リーマンショックの予言者タレブが説く『ブラック・スワン』予測不能な現代を生き抜く方法
こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!
今日は『ブラック・スワン』を紹介します。
「ブラック・スワン」と聞くと、多くの方がダーレン・アロノフスキーの生々しいバレエ映画を思い浮かべると思います。
ですが、今回とりあげる『ブラック・スワンー不確実性とリスクの本質』は、ナシーム・ニコラス・タレブによる、「見えないリスクと向き合う」ための紙の本です。2007年に出版され、2008年の金融危機を予測したことで有名になりました。
ナシーム・ニコラス・タレブは「リーマンショックの予言者」として知られ、時代の危機をチャンスに変え、巨万の富を築きました。彼の業績については、後に詳しく説明していきます。
ナシーム・ニコラス・タレブとは
レバノン系アメリカ人の作家、思想家、リスク・不確実性の研究者であるナシーム・ニコラス・タレブ氏は、ウォール街でデリバティブトレーダーとして長年活躍した後、研究者と作家に転身しました。
2008年、世界中がリーマン・ショックで大変なことになっているなか、彼はリーマンショックを事前に予測し、巨額の利益を得たことで知られています。タレブ氏は、複雑性や不確実性に満ちた現代社会において、従来の考え方では捉えきれない出来事の可能性を指摘し、リスクと向き合うための新たな視点を提示しています。 彼の思想は、金融・経済のみならず、様々な分野で大きな影響を与えています。
ブラック・スワンとは何か?
本書のタイトルにもなっている「ブラック・スワン」とは、以下の3つの特徴を持つ稀な出来事を指します。
ブラック・スワンの3つの特徴
予測不可能性
過去のデータや経験から予測することが極めて難しいもの
例えば……9.11テロ(2001)、リーマンショック(2008)、新型コロナウイルス感染症の流行(2020)など
大きなインパクト
起こると社会や経済に大きな影響を与えるもの
例えば……金融危機(世界恐慌1929年、リーマンショック、ユーロ危機等)、戦争(ユーゴスラビア紛争1991年、今もなお続くシリア内戦、ロシア・ウクライナ戦争)、自然災害(東日本大震災2011年)など
事後的な説明可能性
実際に起こった後に、あたかも予測可能だったかのように説明づけられるもの
例えば……過去の出来事を振り返ると、その出来事が起こるべくして起こったように見えてしまうこと(これは私の経験になりますが、コロナ禍のトイレットペーパー買い占め問題は、オイルショックを振り返れば当然の帰結だったように思えてしまいます)
なぜブラック・スワンは重要なのか?
「ブラック・スワン」は稀にしか起こらないため、私たちはつい無視しがちです。しかし、「ブラック・スワン」は私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。
本書では「ブラック・スワン」がどのように私たちの思考や行動に影響を与え、どのようにリスクと向き合うべきかについて論じています。
人間は、過去の経験やデータに基づいて物事を判断する傾向があります。しかし「ブラック・スワン」は過去の経験やデータからは予測することができないため、私たちは「ブラック・スワン」を過小評価してしまうことがあります。
また、人間はストーリー思考に陥りやすいという弱点があります。ストーリー思考とは、複雑な出来事を単純な物語に落とし込んで理解しようとする傾向です。
「ブラック・スワン」は複雑で予測不可能な出来事であるため、ストーリー思考によって理解することはできません。
なぜ、過小評価してしまうのか
白鳥の偏見 これまでの経験や知識に頼ることで、未知の出来事の可能性を過小評価してしまう
物語の誤謬 複雑な出来事を単純な物語に当てはめ、因果関係を過度に単純化してしまう
専門家の問題 専門家は、自身の専門分野における知識に過剰な自信を持ち、予測を外してしまうことがある
わかりやすく、上の3点にまとめられています。
ブラック・スワンとリスクと対処法
従来のリスク管理手法は、過去のデータに基づいて将来の損失を予測しようとするものです。しかし「ブラック・スワン」は過去のデータからは予測することができないため、従来のリスク管理手法では「ブラック・スワン」による損失を回避することはできません。
本書では「ブラック・スワン」による損失を回避するためのオプション戦略や反脆弱性の概念を紹介しています。
頑健性(ロバストネス) 予測不可能な出来事に対して耐えられるシステムを構築する
オプション性 将来の選択肢を最大限に確保しておく
反脆弱性(アンチフラジャイル) 困難やストレスから学び、成長する能力を身につける
ブラック・スワンと私たち
「ブラック・スワン」は、私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。本書は「ブラック・スワンとは何か、なぜブラック・スワンは重要なのか、ブラック・スワンとどのように向き合うべきか」について論じています。
本書を読むことで、私たちは「ブラック・スワン」への理解を深め、不確実性とリスクに備えることができるようになります。
まとめると、
ブラック・スワンがもたらす問題
人間の思考の限界 過去の経験やデータに頼りがちで「ブラック・スワン」を過小評価してしまう。
従来のリスク管理手法の限界 過去のデータに基づいて将来の損失を予測するため「ブラック・スワン」による損失を回避できない。
社会・経済システムの脆弱性 「ブラック・スワン」によって、社会・経済システムが大きく混乱してしまう。
ブラック・スワンと向き合うための考え方
オプション戦略 小さな投資で大きな利益を得られる可能性がある一方、損失が大きくなる可能性もある投資戦略。「ブラック・スワン」への備えとして有効な場合がある。
反脆弱性 変化やストレスによって、より強靭になる性質。「ブラック・スワン」への備えとして、反脆弱性を高めることが重要。
不確実性の受容 私たちは完全な予測は不可能であることを理解し、不確実性と共存していく必要がある。
本書で紹介されている具体的な手法
分散投資: 投資対象を分散することで「ブラック・スワン」による損失を軽減する。
シンプルなルール: 複雑なルールよりも、シンプルなルールの方が「ブラック・スワン」への対応に有効な場合がある。
余剰資源の確保: 変化やストレスに備えて、余剰資源を確保しておく。
失敗からの学習: 失敗から学び、改善していくことで「ブラック・スワン」への対応力を高める。
ブラック・スワンの教訓
私たちは、自分の知識や経験の限界を認識し、常に謙虚な姿勢でいる必要がある。
変化や不確実性を恐れず、むしろ積極的に挑戦していくことが重要。
失敗を恐れずに、リスクを許容する勇気を持つ必要がある。
結論
『ブラック・スワン』は、予測不可能な出来事「ブラック・スワン」がもたらす影響と、そのリスクにどう向き合うべきかを多角的に論じた本です。経済学や心理学など様々な分野の知識を駆使し、ブラック・スワンが個人や社会に及ぼす影響を深く掘り下げています。
著者のタレブは「ブラック・スワン」がもたらす影響を分析し、従来のリスク管理方法では対応できないことを指摘しています。そして、「反脆弱性」という考え方を通じて、不確実性を逆手に取って成長する方法を提案しています。
本書では、過去の「ブラック・スワン」事例とその影響を具体的に解説することで、抽象的な理論を現実世界に落とし込んでいます。金融危機やパンデミックなどの事例は、「ブラック・スワン」への対処が未来を左右する可能性を示唆しています。
本書を読み、私は日常生活やビジネスにおけるリスク管理について深く考えるようになりました。タレブの知見は、変化の激しい現代社会において非常に価値があり、多くの人に役立つはずです。
ぜひ、この機会に『ブラック・スワンー不確実性とリスクの本質』を手に取ってみてください。不確実な世界で生き抜くための重要なヒントがここに詰まっています。
リーマンショックの予言者が導くこの本で、予測不能なカオスに備えてみませんか?
【編集後記】
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