マガジンのカバー画像

301
自分の作った詞になります
運営しているクリエイター

2024年12月の記事一覧

【詞】オーロラ

【詞】オーロラ

暁の麓は氷のように凍えて
それでも会いたい気持ちが不思議でした

気になるほどに見つめてしまうオーロラは
翠を膨らませ 星の端と端を結ぶのです

願うなら大木として
枝葉や蔦を伸ばして
草木にとけこみ
この場所に居たい

知りたいことが多すぎるのに
朝には消える オーロラの夢
何でもなくなる麓は今にも
ガラスみたいに割れそうです

知りたいことが多すぎるのに

宇宙から見るオーロラは、ほんとに出現

もっとみる
【詞】メルシング

【詞】メルシング

頬を伝う水 涙らしい

庭を見ていた

雨の海は微かに閉ざす

栞の中の言葉遊び

青くない海の青さと

名前の無い蕾は縮む

煙と絡む空の雲やら

遥か先の未来も小さく

溢れる模様の庭を見ていた

扉を閉める

栞は落ちる

読んでいると、庭先に小雨がポツポツ降っている光景が浮かんできます

全体的に抽象的な文章になっているので、色々想像が膨らみます

最近投稿した詞はこちらから!

【詞】寡黙な魚

【詞】寡黙な魚

朱い空の下 返る言葉は雫に変わる

雨の合図で 咲き誇る花に 虹をかける日が来るのなら

飛び魚は跳ねる 魚座をなぞって泳いでゆく

寡黙な魚は跳ねる 魚座をなぞって泳いでゆく

今更、話すことは少ないけれど

軋轢や涙の川

降らせる街の夜を越えて

降らせる街の夜を越えて

飛び魚は跳ねる 魚座をなぞって泳いでゆく

寡黙な魚は跳ねる 魚座をなぞって泳いでゆく

魚は何も喋らないけれど
水の中

もっとみる
【詞】街が水族館だった頃

【詞】街が水族館だった頃

詩集「水族館」より

あれは街が水族館だった頃
僕もまた イルカの群れや 亀の背中と
足の速い友達が先に着くのを
追いかけていたのさ

心拍数を掌に感じながら
息を吐くのも自由だから
5時のチャイムはうんと白亜の足音鳴らす
深い考えを抜けてゆく

あれは街が水族館だった頃
魚がいつかは陸に上がる日が来ることを
僕は分かっていた
淋しいから 砂にうつむいていた

規則のない水の流れを遠くに重ねながら

もっとみる
【詞】水族館

【詞】水族館

詩集「水族館」より

水族館(a)

あの日 すべては海になった
絵の具をいくら しぼりだしても
溶けてしまうから
より強く輪郭を刻もうとしたんだ

底無しの闇を砕く 星の霧が
ずっとずっと向こうの藍色まで膨らんでいる

僕は誰も信じない場所まで泳ぎ疲れて
想像力の岩礁で休んだ

渺々の舟の行き交いが
何もない海を漕ぐのが綺麗だった

水族館(b)

