御田寺圭『フォールン・ブリッジ 橋渡し不可能な分断社会を生きるために』読んだ
白饅頭こと御田寺圭さんの新著が出たので読んだ。
本書は、スタジオジブリの機関誌『熱風』に連載された記事を中心にしたものらしい。
熱風に連載を持っているのは知っていたが、同誌はやや入手しにくいこともあり読んでなかった。ありがたい。
しかし、著者の文章を何年もほぼ毎日読んでいる私でも暗い気分になってしまう記事がいくつかあり、おいおい、これをジブリのファンに読ませたんかい、、、と驚いてしまったのである。
暗い話が多いと言っても、著者の文章を読み慣れている人は知っているだろうが、声高になにかを主張しているわけではない。
というか、声高に主張することなどできない、というのが本書の通奏低音だ。
というのも、世の中の良くないことを指摘することはできても、それは我々が快適な生活を享受するために、不可避的に発生したことだからだ。
社会問題を指摘することはさほど難しくはあるまい。だが、それはわたしたちの快適な暮らしとトレードオフであることを知ってしまったら、もはや押し殺した声で語るほかなくなるのである。
普段のnoteの記事よりも、そういうことを強く意識させられる語り口であった。
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