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加速主義

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2024年読んでよかった本

2024年読んでよかった本

今年はびっくりするくらい本を読まなかった。こんなに本を読まないのは、大学受験のとき以来だ。

とはいえnoteを見返していると、前半はそれなりに読書していたようである。

そういうわけで読んでよかった本を厳選して紹介する。

ウクライナ/ロシア関連ウクライナ、ロシアについては良書にたくさん巡り会えた。

まずロシアについて知るためには中央アジアの歴史は避けて通れないのである。

もちろんバルト海を

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J. D. ヴァンス『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』読んだ

J. D. ヴァンス『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』読んだ

次期米副大統領J. D.ヴァンスの自伝。

さすがベストセラー、めちゃおもろかった。

ヒルビリーとは、アパラチア山脈西部の丘陵地帯に住む人々のことである。基本的に田舎住まいで、貧しい人々というイメージだが、本書を読むとそのイメージは大きくは間違っていないようだ。

そしてヒルビリー達は仕事を求めてオハイオ州やミシガン州などへ出ていく。それらの地域は製造業が発達していたが、いまはラストベルトと呼ば

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磯野真穂『コロナ禍と出会い直す』読んだ

磯野真穂『コロナ禍と出会い直す』読んだ

韓国におけるクーデター未遂(まがい?)のせいで、コロナ騒動における公権力が間接直接に国民の権利を制限したことが蒸し返されている。

コロナ騒動はなんとなく収束してしまい、公権力や多数派が、法的根拠も不明確なまま国民の自由を制限したことが忘れられつつある。

だから何度でも蒸し返すべきである。

あのときはしかたなかったで済ませてはならない。

古市憲寿氏はただの上野千鶴子の子飼いだと思っていたが、

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御田寺圭『フォールン・ブリッジ 橋渡し不可能な分断社会を生きるために』読んだ

御田寺圭『フォールン・ブリッジ 橋渡し不可能な分断社会を生きるために』読んだ

白饅頭こと御田寺圭さんの新著が出たので読んだ。

本書は、スタジオジブリの機関誌『熱風』に連載された記事を中心にしたものらしい。

熱風に連載を持っているのは知っていたが、同誌はやや入手しにくいこともあり読んでなかった。ありがたい。

しかし、著者の文章を何年もほぼ毎日読んでいる私でも暗い気分になってしまう記事がいくつかあり、おいおい、これをジブリのファンに読ませたんかい、、、と驚いてしまったので

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三浦清美『ロシアの思考回路』読んだ

三浦清美『ロシアの思考回路』読んだ

いやあ、これは面白かった。

今、Kindle版はお安くなってます。

三浦清美氏のことは、この本で知った。

氏は主に正教からみたロシアの精神史について書かれていた。それが興味深くて、単著を読みたくなったのである。

高橋沙奈美氏のこの本は、より深く正教に突っ込んでいくのに対して、三浦氏はどちらかというとロシア、ウクライナ、ベラルーシの歴史、特に精神史と絡めて語っているのが特徴である。

ものす

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轟孝夫『ハイデガーの哲学』読んだ

轟孝夫『ハイデガーの哲学』読んだ

ちょっと前に、防衛大学の哲学教授であるところの轟孝夫先生のこの記事がバズっていた。いわゆる「黒いノート」刊行以降、ドイツではハイデガーに触れるのはタブーとなっているが、日本では相変わらず人気という話題である。

日本では、もともとユダヤ人差別など存在しないからか、ハイデガーは変わることなく読まれ続けているのだ。私は読んでないけど。

そういうわけでマルクス・ガブリエルが日本にやってきたさい、老婆親

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山田昌弘『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』読んだ

