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#恋愛エッセイ
あなたと一緒に、仕事がしたい。"働く理由" はそれしかなかった。
「みなさんに、退職のご報告があります。」
部長の口からその言葉が飛び出したとき、辞めるのは彼ではないと知っていたはずなのに、大きく心臓が波打った。
実際は、部下の退職報告を代わりにしたというだけの話だ。けれどわたしはそのとき、不意をつかれて思わず息を呑んだ。
そして、考えた。
もし、彼が今、本当に会社を辞めてしまったら。
わたしは一体、どうするのだろう?
しばらくの間、放心状態になってし
恋人の家族と1泊2日のキャンプをしたら "ちょうどいい距離感" を越えたくなった。
彼の家族と、はじめて1泊2日の旅行をした。
正確には、泊まりでキャンプに行った。
ちなみに、「彼」というのは付き合って1年半の恋人のこと。
まだ正式に結婚や婚約などをしている間柄ではないのだけれど、将来のことはふたりで話していて、お互いの家族にも何度か会ったことがある。
「今度の休みに家族でキャンプに行くんだけど、一緒にどう?」
1ヶ月前、彼にそう誘われたわたしは、
「楽しそう。行きたい
"その一回" の選択が、未来のふたりをつくるから
「〇〇さん、いま離婚の危機なんだって。」
友人と話している時、ふとそんな話題が飛び出した。共通の知り合いであるその人は、「子供をつくるかどうか」という問題で相手と意見がすれ違い、平行線になり、とうとうその関係性すら解消しようとしているという。
他人の話とはいえ、それを聞いた瞬間すっと血の気が引いた。
ふたりはもう結婚してからだいぶ長い年数が経っているはずなのに、どうしてそんな大事なことを、も
わたしの世界を変えたのは、全部きみの言葉だったよ
彼からもらった言葉を、どこかに残しておきたい。
そう思ったのは、年が明けて数日経った、ある日のことだった。
残しておきたい。
そう思ったのは、昨年のわたしが「今年はいい1年だったなあ」と思えていたのは紛れもなく、彼の言葉たちのおかげだったと気づいたから。
やさしい言葉ばかりじゃない。
時には、目を背けたくなるような現実を突きつけられたこともあった。
だけどそれも含めて、彼の言葉には無視で
「夏の匂いがわからない」彼にわたしは、救われた。
わたしの恋人は、夏の匂いがわからない。
夏の匂いだけじゃなくて、金木犀の香りが空気に溶けはじめたら「秋がきたなあ」と感じることとか、春になったら明るい色の服を身に纏いたくなる気持ちとか、そういった季節にまつわるものすべて、「わからない」のだと言う。
「菜波は俺が、夏の匂いがわからない人でもいいの?」
以前、彼にそう聞かれたことがある。
「それでも、いいよ。」
そのときのわたしは、たしかそ
流れる月と君に。秋の夜長に「ことば」と向き合う手紙の展示
先日、表参道のNOSE art garageという場所で催されていた展示に訪れた。
@nose_tokyo
タイトルは、「流れる月と君に」。
作家の吉岡りんこさんの小説から始まる、15名のクリエイターによる手紙の展示、というコンセプトに惹かれて、はじめて見つけたときから気になっていた。
こういうイベントや個展は、いつも行こう行こうと思っているうちに終わってしまうことが多い。
けれど今回は、