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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2023年2月の記事一覧

教育現場のDX化に対応できない人達はDX化以外にも対応できていない

教育現場のDX化に対応できない人達はDX化以外にも対応できていない

教育現場はここ数年でDX化が急速に進みました。

その代表的なものがGIGAスクールによる端末配布です。その結果、端末を利用した授業が大きく普及し、授業のやり方や構成が大きく変化しました。

しかし、一方でそうした変化についていけない人もいるようです。

この記事では、DXに対応できない高齢の国語の教員の話が話題になっています。

彼女は59歳で「定年を前に全くわからないことに対処しなければいけな

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増加する「非一条校」とその人気をどうとらえるか

増加する「非一条校」とその人気をどうとらえるか

近年、中学受験が過熱し、首都圏などでは受験者が増加傾向にあります。さらにここ数年は地方にもその熱気が伝播しており、地方都市の中学校受験も増えつつあります。

それに合わせて、いわゆる「非一条校」(学校教育法第一条に該当しない学校)が増加し、そこへ通う選択をする生徒も増えています。

今回はこうした「非一条校」に関する内容をまとめたいと思います。

「非一条校」とは何か先述のように、「非一条校」とは

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「AよりがB大事なのだから、お金を回せ」という短絡志向の問題点

「AよりがB大事なのだから、お金を回せ」という短絡志向の問題点

山形県では「人材育成」に予算を割く政策が議論されており、その具体的な政策の一つとして新採教員を原則担任外に着ける方針であるということが報道されていました。

政策自体は大いに賛成この方向性自体は個人的には大いに賛成ですし、全国に波及するべきものだと考えています。

そうした内容に関して、以前に記事としてもまとめています。

とはいえ、担任外にするということは、最低限以上の人員を確保する必要がありな

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「東京23区のデジタル系学部定員増容認」は歯学部、薬学部と同じ轍を踏むのか

「東京23区のデジタル系学部定員増容認」は歯学部、薬学部と同じ轍を踏むのか

現在、東京23区内の大学に対しては、学部の新設や定員増に対して規制がかけられています。

これは大都市への過度な人口流出、特に大学進学時におけるものを防ぐ目的で設定されたものです。

デジタル系学部を対象にした規制緩和ところがこの政策の見直しがニュースになっていました。

昨今不足が問題となっているデジタル系人材の育成に関する学部に関しては、この規制を緩め増員を認める方向で検討が進んでいるようです

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名門・県立千葉高校の「窃盗事件隠ぺい疑惑」は日本中の学校で起きる可能性のある事案

千葉県立千葉高校(以下県千葉)で起こった「窃盗事件隠ぺい疑惑」がニュースサイトなどでも話題になっています。

この事件に関して、学校側は加害生徒に適切な指導をした、という説明をしているようです。

Twitter上での炎上Twitter上などでは情報が錯綜しています。こうした事件に関して、拡散する「滝沢ガレソ」氏のアカウントでは以下のように拡散されています。

一方で教室にスマホを設置し事件の一部

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「ノートにまとめる」という学習スタイルの相対的な価値の低下

「ノートにまとめる」という学習スタイルの相対的な価値の低下

勉強をする、といって思い浮かべるものは人それぞれですが、そのやり方の定番と言えばノートにまとめる、という方法です。

「東大生+ノート」という検索ワードでAmazonを探すと、東大生のノート術を扱った書籍が大量に結果に出てきます。

この結果から見えることは、「東大に行くような人たちは何か特別なノート作成法で勉強しているのだ」と思っている人が世の中には多く、出版社としても需要が見込めるということで

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「高校に予備校講師を招く」という無駄をさらに増やすお仕事

「高校に予備校講師を招く」という無駄をさらに増やすお仕事

都立高校では次年度から予備校講師を校内に招いて受験対策授業を行う、ということ報道されていました。

記事によると「当面の対象は都が指定する15校で、数学と英語の2教科について1回90分の授業を土日や放課後、夏休みなどの長期休暇中に実施する」とのことです。

受験対策で予備校を利用すること自体は大いに賛成受験対策で予備校を利用する生徒は、現役生であっても決して少なくありません。

特に私の住む九州の

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「入学難度の高くない中高一貫校」でも進学する価値が非常に高い理由

