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読書note

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記事一覧

【8月に読んだ本】

【8月に読んだ本】

1.『堕落論』坂口安吾著

戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるんだ。

薄っぺらい自己啓発本を読むぐらいなら、この本をオススメします。なんか生きづらいな~と思っている人には、安吾の文章は刺さります。

2.『pink』岡崎京子著

7月に取りあげた『ヘルタースケルター』の作者による作品。物欲のカタマリといわれるOL兼ホテトル嬢ユミコが主人公。欲しい

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【読書noteNo.23 「事務」は目標達成するために必要な技術かもしれない。坂口恭平『生きのびるための事務』】

【読書noteNo.23 「事務」は目標達成するために必要な技術かもしれない。坂口恭平『生きのびるための事務』】

フォロワーさんの一人であるshogoさんが、
今回紹介する本を取り上げており、「面白そうだな~」と思い、早速買って読んでみた。

「事務」というと、地味なイメージしか今まで持っていなかったし、いいイメージが沸かなかった。なぜなら、「事務的」な対応だよね~みたいなイメージでしか、「事務」を捉えていなかったからだ。

しかし、この本を読んで、《事務》は、今の自分が目標を達成するのに必要な技術であること

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【読書noteNo.22 今まで読んだことのないブックガイドに出会ってしまった…三宅香帆『人生を狂わす名著50』】

【読書noteNo.22 今まで読んだことのないブックガイドに出会ってしまった…三宅香帆『人生を狂わす名著50』】

本は、面白いから読むものですよ~

って言ってくれるだろうな、と期待していた。

しかしである。

出だしから、いい意味で裏切られた。

戦闘モード剥き出しの文章で笑ってしまった。

読書は戦い

でも、この言葉に嘘はない。

断言できる。

だって、本を読むことで、自分が今まで当たり前だと思っていた価値観が、音をたてて崩れるなんてことは、実際に最近あったから。

坂口安吾の『堕落論』を読んでから

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【読書noteNo.21 人間って、こんなに脆い生き物なのか 坂口安吾 『白痴』】

【読書noteNo.21 人間って、こんなに脆い生き物なのか 坂口安吾 『白痴』】

8月のはじめ、『堕落論』を取り上げた。

その勢いで、『白痴』を読もうと思ったが、岡崎京子にハマってしまい、だいぶ間が空いてしまった。そして、やっと読み終わったので、感動が覚めないうちに感想を書いていこうと思う。

この作品を読んでて、以下の文章に惹かれた。少し長い文章だが、引用してみる。

絶望的な状況の中、人間の焼かれた死体を焼鳥と表現するところに、安吾の逞しさを感じる。

もし、仮に自分が同

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【読書noteNo.20  生きる意味って見いだす必要ってあるの? 岡崎京子『リバーズ・エッジ』】

【読書noteNo.20 生きる意味って見いだす必要ってあるの? 岡崎京子『リバーズ・エッジ』】

前回、こちらの記事で「仕事に意味はあるのか」を考える上で、参考になる漫画として岡崎京子の『pink』を取り上げました。

上の記事で、「仕事は生活を維持する上で必要なアクティビティ程度と普段は捉えて、自分が心の底から欲しいモノに出会ったら、それのために頑張って働く方がいいのでは?」と書きました。仕事に意味を見いださなくてもいいのでは?というのが私の持論です。

今回も、全く同じです。

「なぜ、生

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【読書noteNo.19 仕事に意味はあるのか?と考えたときに読んでほしい  岡崎京子『pink』】

【読書noteNo.19 仕事に意味はあるのか?と考えたときに読んでほしい 岡崎京子『pink』】

この仕事に意味はあるのか?

仕事をしていると、時々こんな問いが、自分の頭の中に浮かんできます。

ネットや本を調べてみると、「どんな仕事にも意味はある」、「意味を見いだせねないのなら、意味を生み出す努力をしろ」とか、反吐を吐きたくなる言葉がズラリと並んでいます。

そういう事じゃねえんだよ…。

それで解決すれば、どんなにラクか…

そんな悶々とした問いに、ズバっと答えをくれた作品が、今回紹介す

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【読書noteNo.18  坂口安吾『堕落論』を読めば、人生はもっと生きやすくなる】

【読書noteNo.18 坂口安吾『堕落論』を読めば、人生はもっと生きやすくなる】

毎年、このクソ暑い時期になると読みたくなる本があります。それが、今回紹介する本『堕落論』です。

発表されたのは、1946年。
日本が戦争に敗北した年の翌年に発表された本です。

この本を読むと、思うことがあります。

美徳・常識・道徳ほど、人を縛り付けるものはないよな。敗戦後の日本人は、今まで自分が信じてきた美徳・常識・道徳がこんなにも呆気ないものと分かった時どういう気持ちだったんだろう…。

