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Kちゃんの自殺後に行った僕の心のリスカは深く刃を入れ過ぎた所為かまだ痛みを伴いながら僕を蝕み続けている。その痛みは僕の左上下歯にまで到達しその蝕む過程をマジマジと僕に見せつけてくる。時にはその痛みを脳にまで到達させ、「簡単にお前なんか殺せるんやぞ。」と僕の海馬にその意識を注入してくる。僕はその蝕みを消したいからボロボロの繊維を集めた1つの集合体と、時間と労働を強いて手に入れた紙切れを対価に手にした娯楽品を使って撃退しようとした。自分の部屋から飛び出して1つ長い廊下を経由しながら到着したこの洗面台の前で
。少し緊張しながら左上下歯にスマホのライトを翳す。緊張の所為か右手は手ブレを起こして中々目的の左上下歯を見る事が出来ない。その代わり去年発見して1.2回程の受診のみでその後は歯科医の前に姿を現す事無く終わった未治療の蝕みを右下歯に確認する事が出来た。意外にも一年経ったその蝕みは1年前と同じ形をしていて日々の清掃の成果が伺えた。だが問題の左上下歯はまだ確認する事が出来ない。そこで僕は諦めを見つけようとまた長い廊下を歩き出した。少し行きよりも暗い道だった。スマホのライトを照らそうと一度その場に立ち止まると360度から僕を見つめるその目が気になって気になって仕方が無いので、ここはライトを付けるのを辞めた。少し左足首や右足の膝から足首までの間、そして右手首に痛みを感じる。僕の知らない何処かで何かにぶつかったのか、それとも誰かを傷付けたのか、それとも僕の記憶には残っていないが自ら傷付けた所為なのか。僕には何1つ分からない。だから痛みの根源を探そうにも、原因が自分だという事実が怖くて出来ない。僕はそのまま見せかけだけの空間の中に閉じ籠りながら、今この文章を書いている。

お前が好きな様に僕を蝕め。
俺に殺されてからじゃ遅いからな。

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