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臨床についてマジメに考えるnote

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マジメな理学療法士が考える臨床アイデアを書いたnoteをマガジンにまとめました。 主に脳卒中への介入戦略を書いています。 記事への質問はTwitterのDMでどうぞ。
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#脳卒中片麻痺

ヒトの『麻痺』はどうして回復が難しいのか〜社会性を獲得した動物という視点から考える〜

ヒトの『麻痺』はどうして回復が難しいのか〜社会性を獲得した動物という視点から考える〜

脳卒中では、基本的に脳卒中を起こした半球と反対側の上下肢が麻痺を起こし、『片麻痺』と呼ばれる状態となります。

また、脊髄損傷では損傷した高位よりも下の部分が麻痺した状態となり、『下半身麻痺』などと呼ばれたりします。

このように『麻痺』と呼ばれる状態には様々なものがあり、我々理学療法士やセラピストはこの『麻痺』を改善するように試みたり、『麻痺』がある状態でも生活できるような方法を考えたり一緒に練

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脳卒中片麻痺の回復に筋トレは有効なの?

脳卒中片麻痺の回復に筋トレは有効なの?

脳卒中により片麻痺を呈すると、手足が動きにくくなります。

そのような方に対して、いわゆる『筋トレ』が有効なのか?ということについて考えてみたいと思います。

この記事を読まなくて良い方は次のような方です。
●脳卒中片麻痺の方に対する理学療法に自信のある方
●脳卒中片麻痺の方の回復に興味のない方
●「脳卒中片麻痺に筋トレなんかやるわけないだろ!」と考える方

そうでない方は、ぜひ読み進めてください

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脳卒中片麻痺の理学療法で忘れがちだが忘れてはいけない、当たり前の3つのコト

脳卒中片麻痺の理学療法で忘れがちだが忘れてはいけない、当たり前の3つのコト

脳卒中による片麻痺を患った方に対して理学療法を行う上で、どんなことを気をつけていますか?

今回は、当たり前すぎてあまり誰も言わないかもしれないけれど、絶対に忘れてはいけない3つのコトについて書いていきたいと思います。

本当に当たり前なので、これを当たり前に考えている方は読み飛ばしていただければと思います。

ただ、Twitterなどで様々な世代の方のお話を聞いている(読んでいる)と、これを忘れ

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更正用装具は作成して終わり?退院後の生活のために理学療法士ができること

更正用装具は作成して終わり?退院後の生活のために理学療法士ができること

脳卒中片麻痺の方で装具を処方・作成される方は多いです。

理学療法士としては、装具の選定やフィッティング、着脱の練習や、装具を装着した状態での歩行や生活動作の練習に携わることが多いと思います。

脳卒中片麻痺の方が使用される装具はその使用目的によって、大きく分けて治療用装具と更正用装具があります。

今回は更正用装具を作成した後、理学療法士がどのように関わっているのか、どのように関わるべきなのかを

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足元を見て歩くクライアントに何ができますか?⑤

足元を見て歩くクライアントに何ができますか?⑤

5回シリーズの最終回です。

1回目の記事はこちら。まだの方はこちらからご覧ください。

前回に引き続き、介入・練習の案をいくつか紹介したいと思います。

このnoteを読むと、
●足部の位置がわからなくなってしまう場合の介入方法がわかる
●評価結果から練習に結びつける考え方がわかる
●脳卒中片麻痺のクライアントに対する介入方法の引き出しが増える

足底と床との接触を確認する練習ICで足底と床の接

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足元を見て歩くクライアントに何ができますか?④

足元を見て歩くクライアントに何ができますか?④

前回まで、足元を見て歩いてしまうクライアントに対する評価を中心に書いてきました。

初回の記事はこちらです。まだの方はこちらからご覧ください。(そして戻ってきてください。笑)

残る2回はどのような介入・練習が考えられるか、いくつか提案していきたいと思います。

このnoteを読むと、
●足部の位置がわからなくなってしまう場合の介入方法がわかる
●評価結果から練習に結びつける考え方がわかる
●脳卒

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足元を見て歩くクライアントに何ができますか?③

足元を見て歩くクライアントに何ができますか?③

足元シリーズの3回目です。

前回は歩行観察で着目すべき点まで書いてきました。

1回目の記事はこちら。まだの方はこちらからご覧ください。

2回目の記事はこちら。

今回は、歩行観察で得られた情報を元に、クライアントご本人にお話をうかがい、どのような情報が収集できていないのかを確かめていく評価を行う、という流れについて書いていきたいと思います。

