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書評

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2023年5月の記事一覧

『小説 すずめの戸締まり (角川文庫)』

『小説 すずめの戸締まり (角川文庫)』

『小説 すずめの戸締まり (角川文庫)』
新海誠著

東日本大震災をテーマとした、恋愛冒険ファンタジー。

主人公のすずめは、震災被害者で、母親を亡くしている。そして、不思議な夢をよく見るという。

常世(とこよ)で起こる地震の原因となる「ミミズ」が現実世界に出現して、大地震を起こすのだという。そのミミズを押さえ込むために、閉じ師と呼ばれる人が、常世との接点となる「後ろ戸」を閉めて行くという話。女

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『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』

『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』

『バナナの魅力を100文字で伝えて
ください 誰でも身につく36の伝わる法則』
柿内尚文著

著者は、1968年生まれ。東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。ぶんか社、アスキーを経て現在、株式会社アスコム取締役。

印象に残ったこと

①仕事に恥ずかしさをもちこんじゃいけない。  性格と仕事は切り離せ。「自分の性格を切り離して伝える」ということ。

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『1984』

『1984』

『1984』
ジョージ・オーウェル著

1949年に発表されたいわゆるディストピア小説。

核戦争後の1984年の世界を舞台に、オセアニアという国家に住む主人公ウィンストン・スミスの日常が展開される。

ビッグ・ブラザーと呼ばれる党首が絶対的な権力を握り、テレスクリーンという監視器や思想警察によって人々の行動や思考が厳しく管理されてる。

ウィンストン自身は、党の都合に合わせて歴史や事実を改竄する

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『わたしを離さないで』

『わたしを離さないで』

『わたしを離さないで』
カズオ・イシグロ著

(再読版)

物語は、主人公のキャシー・Hは、孤児院の友人たちと一緒に、生き方を模索する。孤児院の子供達は、次第に自分たちがどのような運命に置かれているのかを知る。彼らは粛々と、死ぬ運命を受け入れつつも、希望を捨てずに生きる、という話。

普通の教育を受けているのだから、自分の運命を知ると発狂するものではないのだろうか?とか、思ってしまったのだけど。

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『白痴 3』

『白痴 3』

『白痴 3』
ドストエフスキー著
亀山郁夫 訳

登場人物が多くて難解な作品で、ムイシユキン公爵、ロゴージン、イッポリートがナスターシアとアグラーヤという美女を巡る複雑な三角関係が展開される。

文章には独特の引力があって、理解が難しいものの、魅了される。 2度読みしているのに、なかなか理解が難しい。

愛情深く破滅的なナスターシア。
世界をひっくり返す美しさとされるアグラーヤ。

ムイシュキン公

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『マリーの愛の証明』

『マリーの愛の証明』

『マリーの愛の証明』
川上未映子著

マリーは「死ね」という言葉を使うことができなかった。もちろん口に出すことはできないし、頭で考えることもできない。そんなマリーはミア寮というところで暮らしている。最近別れた元恋人カレン(女性)から、自分のことを愛していたのか?と問われる。という話。

何だこれは⁇なのだけど、案外深い話なのだと思った。

キーワードとして、「虐待」,「愛情」で、検索してみた。そう

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『ドグラ・マグラ』

『ドグラ・マグラ』

『ドグラ・マグラ』
夢野久作著

この小説を読破した者は精神に異常を来すと言われている。
(今のところ大丈夫だけど)

極論すると、記憶喪失の青年の1日の物語なのだけどね。

あらすじとしては、

呉一郎という青年が、母親と婚約者モヨ子を殺してしまう。その動機は不明。それは、家族の絵巻物と先祖の呉青秀の影響によって、変態的な性欲が遺伝的に子孫に伝わっているいるため起こってしまったと説明されている。

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『THE LEGEND & BUTTERFLY 』

『THE LEGEND & BUTTERFLY 』

THE LEGEND & BUTTERFLY 』(角川文庫)