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【読書noteNo.17  人工美は、「美」になりうるか?『ヘルタースケルター』】

【読書noteNo.17 人工美は、「美」になりうるか?『ヘルタースケルター』】

今回取り上げるのは、岡崎京子の『ヘルタースケルター』になります。

沢尻エリカが主演の映画としても、話題になりました。※Amazonprimeで観ました。

漫画も映画も、内容としてはヘビーな内容。映画を観てから、原作の漫画を読みました

目がクラクラするほどの「美」の世界がそこにありました。そして、考えたことがあります。

「美」とはなんぞや?

あの人、自然体で美しいよね~と言われているような

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【読書noteNo.16 悪の世界に魅了された書物、その名は『悪の華』】

【読書noteNo.16 悪の世界に魅了された書物、その名は『悪の華』】

好きな映画の一つに、『小さな悪の華』(1970年)というフランス映画があります。最近、この映画を見返しましたが、美しい映画でした。

予告編は、こちら。

寄宿学校(親元から離れて、教師の監督のもとで、共同生活をさせる学校の事。)に通う二人の少女アンヌとロール。通っている寄宿学校は、カトリック系の学校です。そんな彼女達は、今回紹介するボードレールや、『マルドロールの歌』を書いたロートレアモンといっ

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【読書noteNo.15 視覚を失った人間は何に快楽を見出だすのか。『盲獣』   江戸川乱歩著】

【読書noteNo.15 視覚を失った人間は何に快楽を見出だすのか。『盲獣』 江戸川乱歩著】

この文章を読んで、思い出したことがあります。

風俗店で目隠しプレイをされたことです。

そのお店では、「目隠しをして攻められるプレイ」があるらしい。

風俗店に通い続けて、目隠しプレイはまだ経験したことがなかったので、さっそくどんなプレイなのか、興味本位でやってみました。

まず、ベッドで仰向けに横になります。
大事な部分はタオルで隠して。そして、アイマスクを着用します。これで準備完了。

あと

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【読書noteNo.14『春琴抄』】

【読書noteNo.14『春琴抄』】

禍を転じて福と為すとは、まさにこういう事なんですね。

今回、紹介する作品の登場人物である佐助。

彼は、大阪道修町(どうしゅうまち)のゆたかな薬種商の娘で、三味線の道を極めた盲目の女性、春琴につかえる丁稚(でっち)です。

ある夜、何者かによって、顔に熱湯をかけられて大やけどを追ってしまう春琴。

そんな春琴を見ないために、佐助は縫い針を自分の眼に刺し、春琴と同じく盲目となります。

盲目になっ

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【読書noteNo.13『痴人の愛』】

【読書noteNo.13『痴人の愛』】

一体、男はなんでこんなに馬鹿な生き物なんでしょうか。

この作品を読み進めていくうちに、私たち男って女性に弱い生き物で、理性なんかあってないようなもんだな…と現実を突き付けられました。

6月に見た『男女残酷物語』(1966年)という映画も、女性に弄ばれる男を描いた映画でした。最近、こういう映画にハマっています。

予告編はこちら。

閑話休題。

さっそく内容に入っていきましょう。

増村保造(

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【今月読んだ本(6月)】

【今月読んだ本(6月)】

1.『エロティシズム』ジョルジュ・バタイユ著
ちくま学芸文庫

「エロティシズム」とは、何かを考えさせられる本でした。私たちは、「エロ」という言葉を何気なく使っていますが、この本を読んで、安易に使ってはいけないんだな、と再認識させられました。この作品で、フランスの文学者マルキ・ド・サドにも言及されていて、サド論としても読めます。

2.『シュルレアリスムとは何か』巖谷國士著
ちくま学芸文庫

シュ

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【読書noteNo.12『サロメ』】

【読書noteNo.12『サロメ』】

今回、紹介する『サロメ』の一番好きなセリフ。

まだ、数える程度しか読んでいませんが、読む度に官能的なセリフだと感じます。

このセリフは、どういうセリフなのか?

ガリラヤの四分割領主(テトラルク)ヘロデは、後妻ヘロディアスの連れ子である王女サロメに「自分のために踊ってくれ」と懇願します。サロメは、ヘロデのために踊りを行い、その褒美に銀の皿を載せた「ヨカナーンの首」を要求。このヨカナーンとは、イ

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