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【バンドが解散して】死にたくなった夜に、君の声が聞こえてきて【ロリコンファッカーズその①】

バンドが終わってしまった。世界の音が聞こえにくくなってしまった。
耳が詰まっているのか、心が削がれてしまったのか。

それまでの22年間の人生で、唯一本気を出していた。
生まれて初めて画伯ちゃんが"何者なのか"を世界に表していた。

世界で何が起ころうが、この身がどうなろうが


"生きていてよかった"

"残すことができてよかった"

そんな夜を何度だって超えたかった。
そんな物を何度だって生みたかった。


できていたつもりだった。


でも、それは狂気に変わっていく。
当時のバンドメンバーを精神的に追い詰めていく。


何も気づかないまま、すべてが加速していくなか
画伯ちゃんは幻覚や幻聴に悩まされることにもなる。

それは運転免許の合宿や、ライブハウスへ向かう途中の電車の中で顕著に現れていた。

・電車が怖かったライブに向かう途中の画伯ちゃん

大量の荷物を持ったメンバーが、先にライブハウスへ辿り着いていたにも関わらず、画伯ちゃんのいる駅のホームまで迎えに来てもらうことがあった。

"怖いから"という理由だけで。(一駅乗って怖くなって降りて、そこから動けなかった)

近所に住むメンバーなのに...
1時間かけて戻ってきてもらった...

そもそも待ち合わせに遅刻した画伯ちゃんが悪かったのに。

それなのに先に行っていたメンバーに対して

「電車怖くて乗れないから、今日はライブハウスに行けません」なんて連絡を入れていた。

当時のメンバーは本当に意味がわからなかったと思う。
今では社会不安障害パニック障害的なものだと、自分で理解できるけど、当時は周りも自分もわけがわかっていなかった。

あそこまでいったら、なんらかのハラスメントにあたっていた気さえする。

何より、ドラムと2人組時代のライブ当日だった。
そこにギターボーカルが来ないなんてありえない。

ドラムは本当に腹立っただろうな。


それから...

新しいメンバーが増えて3人組になるも、半年ちょっとで空中分解。


画伯ちゃんの理解者は他の2人だけだと思って、甘えすぎていた結果なのかもしれない。
2006年12月ほぼ同時期に2人は去っていった。

リードギターの妹子。
そしてドラムの鼻でか。


彼らが居なくなって、画伯ちゃんは1人になってしまった。


前回までは↓↓↓
(前身バンド時代。2020年製作のMV)


過去バンドまとめ↓↓↓


電話の向こう


過去の記事で書いた通り、12月初旬にギターの妹子が「もうついていけない」と言い残して脱退。

ドラムの鼻でかと2人きりになった。
しかし、少し前までの"2人組に戻っただけ"だと楽観視していた。(そう思い込むしかなかった)


翌週。スタジオ練習へ向かう画伯ちゃん。
新曲を用意して、ワクワクしたまま到着した、


しかし、なんだろう...


なんとも言えない空気感。
張り詰めて息がしにくいほど。

ほぼワンコードで進行する、革命的な新曲を発表してみても
鼻でかが真剣に合わせる様子はない。

もう、その時にはわかっていたけれど...

でも、それでも"目の前にある面白さ"だけには、ひたむきになってくれると信じていた。

画伯ちゃんだけが新曲に笑い、興奮していた。
それからスタジオを出て、同じ最寄り駅へと帰る道中。


"こんな日もあるけど、年越したらガーッとやっていったろ"
なんて考えながら歩いていた。

鼻でかが、この日"ノらなかっただけ"だと思っていた。


思いたかったんだな。

駅のホームに到着。神妙な顔つきの鼻でか。
踏切が鳴る。電車が通過する。


「もう終わりにしよう」


と小さな声で彼は言った。
確かな意味を、数秒遅れで理解した画伯ちゃん。

あんなに恐ろしい瞬間は無かったな。
恋人と別れる時とは違う、"親友にも終わりってあるんや"という感覚。

絶対に復縁することがないという"人生が枝分かれした瞬間"が見えた感覚。


鼻でかと最寄り駅の改札で"別れすら告げあわず"に別れてから、画伯ちゃんはまともに歩けなくなった。

余りにも重いギターケース。夜の駅前のボヤボヤした景色。

前が全く見えなくなった。
世界がぐるぐる回って、息がうまくできなくなった。


酒やタバコでは誤魔化せない苦しみ。
おそらく当時に抗不安薬を持っていても同じだったと思う。

誤魔化せないし、誤魔化そうとする作業すらできない。


途切れない緊張、止まらない焦燥。
画伯ちゃんは、自分の自転車に辿り着く前に倒れ込んでしまった。

その手にはケータイ電話。


着信履歴の一番上に残る相手に電話をかけた。


その向こうにいたのは、

1週間ほど前に脱退した


"妹子"