山田昌弘『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』読んだ

東アジアでは少子化が話題にならない日はなく、少々のことでは驚かないが、韓国の数字は衝撃的すぎるね。。。

そういうわけで少子化シリーズいきましょう。

著名な家族社会学者であり、政府の政策にも関与してきた山田昌弘氏の新書。

コロナ前に出ていたが、今ごろ読んだ。Kindle Unlimitedだよ。

トゥイッターランドに棲息する賢明な諸氏ならだいぶ前から知っていたことばかりなのだが、やはり真っ当

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長宗我部友親『絶家を思う』読んだ

長宗我部友親『絶家を思う』読んだ

知人に面白そうって教えてもらったので読んでみた。

著者は長宗我部家の何代目かの当主であり、タイトルのとおり世継ぎがいないらしい。。。

名家がこうなってしまうのは個が重視される今の時代ではしかたないことだと思うし、著者もそう慨嘆しているのだが、子孫を残すためにどういう努力をしたのかは書いてない、、、まあ無策だったわけじゃないと思うが。

長宗我部家のハイライトは、四国を制圧した元親の時代である。

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中国の少子高齢化

中国の少子高齢化

モーランド先生に続いて少子化シリーズです。

先日、こちらの記事で紹介されたレクチャーを聴講したのである。

中国の少子化はまじでやべえということがわかった。

まず中国が日本や韓国と異なるのは、昔の農業の生産責任制とかいう、家族の人数が多いほど農地面積が広くなる仕組みのせいで、男児の価値が高かったことである。これに一人っ子政策が組み合わさり、女児の中絶や遺棄が激増したといわれる。

だから男女比

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東浩紀『動物化するポストモダン』読んだ

東浩紀『動物化するポストモダン』読んだ

今さら読んでしまった、、、

去年の夏ごろに買ったのだが、今見たらKindle Unlimitedになってるし、、、

まあそれはいいとして。

本書は著者がまだ批評空間でブイブイ言わせてたころに書かれたので、内容はやや古かったりもするが、普通に面白かった。

動物化とはいうまでもなく、アレクサンドル・コジェーブが『ヘーゲル読解入門』でアメリカの消費文化を指して言った言葉である。

コジェーブはそ

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H. L. A. ハート『法の概念』読んだ

H. L. A. ハート『法の概念』読んだ

めちゃ時間かかったけど無理やり読み終えたことにした。

邦訳書は2冊あって、ちくま学芸文庫のほうが電子書籍あり、かつお手頃価格である。みすず書房のほうが訳は読みにくいが、正確とのことである。さすがみすず書房だ。

そもそも法律の文章は日本語であっても読みくい。というかたぶん日本語は法律に向いていないかもしれない。そういうことをラテン語を学んでいると考えてしまう。

法律の文章は、英語の意味は取れる

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【週末雑感】EURO2024始まる/ザ・ボーイズ シーズン4/東浩紀さんのこと

【週末雑感】EURO2024始まる/ザ・ボーイズ シーズン4/東浩紀さんのこと

週末やたら暑くて外に出る気がしなかった。日本の夏が始まったって感じだ。

そういやいつの間にかサッカーヨーロッパ選手権(EURO2024)が始まってた。

日本に2連敗してどん底だったドイツだが、開催国だからかどうか知らないが、スコットランドに快勝していた。われらがカイ・ハヴァーツも1点とったみたい。よかた。

スペインとクロアチアの試合はちょっとだけ見た。感想また明日にでも書くかもしれない。

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ポール・モーランド『人口は未来を語る』読んだ

ポール・モーランド『人口は未来を語る』読んだ

友人のSさんにおすすめされた本をようやく読んだのである。

早く読まなきゃと思っているうちに、白饅頭師匠が的確な書評を上げてしまわれて、もう読まなくていいかなと思ってしまったが、どうにか読んだのであった。

これからさらに3ヶ月たってるし、、、時間たつの早すぎやろ。。。

本書と似たような内容のものとして『格差の起源』がある。

同書は人口減少について、地球環境への負荷が減るからいい面もあるという

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三牧聖子『Z世代のアメリカ』読んだ

三牧聖子『Z世代のアメリカ』読んだ

なんとなくシラスでこんな動画を見て、この三牧さんて人は面白いなあとか、最近のアメリカの情勢どうなってるのかなあとか、そんな関心からこの本を読んでみたのである。

けっこう面白かった。

Z世代とはいまの20代なかばくらいの世代である。つまり2001年9月11日のテロのときには生まれていないか、物心がついていなかった人たちだ。

アメリカ例外主義との決別彼らに特徴的なのはアメリカ例外主義の否定である

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