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#写真
(1)在宅ストレンジロードムービー『ありもしないマトモだとか』
一昨年から姉と同居している。
こちらの大学卒業並びに就職後、年上の恋人と結ばれた彼女は順風満帆らしくたまにメッセージアプリで連絡を取った。
幸せそうに見えたが、やがて憔悴しきった顔で土砂降りの中、遠路遥々、関東へやって来て、すぐさま迎え入れる。しばらく身を寄せ、いつも通り明るく振る舞う姉が何とも痛々しくて離婚を条件に引っ越しを持ち掛けた。
非常に喜ぶも容易ではなかった道のり、残る傷跡、物音に怯え
(2)在宅ストレンジロードムービー『今日からは一味二味違う』
どうも寝付けない午前1時、居間にてスナック菓子片手にシリーズの映画を楽しむ姉と出会う。沈んだソファと大欠伸、寛ぎの極みはまるでトドのようだ。
幻想を抱くなどとんでもない、嫌という程、思い知らされる。
「やっぱ何度観ても面白いや。私もファンタジーの世界に住みたいな。」
「ここ出て行くなら来月分の家賃払ってね。」
「ヤダ。あの服かわいい。」
軽く遇らわれ、溜息を吐いて床に腰を下ろした。
台詞まで覚えて
(制服の群れにはぐれた少年少女) #蜃気楼
いつの間にか自分の顔を嫌い、上手に笑えなくなり、おかげで小学生時代のわたしは大抵、表情が引きつっていた。運動会での一枚ばかりか修学旅行の集合写真でさえニコリともせず。
やがて中学校の先輩と会話中に手で口元を隠したところ、彼女から
「うららはなんか、お上品だね?」
と不思議そうに言われる。そのような訳ではなく、単に癖が付いただけだった。
当時を振り返ってプリクラを見ると、試行錯誤の末〈こうしたら写
③テディベアにルーズソックス【万華鏡、暁】
颯爽と自転車に跨り、目的地を告げず漕ぎ出した彼女についていく。
「カップルの2ケツとか有り得なくない?」
「何ですか、それ。」
「後ろに乗っけて、」
「違反ですよね。」
ぶつくさ言う背中を追い掛けて、下り坂の後に辿り着いたノスタルジックな戸建てが、姫愛の家だと気付き息を呑んだが、庭先で女の子と視線がぶつかり、ほっとする。
「また鍵忘れたの?あ、妹の瑠華(るか)ね。小学生。こっちは泰直で、高校の友達
ほんとうの「 ね 」いろ
戻りたくても戻れなくて、
守りたくても守れなくて、
苦しくて悲しくて悔しくて、
変えながら続けるしかなくて。
失う、得る また夜が来て朝になる
走って転んで迷って踠いて
増える、減る まだ進む道は前にある
いつしか歌えなくなった
伝えたいや届けたいを残して
削る時間、音楽を聴く日々、様々な
これからも歌えるように、今のままでは
旅に出て答えを探し求めた
その度に思い知らされて
幾ら学んでも治ら
流れる星すら掴み取っていた。
また、だ。
突然の強い眠気に襲われて倒れ込む、不思議な現象に悩まされている。
夢ばかり見て、記憶があるうちに走り書き、色を塗る作業は気分屋の彼に任せた。
幸いなことに今回は活かせる内容だった。
これが物語のどこかは自分でも分からない、気に食わなくて破り捨てた頁、その度、文字とともに〈何か〉が消える。
毎日、届けられる手紙をとても読めなかった。
誰にも知らせず、黙ったまま扉を閉ざし、切り取る程の