もう一度

電話が繋がり、すぐに妹子が出てくれた。
画伯ちゃんは、挨拶も飛ばして話し出す。

「バンド終わってしまった」

「え!どゆこと?大丈夫...?」

妹子の息を飲む音が聞こえた。


画伯ちゃんは、道に倒れ込んだまま泣き始める。
世界の前で泣いたのは生まれて初めて。

人通りの多い駅前の路上でうごめいていた。
ギターも自転車もこの身体さえも、持っていたもの全てがグネグネになりそうなくらいに。


「もう周りに誰もおらへんくなってもうた」

「何言うてんのよ。たくさんおるやないの」


妹子の声を聞いて、通り過ぎる車道のライトを見ていたら、世界が完全に溶け始めた。完全に。
手にはアスファルトのカス、背中にも、頬にも。人生にも。この先の未来にも。


「どうしよ。なんかヤバい。どうしよう」

「帰れるんかいな?落ち着くまで話そ。大丈夫やから」

このとき妹子が、脱退と同時に電話を着信拒否にしていたら?
人生はどうなっていたんだろう。

このとき死にたいという感情に身を任せて、車道に飛び出ていたら?
俺はどうなっていたんだろう。


道端で苦しむバンドマンに、通り過ぎる人達は怪訝な表情を向ける。
画伯ちゃんは"何者"なのか。いったい"何者"になれるのか。


"何者に"


"何者"なのかを世界に表し続けたかったんじゃないのか?
えぇ?画伯ちゃんよぅ。

画伯ちゃんが"画伯ちゃん"めいたものになって、最高の夜を何度だって超えていきたかったんだろ?

"オレ"がわかっているのに、"画伯ちゃん"がわからないことなんてあるか?
逃げちゃうのか?もう一度プレイしないのか?誰かに話を聞いてもらいたいだけなのか?

一時の不安をやり過ごしたいだけなのか?違うだろ?
えぇ?画伯ちゃんよぅ。


そんな気持ちが込み上げてきた。


その想いを

"妹子にぶつけた"

「一緒にバンドやってほしい」

「うん、いいよ!やろう!」

即答。


「え!」

「きよしくん(画伯ちゃん)は才能あるんやから。やめたらアカン。2人でやろう」

時間が止まった。


「妹子...」

「ちょっとは落ち着いた?」

「妹子ありがとう...」

時間が動き始める。


だいぶ落ち着いた画伯ちゃん。
ポケットをまさぐる。

指先で自転車の鍵の形を確認すると、溶けていた現実が少しずつ形を取り戻した。

「妹子ありがとう!落ち着いた!一緒にやってくれるの嬉しい!もう少し生きれそう」

「うん!大丈夫やから〜!」

あとがき


画伯ちゃんにとって人生の大半はどうでもよかった。
友達も恋人もいなかったし。

家族とまともに話すこともなかったし。
勉強もわからんし、知識を記憶することもできないし。


世界と渡り合えるものを、この手に持ち合わせてはいなかった。


それでも《"何者"であるか》は物心ついた頃からずっと探し求めていた。
幼稚園、小学校、中高、大学。


この22年間を生きてきて、ようやく見え始めた"何者"か。


狂気で終わらせたくない。
信じている人を、信じてくれる人を裏切りたくない。


前身バンド『ネガティブリアクションズ』でできなかったこと。
辿り着けなかったところまで絶対に行ってみせる。


そうして、妹子との新しいバンドの日々が始まった。
画伯ちゃんはどうなっていくんだろう?

"何者"になれたんだろうね?


次回
「俺たちの"バンド名"なんにしよっか」編へ


つづく

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