このnoteを読むと、
●歩行観察から得た情報を

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足元を見て歩くクライアントに何ができますか?②

足元を見て歩くクライアントに何ができますか?②

前回から、足元を見て歩いてしまうクライアントへの対応について、シリーズで書いています。

1回目の記事はこちら。まだの方は是非こちらからご覧下さい。

2回目になる今回は、歩行観察において特に注意して観察すべき点をもう少し詳しく書いていきたいと思います。

今回の記事を読むと、
●足元を見て歩くクライアントの歩行観察における視点が増える
●足元を見て歩いてしまう原因を考えるヒントが得られる
●足元

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足元を見て歩くクライアントに何ができますか?①

足元を見て歩くクライアントに何ができますか?①

脳卒中や下肢の骨折後のクライアントで、足元を見て歩かれている方は非常に多いです。

その原因はクライアントの状態や病気の症状などにより様々で、ご本人の捉え方も人によって様々です。

先日、Twitterでお世話になっている方がこんなツイートをされていました。

「下向いて歩いてもお金なんて落ちてないですよw顔上げましょう!さぁ前向いて!」

これは仮定の話ですが、こんなナメた発言をするセラピストに

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脳卒中の膝折れは膝に触れず改善する

脳卒中の膝折れは膝に触れず改善する

脳卒中者の歩行で多く遭遇する問題の一つに、『膝折れ』があります。

今回のnoteでは、膝折れはなぜ生じるのか、どのように改善すれば良いのかについて考えてみたいと思います。

実は、膝折れの原因の多くは膝に起因しておらず、膝に触れずに改善できることがほとんどです。

「そうなの?」「ホントに?」と思ったセラピストのあなたは、是非読み進めていただければと思います。

膝折れとはそもそも、膝折れとは何

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麻痺側と非麻痺側を比較してはいけない理由

麻痺側と非麻痺側を比較してはいけない理由

セラピストのみなさん、脳卒中のクライアントに麻痺側と非麻痺側を比較させていませんか?

それにはメリットとデメリットがあり、デメリットを把握した上で行うべきだと考えます。

今回は麻痺側と非麻痺側を比較してはいけない理由を解説したいと思います。

脳卒中者のリハ場面において、麻痺側と非麻痺側の比較を行うことは多いです。

その目的は、

■非麻痺側の動きを分析し、真似るようにして麻痺側の動きを促す

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脳卒中の感覚障害は良くなるの?③〜言語を考慮した戦略の提案〜

脳卒中の感覚障害は良くなるの?③〜言語を考慮した戦略の提案〜

前回・前々回のnoteで、脳卒中の感覚障害に立ち向かう戦略を考えてきました。

→前々回のnote

→前回のnote

一連のnoteの中で、『認知過程』というものを考慮し、そのうち『知覚』『注意』『記憶』『判断』までを利用した戦略について説明してきました。

今回は残る『言語』について考えていきたいと思います。

一言で言うと、クライアントなりのカテゴライズから言語を作っていくということが必要

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脳卒中の感覚障害は良くなるの?②〜記憶と判断を考慮した戦略の提案〜

脳卒中の感覚障害は良くなるの?②〜記憶と判断を考慮した戦略の提案〜

前回のnoteでは、脳卒中により生じる感覚障害を改善するための、『注意』と『知覚』を中心とした戦略について書きました。

→前回のnote

その中で『認知過程』というものに触れましたが、『認知過程』には『知覚』『注意』の他に『記憶』『判断』『言語』があります。

今回はこのうち、『記憶』と『判断』にフォーカスし、感覚障害を改善するための戦略について考えたいと思います。

結論を書いてしまうと、複

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脳卒中の感覚障害は良くなるの?①〜注意を利用した戦略の提案〜

脳卒中の感覚障害は良くなるの?①〜注意を利用した戦略の提案〜

脳卒中の症状として目立つのは片麻痺ですが、感覚障害も主要な症状の一つです。

日常生活に復帰する上で、感覚障害は様々な問題を生じることとなります。

今回は感覚障害に対して療法士はどのように介入すべきなのか、考えてみたいと思います。

今回提案するポイントは注意を利用することです。

脳卒中で生じる感覚障害そもそも、脳卒中でなぜ感覚障害が生じるのでしょうか。

上図のように末梢神経が障害された場合

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