マガジンのカバー画像

272
自分の作った詞になります
運営しているクリエイター

2024年8月の記事一覧

【詞】海に帰るときは

【詞】海に帰るときは

八月は遠のく そして空を模る

夜へ向かう 背中の羽根でどこまでもゆこう

渚から見ている 夏は命を歌う

ゆめうつつに 波をすべらせて

海へ帰るときは 窓を開けておこう

思い出せるように 思い出せるように

蟹に誘われて 渚に誘われて

ひとりで生きることも 誰かが居ることも

最高峰の夜が ただ 星を抱いて

離れ離れに透き通る 風を覚えている

隣り合わせになるものは

幽霊かもしれない

もっとみる
【詞】汀

【詞】汀

汀からは 足跡のない 砂の星も見える

汀からは 眠れない夜の羊の旅に出る

心の奥を漕いでゆくと 床が見える

心の淵を指で描くと 海がうつる

全部分かってたんだろう

あなたの止むことのない夢も

声も 形も 忘れられないだろう

声も 形も 忘れられないのだろう

全部分かってたんだろう

あなたの止むことのない夢も

声も 形も 忘れられないだろう

声も 形も 忘れられないのだろう

もっとみる
【詞】漣

【詞】漣

漣が 数世紀先も 数世紀前も 運んでる

緑や灰を描こうと 音を立てる

何かが少しずつ ぼやけるようで

それでも 美しい未来を思いたい

今となっては消えたものばかりが

目に入るから一つ

絵や文字で 絵や文字で

絵や文字で つづる

うたう あの子の星を見ている

数十年 数百年 数千年

輝くのなら

何かが少しずつぼやけるようで

それでも 美しい未来を思いたい

底のない川を辿って

もっとみる
【詞】一縷

【詞】一縷

少なくとも 僕と君が居て
瓶の底 眺めたりして 笑って
花のように 雲のように
鳥のように 世界を
同じように 生きていただけです

いつか嫌いになるのなら
はじめから書き直そうとしても
君のこと思い出したら
まだ胸は踊りそうです

怖いくらい 昼間の森は
虫の声の解像度高く
はじけるような炭酸の夢が
はじけるように

一縷の夏は一度きり
一縷の夏は一度きり
一縷の夏は一度きりです

一縷の夏は一

もっとみる
【詞】花火

【詞】花火

どこにもあって どこにもない空の雲は鮫みたいだ

髪飾りの彩る君がほら

足音の響いた通りを

夜を越えて 夜を越えて

歩いてゆくんだって

どこにもあって どこにもない空は果実の星みたいだ

浴衣姿でつづく橋はほら

鳴り響く拍手の熱が

ふわり舞って ふわり舞って

はじまってゆくんだって

尺玉の夢がこぼれる

川は丸く 眼鏡越しに

夏の羽根があふれる

それを君は歌にする

尺玉の夢が

もっとみる
【詞】潜水

【詞】潜水

空洞 反響する
反応する 予想できないほどの未来
見て回りたい 見て回りたいと
より潜水

空想 表情から
模る野と 長閑な遠くを
見て回りたい 振り返れば
好きでたまらない

生まれたての星を紡いで
掴む 夢の花に眠る
その水棲の星をより駆け抜けて
めぐりめぐる また遍く視野

生まれたての星を紡いで
眠るはずの夜もゆれる
花は今も 青さに染まる より確かに
めぐりめぐる また遍く視野で潜水

もっとみる
【詞】宵闇

【詞】宵闇







宵闇で
手を握った一通り







底なしの
暗がりは文字通り

目を瞑る

闇夜の日 船出へと続く星の道

目を開ければ

桟橋のはじまりから眠る月

より季節の方角 見える方
寄ってみたいんだ 歩くんだ
夜の旅路はサラウンド
一歩 踏み出すんだ あの大地

暗がりは文字通り 暗くなるほど思い出せる
散らばる星は未来まで
空をきらめく存在に







宵闇に

もっとみる
【詞】砂

【詞】砂

頬杖ついている心は
砂を歩くころには
息を吸ったら磯を感じるくらい
身近になれる
瞳はとうに海を抱擁している

鐘の響いた放課後
雲をつつんだ少女の夕暮れ
手にするノート
嘘のない文字が遊泳している

ああ

パラレル 僕が羅列している
パラレル 君が羅列している
パラレル 僕が羅列している
パラレル 君が羅列している

鐘の響いた放課後
雲をつつんだままのノートと
砂浜 フレーズ 歌う少女の

もっとみる
【詞】夜行

【詞】夜行

夜は今にはじまってゆく
曇る窓 雨をすべらせ
思うことすべての魔法が
ほどける 旅する人へ

夜は今しか見えない
もので溢れかえる
考えうる道のりに
凝らす目 夜行の流れ

夜は深く 通り沿いを
過ぎる雨 壁をすべり
向かいの 傘の上を
オノマトペのように落ちる

茂みに 糸がなびく
水の楕円を振り返り
考えうる姿を練る
冷える風 たぐる右手

川べりの香の中で
気持ちは駆け抜けていく

ひとりの

もっとみる
【詞】リバー

【詞】リバー

舟はゴットンゴットンと浮かんでいるの
リバー
僕はゴットンゴットンと覚えているの
水の中
またね 夕陽は次の日に 沈んでいくよ
記憶の頰 秋は夜霧の香りを込める

ごらんよ 瞬く間に 幾千のラララ 口ずさむ
昔より夢に夢みてる
月夜の下の絢爛と
僕は 星座を秘めている君のことを思い出している

ごらんよ 指差す葉に 一つの音が呼応する
今は針を眺めてる 蛙の歌に涼む頃
僕は 紅い雲の先 君のことを

もっとみる
【詞】祭囃子

【詞】祭囃子

電車の流れで回想する昼
想いの日の意は 故郷へ
りんご飴一つ買って歩こう
祭りの底でにぎわう光

暮れるほど 望んだ声が
段々、段々、近づいてくるよ
少しずつ降りる帷に突き上げた手
叩く太鼓の音が

どんどんと祭囃子になる
通り沿いは夢になる
どんどんと祭囃子と拍手
ふと走りだす風と私の夏が
次の番地の君までの距離、届け

車の音の鳴る 高架下に
ひとり歩く その線香花火
りんご飴だけ頬ばる夜は

もっとみる