【読書noteNo.12『サロメ』】
今回、紹介する『サロメ』の一番好きなセリフ。
まだ、数える程度しか読んでいませんが、読む度に官能的なセリフだと感じます。
このセリフは、どういうセリフなのか?
ガリラヤの四分割領主(テトラルク)ヘロデは、後妻ヘロディアスの連れ子である王女サロメに「自分のために踊ってくれ」と懇願します。サロメは、ヘロデのために踊りを行い、その褒美に銀の皿を載せた「ヨカナーンの首」を要求。このヨカナーンとは、イエス・キリストに洗礼を施した預言者である洗礼者ヨハネ(バプティマスのヨハネ)を指します。
さて、このヨハネ。ヘロデやヘロディアスの悪行を責め立てた罪で、囚われの身となっています。そのヨハネは、首切り役人の手によって処刑されます。(首を落とされます。)
冒頭に引用したセリフは、生首状態になったヨカナーンにサロメがキスをする場面です。
血のしたたるヨカナーンの生首を手にして、「お前の口にキスしたよ」と語るサロメ。
この退廃的(風紀や風潮が衰微し、既成の美徳や道徳を否定する不健全・不道徳なあり方を求める傾向。俗にいうデカダンス。)で耽美的(美を最高の価値として、美に陶酔する傾向のありさま)な世界に、私はとても魅了されます。
幼稚園生に見た『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』。
以下の動画は、映画冒頭のシーンで、一番好きなシーンです。
この映画を機に、闇の世界の虜になっていきます。そんな私ですから、世の中で美しいといわれるものには、あまり興味を持ちません。
どちらかというと、先ほど挙げた絵(オーブリー・ビアズリーという挿絵画家が書いた絵です。)のような、退廃的且つ幻想的な美しさを伴った作品を好みます。
もう一枚、関連作品をあげましょう。
フランスの画家ギュスターヴ・モロー(1828年~1898年)が描いた作品で、モローの代表作と言われています。
この絵画は、踊りの褒美である洗礼者ヨハネの首が出現する場面を描いています。
清潔な美しさとはほど遠いですが、私が好きな美しさです。
絵画だけでなく、映画でも退廃的な世界を味わいたい!という人には、『愛の嵐』という映画をオススメします。
シャーロット・ランプリングの踊りの場面は、まるでサロメを彷彿させます。この数分間だけでも観る価値のある映画だと思います。
作品の詳しい解説は、フォロワーさんの一人である堀間さんの記事に詳しく書かれています。
『サロメ』を機に、退廃的な世界に足を踏み入れてみませんか?
次回取り上げるのは、大好きな作品の一つである、谷崎潤一郎の『痴人の愛』(予定)です。