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足元を見て歩くクライアントに何ができますか?④

前回まで、足元を見て歩いてしまうクライアントに対する評価を中心に書いてきました。

初回の記事はこちらです。まだの方はこちらからご覧ください。(そして戻ってきてください。笑)

残る2回はどのような介入・練習が考えられるか、いくつか提案していきたいと思います。

このnoteを読むと、
●足部の位置がわからなくなってしまう場合の介入方法がわかる
●評価結果から練習に結びつける考え方がわかる
●脳卒中片麻痺のクライアントに対する介入方法の引き出しが増える


足元を見る理由がわかると必然的に課題が出てくる

シリーズの2回目と3回目で、足元を見て歩いてしまう原因を探るための評価を書いてきました。

2回目の記事はこちら。

続く3回目はこちら。

基本的な考え方として、足元を見てしまうということは、本来足部や下肢の体性感覚から収集できるはずの情報を収集できず、代わりに視覚を使って情報収集を行っているということです。

ということは、我々が行うべき介入は、足部や下肢の体性感覚で情報収集を行える状況に導くことです。

そもそも脳卒中の感覚障害って良くなるの?という疑問を持っている方は、こちらの記事もご覧ください。3回シリーズで書いています。

ということで、足部や下肢で情報収集を行えるための練習をいくつか考えてみたいと思います。

今回は足部がどこにあるのかがわからなくなってしまうために、足元を見て歩いてしまうという場合に有効と考えられる練習を提案していきたいと思います。

全ての状況を網羅することはできないので、「こんなときはどんな練習が考えられるの?」という疑問はコメントやTwitterのDMでお気軽にどうぞ。お待ちしています。


足の場所を知るための練習(立位)

足元を見ていないと、ご自身の足がどこにあるのかわからなくなってしまう場合に有効な練習です。

ちゃんと遊脚して足が前に出たのか、身体に対してどれくらいの距離に足が着いたのか、といった情報が収集できないと、足元を見てしまうのは当然です。

足がどこにあるのかという情報は、主に股関節や膝の運動覚を使って収集されます。

足関節が動いても、足の場所はあまり変わらないですよね。

足の場所を知りコントロールするためには、股関節や膝で情報収集する必要があることを伝えなければなりません。

ということを考えた結果から導き出される練習は、足がどこにあるのかを体性感覚から判断する練習です。そのままですね(笑)

クライアントには、平行棒や手すりなどを持った状態で立位をとっていただきます。

足元に何か目印を置きます。大きな紙にマス目を書いても良いですし、板やタイルを並べても良いと思います。

最低でも、前後・左右方向それぞれに3つ以上の指標を設定するのが望ましいと思います。2つとかだと簡単すぎるので。

実施に際しては、クライアント自身は閉眼してもらうか、足元を見ないように前方を見ていただきます。

次に、セラピストがクライアントの足部を操作し、置いてある目印のどこかに足部を移動します。

そして、どの目印に足があるのかを目で見ずに答えていただきます。

試しに行ってみると、横方向と縦方向で得意な方向・苦手な方向があることに気付きます。

どちらも全くわからないこともありますが。

特に苦手な方向が見つかれば、そこを重視した練習に進めることもできます。

前後方向が苦手なのであれば股関節の屈伸方向の動きと膝関節の屈伸の動き、横方向が苦手なのであれば股関節の内外転方向の動き、と問題を絞ることも可能です。


足の場所を知るための練習(座位)

基本的には立位での場合と同様です。

座位で行う場合、膝関節の屈伸を重点的に練習することが可能です。

股関節の内外転を含めることもできます。

立位での練習が難しい場合、先に座位で行ってみるというのもアリだと思います。

立位での練習同様、足元に目印を置きます。

足部をセラピストが操作し、足がどこの目印の場所にあるのかを回答していただきます。

間違いを繰り返してしまう場合、どのような情報から考えようとしているのかを聞いてみることも大切です。

足部の前後方向への動きは膝の屈伸で判断できるはずですが、股関節の動きや足関節の動きに注意を向けてしまっていれば、わかるはずがありません。

膝関節の屈伸の感覚に注意を向けるように促し、膝からの情報を収集できるように練習することが重要ですね。

股関節の場合も同様の問題が生じる場合もあります。


足の場所を知るための練習(背臥位)

背臥位で行う場合、股関節からの情報収集を重点的に練習することができます。

股関節内外転方向に目印を並べ、内外転の動きの大きさから足部の位置を判断していただきます。

マス目状の指標を用意し、股関節と膝関節の複合的な動きによる足部位置の変化を判断する練習を行うこともできます。

また、背臥位で行う練習の利点として、体幹と足部の位置関係を考える練習を行えるという利点があります。

股関節内外転方向に動かし、「足は体(体幹)に対してどこの位置にありますか?」などと聞いてみます。

「体の中心の真下」とか「股関節の真下」「股関節よりも外側」といったような答え方をしていただけると思います。

実際の歩行では、足を床に接地できたら体幹を立脚下肢側へ移動させて荷重することが必要となります。

このとき、足の位置が把握できても体幹との位置関係がわからなければ、荷重していくことも難しくなるかもしれません。

足の位置を知ることに加え、その次の相に必要な情報収集や情報の活用も練習できるのがこの練習です。


まとめ

今回は足元を見て歩いてしまう原因として、足部の位置がわからなくなってしまうという場合に絞って練習を提案しました。

足部の位置がわからないので足部の位置をわかるようにする、という当たり前のことしか言っていないのですが、足部の位置を知るためにどのような情報が必要なのかを考えていくと、非常に多くの練習が考えられます。

実施にあたっては、クライアントの能力(姿勢制御や運動機能)に合わせて様々なバリエーションで行っていく必要があるため、今回の提案はあくまで一例と捉えていただければ幸いです。

次回は、足底や足関節の情報収集が難しい場合の練習を提案していきたいと思います。


おわりに

記事の内容についての質問はTwitterのDMからお気軽にどうぞ。

また、記事の依頼も受け付けています。お気軽にご相談ください。




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まじい@マジメな理学療法士・公認心理師
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