睡眠の中 星と星を結んでいき
そのすべての輪郭

もっとみる
【詞】落日

【詞】落日

落日の後には 夜の花が咲く

魚の群れをなして 揺れる色彩

段々 とけていく

放課後のブランコの水性が

じわじわ とけていく

今日書いた日記をすべて

シュレッダーにかけた

落日の後には 消えてしまいたかった

深い海の砂や風に巻かれて 旅してみたかった

うみべの石の上を歩く

私の想像のともだちはもっと上を浮かぶ

落日の後には 窓の傷が疼く

ごうごうと嵐のような虚無が包む

そこ

もっとみる
【詞】ユリイカ

【詞】ユリイカ

春夏秋冬はすぐに終わるから

窓の外の表情も

過去形にすれば過去形で

雪が降り積もる

雪が降り積もることばかり考えている

瀟酒な冬か

部屋はガラクタで埋まっている

この通りの僕か

気持ちが有れば

ひとしずくの息は風になる

駆け抜けたのは

獣道の一縷

春夏秋冬はすぐに消えるから

あれは部屋に姉がいた頃

眠りの奥で思い出す

右耳まで髪が伸びては

切るタイミングを逃している

もっとみる
【詞】壁

【詞】壁

なんにもないのを穴埋めするのは難しいので

雀の涙ほどの気持ちで言葉を重ねていったら

自分の立てる足下が無くなっていました

自分で自分を削り続けて

世界から居なくなってしまおうと思っていたのか

闇を引っ掻いていた

まるで空蝉の羽根みたいな昼下がりが

トンネルを抜けた先の自分を貫いて

にやけるような日々が続いていた

高低差のある夢の切れ端で現実を編んだ

壁を撫でれば すぐに壊れる気

もっとみる
【詞】海のゆくえ

【詞】海のゆくえ

その今にも牙を剥き出しそうな鋭利な感性に

憧れを抱いた僕のゆくえは

蹴っ飛ばして 海に消えた小石のように

定まることもなく 流れ続けるものなのか

家の中を言葉で埋めたあと

大木を目がけて うんと流離ったよ

それぞれの才能が 深く心を掴んで

稜線より遥か上を飛ぶ魚が居たんだよ

生み出した 海のゆくえを考えるとき

枯れ枝の筏をシートで包むとき

虚構を砂浜から持ち帰るとき

誰かが世

もっとみる
【詞】ワルツ

【詞】ワルツ

廊下の奥 明日の萌芽

机の上 文字の夜光虫

全体を眺める

全貌を眺める

比喩というパズルをしてる

感覚で何処まで焚べる

夢の火 お化けのように進む

雲のスープを飲もう

雲のスープを飲もう

張り切って探そう

海を掻き分けるペンで

瑠璃色の写実

瑠璃色の写実

手のひらがことばの水母をつくる

まどろみの夜行

まどろみの夜行

生成AIの作る室内の動画を見ていると、全体的にぐ

もっとみる
【詞】娘よ

【詞】娘よ

娘よ 此処は囚われない 忘れ去られたものの着く場所

渺々に広がり 終わりを考えることもないから

丸い 丸い りんご飴のような氷を砕いて食べる

バリボリ音を立てても 誰も気にすることはないから

それぐらい遠い 名前もない 湖かもしれないし

波になりたいのなら 水に足を濡らして

娘よ 此処は忘れられない 一人の着く場所

夢のような 夢のように

娘よ 此処は囚われない 忘れ去られたものの

もっとみる
【詞】ゼロ・グラビティ

【詞】ゼロ・グラビティ

どんなことで悩んだって どう転がったって

誰かに送った なんとなくの問いも返ってこないまま

どんなことで悩んだって そう転がったって

今は今で 昔は昔になっていく

無重力みたいな日々を 整える言葉持っていない

無重力みたいな日々を 纏める言葉持っていない

光もない 僕は僕以外になれない

返ってこない 返ってこないまま

どんな朝が来たって どんな夜が来たって

分からないものがある 

もっとみる
【詞】夏の影

【詞】夏の影

生きているのは もしかしたら何かを探索するため

去った夏の影見つけ 暖炉で編んだマフラーと

どこまでも行き交い 行き交う 雪の宵闇が

掌に冷たかったりする

海の絵を描いた 波の細部まで

数ヶ月前の夏は塔のように佇んでいる

夏が淋しく通り過ぎるほどに

雪原の足下の凍えが大きくなる

きっといつかは比例する

生きているのは もしかしたら 夏を模るため

夏の影のもう少し先の 見慣れた建

もっとみる
【詞】花

【詞】花

ようやく信じれたものを 信じられなくなることが
ずっとずっと怖いから 花を抱いて

どこまで来たのかわかりません
手元の髪留めのゴムを引っ張れば
心や息遣いと重なる

窓辺に花を添えて 咲き誇るのを待っている
窓辺の殺風景に 眠たくなるのを待っている

きょとんとしたぬいぐるみが居なくなるのが怖いから
声を当てはめて話すのです
そういう夜が来るのです

どこに行くのかわかりません
手元の髪留めのゴ

もっとみる