の進学の機会を確保しようと、こども家庭庁はひとり親世帯や低所得世帯の中高3年生を対象に、受験や模擬試験の費用の補助を行うというニュースが上がっていました。

この政策の意図するところ自体には全面的に賛成します。

事実、受験費用が捻出できずに受験しない、あるいはチャンスを生かせない生徒が相当数存在することは現場の肌感覚としても感じる部分があるからです。

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世帯年収910万円という壁が給与抑制の言い訳に使われる可能性

世帯年収910万円という壁が給与抑制の言い訳に使われる可能性


高校無償化2020年から私立学校に通う生徒にも就学支援金が支給されるようになり、高校進学に関しては無償化によって多くの子供の機会が広がりました。

公立高校の場合は学費自体はほぼ無料、私立学校の場合もある程度軽減されるようになったことで、進学先を幅広い選択肢の中から選べるようになったのは決して悪いことではないでしょう。
(私のような私学関係者からしてもありがたい話です)

とはいえ、実際には制服

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和式を知らない子供たち~学校のトイレの様式化は早急に解決すべき事案

和式を知らない子供たち~学校のトイレの様式化は早急に解決すべき事案


学校のトイレ事情全国的に学校のトイレの洋式化が進みつつありますが、普及率の低い自治体も少なくありません。

島根県はそうした件の一つのようで、洋式トイレの普及率は48%ということです。

現在の全国の小中学校の普及率は68.3%、7割弱が洋式化済みですが、3割はいまだ和式のままということです。

文科省のリンク先には洋式への改築に関して国庫補助が出る旨も記載してあり、洋式化を推進する方向性ではあ

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フリースクールの在り方とアンチフリースクール東近江市長の発言

フリースクールの在り方とアンチフリースクール東近江市長の発言


東近江市長の発言東近江市長が「僕は文科省がフリースクールの存在を認めてしまったということに、がく然としているんですよ。」という発言をしたことが問題になっています。

「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」この発言は不登校が社会問題化する中で、その草の根で活動をする人たちに対し冷や水を浴びせるような発言であるのは確かです。

東近江市長の発言は高齢者の典型的な意見現代の子供の教育現場や子育て

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普通高校が総定員の半数以上を学力試験無しで入学させる特色化選抜という闇

普通高校が総定員の半数以上を学力試験無しで入学させる特色化選抜という闇


県立高校の特色化選抜近年、推薦入試ではない高校入試のシステムが普及しつつあります。自治体によっても名前が変わりますが、一般的には「特色化選抜」と呼ばれる受験方法です。

この選抜方式は推薦書を必要としないということが従来の推薦入試と最も異なる点です。

そのため、学校長が推薦書を出す(実際には担任が作成しているのですが)手間が省けるという教員側からの業務的なメリットもあり、普及が進んでいるようで

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藤井聡太八冠をダシに使う教育系情報サイトの気持ち悪さ

藤井聡太八冠をダシに使う教育系情報サイトの気持ち悪さ


藤井聡太名人、八冠制覇藤井聡太名人は今月11日に王座戦を制し、前人未到の八冠を達成したのは記憶に新しいところです。

こうした偉業を成し遂げた人物が出てくると、その人が受けた教育法などを評価する動きが起こるのは世の常です。

藤井名人の場合はモンテッソーリ教育がそれにあたるようです。

今回もまた、同じようなことがネット上のいたるところで見られます。

モンテッソーリ教育とはモンテッソーリ教育と

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「本を読まない若者」への対策が「図書館の整備」という小学生以下の回答をする文科省

「本を読まない若者」への対策が「図書館の整備」という小学生以下の回答をする文科省


21世紀出生児縦断調査文科省は平成13年に生まれた特定の子供に対して経年で調査を行っているそうです。

現在、この調査対象者は21歳になっています。

今回、その調査で21歳の人達に読書量が極めて減少しているということが分かったようです。

少なくとも、子供のころに比べると読書量が減少していることが明らかになっています。

大人は読書をするかまずもって、問題なのは現代の大人たちは読書をしているか

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