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病院、デイサービス

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#日記

チキンカツを作る雨の夜

チキンカツを作る雨の夜

 最近の楽しみのひとつは、お弁当を作ることである。だいたい9品目の食材が入っている。例えば、白米、肉じゃが(じゃがいも、玉ねぎ、豚肉の3品目)玉子焼き、ウインナー、ブロッコリー、プチトマト、キュウリなど、すごく簡単、簡素なお弁当だ。
 
 人の三大欲の中でも、食欲は最大のものかもしれない。性欲は卒業してしまったし、いつまでも寝ていられた睡眠欲も、このところ12時を過ぎて無理やり眠る感じだ。身体を酷

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いざ、出勤!

いざ、出勤!

 新しい朝が来た 希望の朝だ…
 無理やりに、朝の憂鬱を吹き飛すよう口ずさんでみる。夜勤入りの今日は、目覚めがいつも以上に辛い。今日も、何度、防護服を脱ぎ着したらいいのだろう。
 今朝の夢は、ベランダに洗濯物や植木がたくさん散らかっている光景だった。他に、たくさんのなめくじがいる場面もあった。ネットの夢占いで検索すると、どちらもストレスが溜まっている、そう書かれてあった。

 とりあえず、朝のコー

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病院にて 〜 赤いワンピース 〜

病院にて 〜 赤いワンピース 〜

 まだ、コロナの影が露ほどもなかった頃の事。患者のAさんの元に、ご主人が毎日面会に来られていた。Aさんは六十歳前半の認知症の方。でも、トイレも着替えも食事も自立されており、童顔で可愛いらしい女性だった。

 Aさんは病気のせいもあって感情的になることも多く、ご主人の面会が遅いと携帯電話でヒステリックに叫んでいた。「何で来ないの!早く来い!」そして「バカにすんな!」それが彼女の口癖。

 ご主人は、

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その苦悩や苦労をBlowして踊りたいんだ

その苦悩や苦労をBlowして踊りたいんだ

 もっと早くあなたに出逢っていたら、曇りのない瞳で、全てを信じることが出来たのでしょうか?

 がむしゃらに突き進んで、傷つき、傷つけられた心は、違う、違う、そうじゃない!と必死に叫び声をあげるのです。

 愛すること、愛されること、そばにいること、見守ること。人によって求める姿が違うのだと、もう知ってしまったから。

 ただ、まっすぐに愛することを、こんなにも熱く語るあなたが眩しくて。その愛を受

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静かな世界

静かな世界

 ホール兼食堂に行くと夕食を待っている患者さんで溢れていた。食事カートを周りにぶつけないように運ぶ。窓の外には、垂れ込めた灰色の雲が山々を覆っているのが見える。夜勤入り、今日の勤務は始まったばかりだ。

 食事カートの扉を開けると右側が温かいもの左側は冷たいものと、ひとつのトレイで食事の温度が違う。引き出す時、時味噌汁がこぼれないように気をつけて配膳する。その様子を見ている患者さんの視線は、早く持

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渦

 家の前に流れる川が昨夜の豪雨で渦を巻いている。水量は2倍以上にも膨れ上がり、泥水と土手から剥ぎ取られた葉っぱが絡み合いながら先を急ぐ。灯りを消して目を閉じると、意識は遠く知らない場所へと流されていく。

 「ひとごろし〜!!」・・・自分の叫び声が寝室に響き渡る。隣の部屋の人に聞こえなかっただろうか?心配になり耳を澄ますが物音は聞こえない。バイクを降りた男がハサミを握りしめ私を見ている夢を見た。そ

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悔しさと切なさと、ささいな幸せ

悔しさと切なさと、ささいな幸せ

 アメイジンググレイスの曲が枕元で流れる。浅い眠りだったのだろう、夢を鮮明に覚えていた。シャワーを浴びているけれど排水溝がない。水は流れず溜まっていく。あぁどうしよう!レギュラーかというほどよく見る夢。夢占いではストレスが溜まっているらしい。