●矢野 隆:ノベライズ
●古沢 良太:映画脚本

戦乱の時代に咲く、淋しい愛―信長と濃姫、運命の絆が紡ぐ伝説の物語。

歴史の謎につつまれた、信長と濃姫の愛と激動の物語。

物語は、織田信長と美濃の濃姫という二人の政略結婚から始まる。当初、二人の仲は険悪だった。運命の流れの中で次第に強い絆が生まれていく。

信長というのは、本当に鬼だ

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『20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社 e-SHINSHO)』

『20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社 e-SHINSHO)』

『20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社 e-SHINSHO)』原稿

古賀史健著

著者はフリーランスライター
1973年福岡県生まれ。かねて映画監督を夢見るも、大学の卒業制作(自主映画)で集団作業におけるキャプテンシーの致命的欠如を痛感し、挫折。ひとりで創作可能な文章の道を選ぶ。出版社勤務を経て24歳でフリーに。30歳からは書籍のライティングを専門とする。

「話すこと」と「書くこと」は

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『スタートライン』

『スタートライン』

『スタートライン』
喜多川泰著

『あなたが見たいと思う変化に、あなた自身がなりなさい』

『明日死んでしまうかのように生きなさい。そして永遠に生き続けるかのように学びなさい』

「向かい風が強いいうことは、前向いて走ってる証拠や。」

物語の冒頭に三連発の名言で始まる。

物語は大きくは五部構成で、主な登場人物は伊福大祐、長森真苗の二人。

第一部は、高校生18才の伊福大祐の目線で同級生の長森真

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『普請中』(ふしんちゅう)

『普請中』(ふしんちゅう)

『普請中』(ふしんちゅう)
森鴎外著

実録版、その後の『舞姫』と言われている作品。エリス来日の時にあったかもしれない話だと言われている。

登場人物はドイツ人女性と日本の官僚(渡辺)。渡辺がドイツに留学していた時、二人は恋人同士だったという設定。

普請中(改装中)のホテルで会食する二人なのだけど、男性の態度は冷ややか。そして、そのまま、女性は旅立っていく。という話。

物語のシーンとしては、そ

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『ローマ人の物語 8』

『ローマ人の物語 8』

ローマ人の物語8
ユリウス・カエサル ルビコン以前
塩野七生著

この巻では、ユリウス・カエサルに焦点が当てられている。
幼年期から青年期後期までのカエサルの人物像が細かく描かれている。

私自身は、圧倒的なカエサルファンなので、少しでもカエサル魅力を共有出来たらと思ってしまう。

印象に残ったこと
① 権力の座に就く前から法外な金額の借金をしていたこと。その額は、1300タラントといわれ、現在の

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『変容』(『丸の内魔法少女ミラクリーナ』その2)

『変容』(『丸の内魔法少女ミラクリーナ』その2)

『変容』(『丸の内魔法少女ミラクリーナ』その2)
村田沙耶香著

ザ村田沙耶香ワールド炸裂という感じで、なかなか面白い。

物語としては、どういうわけだか、"怒りのない"世界に入り込んでしまった主人公の真琴。周りの若者たちは、"怒り"というのは、大昔の人間の象徴だとばかりに、老人らの怒りの感情をサラッと受け流す。
何だ?これは、?という感じで物語は、進んでいく。

自分だけが、周りと違うという違和

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『なべちゃんの嫁』その2

『なべちゃんの嫁』その2

『なべちゃんの嫁』(その2)
辻村深月著

以前書いたレビューをChatGPT に読み込ませて、物語の紹介文を出力してみた。

『大学時代に「よい人」として女子たちに便利に利用されていた青年・なべちゃんが、とうとう結婚することになりました。しかし、相手の「嫁」にはいろいろと問題が…。そんな彼と、大学時代の友人たちは再び集まります。結婚を通じて、彼らが直面する人間関係や幸せについて考える、切なくも温

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