「入学難度の高くない中高一貫校」でも進学する価値が非常に高い理由

1年ほど前、中高一貫に関して、大学受験をする上での「先取り」の優位性について書きました。

今回はそれ以外の点にも触れながら、超進学校(灘、開成など)以外の中高一貫校に進学するメリットについて書いていきたいと思います。

私の勤務校も併設中学校を抱えている中高一貫教育を実施しているため、今回の記事は基本的にはポジショントーク的なスタンスとなります。

とはいえ、客観的な事実をもとに書いており、事実

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入試制度のリセットは、入試だけにとどまらず、輩出人材傾向の固定化を変える副次的効果を持つ

入試制度のリセットは、入試だけにとどまらず、輩出人材傾向の固定化を変える副次的効果を持つ

ここ数年の教育制度改革によって、入試制度が大きく変化しています。

推薦や総合型選抜の拡充やセンター試験から共通テストへの流れはそうした一連の改革の最も表層に見える部分と言えます。

ところがこうした改革に対し否定的な見方をする人が結構な数存在します。

というよりも、現場の教員や塾、予備校の講師など教育関係者の大半はそうしたスタンスのように見えます。

共通テストに対する批判一昨年度から始まった

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「読書」を趣味とする生徒は成績が良い、という幻想

「読書」を趣味とする生徒は成績が良い、という幻想

「本をよく読む子は成績が良い」という幻想を抱いている人は多いように感じます。

実際、成績を上げるために本を読みなさい、という指導をする教員も多いようです。

そうしたアドバイスをまとめたサイトもありました。

さて、では実際のところ読書と成績に関係性はあるのでしょうか。

成績の良い生徒は文字を読むスピードが速い傾向成績の良い生徒は文字を読むスピードが速い傾向にあります。

現在の共通テストの傾

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「重大な被害のおそれのあるいじめは学校から警察に通報を」という通知を文科大臣が行う異常性

「重大な被害のおそれのあるいじめは学校から警察に通報を」という通知を文科大臣が行う異常性

ここ数週間にわたって話題性のある発信をし続けている文科大臣の永岡氏ですが、今度も興味深い発信をしました。

閣議後の会見において、重大な被害につながるおそれがあるいじめが発生した場合は、直ちに学校から警察に通報するよう求める通知を、全国の教育委員会などに出す、という方針を明らかにしたということです。

「いじめ」は刑事事件に相当するケースが多い一般に「いじめ」と呼ばれるものの多くは暴力を伴い、大人

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教員免許の2種を4年制大学に拡充するより、教育実習を無くす方が免許取得のハードルは下がるのではないか

教員免許の2種を4年制大学に拡充するより、教育実習を無くす方が免許取得のハードルは下がるのではないか

小中学校の教員不足が問題となる中、文科省はまたもやピントのずれた施策を思いついたようです。

従来は4年制大学では1種免許しか認めていませんでしたが、これを短大などで取得する2種免許の取得を可能とし、取得単位数を減らすことで免許取得者を増やすことを狙ったようです。

インセンティブの低さがそもそもの原因教員不足の根本的な問題はそもそもが、教員という職業のインセンティブの低さに原因があります。

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「大学に行く」という選択肢が身近にあるかどうかは、進学をする上での大きなアドバンテージとなる。

私も妻も大学に進学したため、子供たちの進路や教育費を考えるとき、基本的には大学に行くという選択を前提で考えています。

ところが、自分自身を振り返ってみると、大学に進学するということはそれほど身近な選択肢ではなかったように感じます。

親が大卒であるかどうか大学へ進学することの是非や、費用対効果などに関してここでは考えず、単純に大学に行く選択肢の身近さについて考えます。

私の親は二人とも大卒では

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永岡文部科学大臣の発言に出た「不登校特例校」とは何か

永岡文部科学大臣の発言に出た「不登校特例校」とは何か

不登校児童生徒の数が過去最多となったことに対して永岡文部科学大臣が記者会見で「多くの子供たちが学校の学びから置き去りにされていることは、教育の根幹を揺るがす憂慮すべき課題だ」のようにコメントしています。

不登校対策の3つのガイドライン永岡氏はコメントの中で、不登校対策に関して3つのガイドラインを示しました。

「不登校特例校」の設置促進

タブレット端末を活用した兆候の早期発見

全ての児童生徒

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