 5月からお笑い芸人さんのYouTubeに夢中だ。その中のひとつにニューヨークさんのチャンネルがある。今日は兄弟漫才のミキさんと対談している動画を見た。小

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気づかないうちに舞い降りた…

気づかないうちに舞い降りた…

これで三回目の挨拶。

「おはようございます」

病棟に入るとニイナさんが挨拶をしてくれる。

病棟で会う度何度でも挨拶をするのが彼女の習慣。

お昼には「こんにちは」何度でも何度でも。

グルグル歩き回るのは散歩なのか、頭の中を空っぽにしたいからなのか。

ニイナさんは毎日病棟内を歩いている。

控えめで人とのトラブルもない彼女。

職員は好むと好まぬと関わらず、手のかかる患者さんと対峙する事が

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煙突はなくったって

煙突はなくったって

 「煙突がない家にはサンタクロースは入れないんだよ。それに我が家はキリスト教じゃ無いから来ないのよ」昭和40年代田舎町に住む私は、母にそう言われて12月24日を迎えていた。

 それでも日頃食べられないホールのケーキにジュース、お菓子の山を貰って、ホクホクのクリスマスを迎えていた。おもちゃ?そんなの無かった。欲しい物は年明けのお年玉で買えたし、ゲーム機など無い時代、せいぜいサンリオの《いちご新聞》

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記憶が溢れても居ていいんだよ

記憶が溢れても居ていいんだよ

 上品な言葉がほろり「ありがとうございます」「貴女も忙しいでしょうけど、お身体に気をつけてね」いつも相手を気遣う言葉を発する人。今はもう、記憶が曖昧で、認知症と診断された人。

 70代の齢のアイさんは若い頃、都会で雑誌の編集に携わっていたという。英語も堪能で(私が英語を喋れず会話する機会がないのが口惜しい!)海外の雑誌記者とも交流があったらしい。「あの頃は面白かったわよ」昔の記憶がいっとう鮮やか

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記憶の片隅に、さよならチヨさん

記憶の片隅に、さよならチヨさん

 

 もう15年以上も前になるだろう。私がデイサービスに勤めていた頃の話。チヨさんは80代。ぼんやり明るさを認識できるだけの中途視力障害の方。

 「待ってたのよ〜今日は遅かったのね!」

 花が咲き誇る庭を通り、玄関を開けたら、光沢のあるシルバーのショートカット姿のチヨさんの顔がみえる。手には青い巾着袋を持っていて、その中身はデイサービスの手帳と、ハンカチ、ちり紙、押すと声で時刻を教えてくれる

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チヨさんの笑顔、そしてさようなら

チヨさんの笑顔、そしてさようなら

 「力士の中では千代大海が一番好き。昨日も張り手で勝ったの!」デイサービスに通うチヨさんはいくぶん興奮して色白の頬がうっすら紅く染まる。「千代大海はね、強くって負けん気もあってそういう所が魅力なの!」

 もう15年以上も前になるだろう。私がデイサービスに勤めていた頃の話。チヨさんは80代。ぼんやり明るさを認識できるだけの中途視力障害の方。そんなチヨさんの一日はラジオで始まりラジオで終わる。スポー

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君の記憶に灯るものは?~たんたん先生の遠い思い出

君の記憶に灯るものは?~たんたん先生の遠い思い出

 たんたん!テーブルを叩く音がする。ここは病院、いつものように朝食が終わって後片付けが終わる頃、いつものように元教師、通称たんたん先生の演説が始まる。

 「みなさーん、これから遠足が始まります。出発まで一列に並んで待っていてください」

 「何言ってるんだ!どこにも行けるわけないやないか!」

 「はいはい、落ち着いて、お口は閉じて。お利口にしていてくださいね」

 また始まったとばかり苦笑いを

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真冬のストーブと押し花と僕の先生

真冬のストーブと押し花と僕の先生

 イチロー先生は元校長先生。齢90を越えるその体躯は175センチはあろうかという身長で、ステッキ片手にゆうゆうと歩く。その矍鑠とした姿はさすが大正生まれの男子だ。

 イチロー先生は昔、中国で教師をしていた。現地の生徒に慕われていたと嬉しそうに話す。中国の冬は厳しい。イチロー先生はどの先生より早く学校に来て、教室のストーブをつける。生徒に寒い思いをさせないよう教室を暖めておく、それは生徒にとってど

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