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弱おじの本棚

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読んだ本の記録です。
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#哲学

「考える教室」を読んで「考える悦び」を学んだ話。

「考える教室」を読んで「考える悦び」を学んだ話。

若松英輔さんの「考える教室〜大人のための哲学入門」を読んだ。

まさに入門にぴったりの本で、数名の哲学者の紹介、そしてその考えをどう読み、どう思考を深めていけば良いのか道筋を照らしてくれている。

本を読むことは最高のエンタメだ。
だが、もっと楽しいことがある。
それは、本を読み、思考を深めるということ。

ゆっくりと一人で本を読み、著者との会話を通して、己の人生について深く思いを巡らす。
こんな

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意味のないこの人生で、いかに意味を感じて幸せに生きるか。 〜「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んで〜

意味のないこの人生で、いかに意味を感じて幸せに生きるか。 〜「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んで〜

野口聡一さんの「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んだ。

めちゃくちゃくらった。
そして人生について深く考える素晴らしい機会を与えてもらった。

この本を手にしたってことは、私はどう生きるかわからず辛かったのだろう。
本書を読み終えた今だって、悩みは尽きない。
だけど、目の前に少しだけ、光が差している。
こうすれば今より幸せに生きられるんじゃない?みたいな手応えが、今微かに掴めそうな気

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人生とは死ぬまでの暇つぶしだから、全力で遊んでいく。〜「目的への抵抗」を読みました〜

人生とは死ぬまでの暇つぶしだから、全力で遊んでいく。〜「目的への抵抗」を読みました〜

國分功一郎さんの「目的への抵抗」を読んだ。

ただ生きてる
本当にそれだけでいいのだろうか?

いいと思う。
だけど、人は退屈してしまう。
暇を持て余して、その空白がしんどくなる。

人生に目的などあるのだろうか。
どうせ死んでゼロになってしまうのに。
何を成し遂げようとも、いずれ皆に忘れ去られてしまうのに。

人生なんて死ぬまでの暇つぶしだ。
だから好きに生きていい。
目的なんてなくていい。

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人生暇やし、誰かに親切にしてみよう。 〜「水車小屋のネネ」を読みました〜

人生暇やし、誰かに親切にしてみよう。 〜「水車小屋のネネ」を読みました〜

津村記久子さんの「水車小屋のネネ」を読んだ。

本にサビというものが存在するなら、
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」という台詞をあげたい。
何千文字の中から、驚くくらい脳内にすっと入り込んできた。
そうだ。誰かに親切にする理由なんてそのくらいでいい。
何か暇だし、誰かのために生きてみる。
きっと自分のためだけに生きていても、その幸福にはすぐに慣れてしまって、退屈を抱える。

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人事を尽くして天命を待てと、サトミツさんが教えてくれた。〜「スターにはなれませんでしたが」を読みました〜

人事を尽くして天命を待てと、サトミツさんが教えてくれた。〜「スターにはなれませんでしたが」を読みました〜

作家 佐藤満春さんの「スターにはなれませんでしたが」を読んだ。

僭越ながら感覚が似ていて、読んでいてとても心地が良かった。
人生へのスタンスもとても参考になった。

サトミツさんは運と縁が大切だと本書で言っている。
この本から学んだことを端的に表現するなら、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を用いたい。

やれることをやる。ただし、精一杯に。
自分の熱が感じられるところを、ひたすらに掘り下げ

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好きを貫き通す中で、大切な存在に出会える。 〜「ラウリ・クースクを探して」を読みました〜

好きを貫き通す中で、大切な存在に出会える。 〜「ラウリ・クースクを探して」を読みました〜

宮内悠介さんの「ラウリ・クースクを探して」を読みました。

プログラミングに異常な才能を持つ二人の少年を描く伝記的な物語。
戦争などの運命に翻弄される姿がリアルで苦しくもなりますが、最後は希望の光が差し込む好きな終わり方でした。

本書を読んで強く感じたのは、「やりたいことをやっていくしかないよな」という潔い諦めです。
人生などどうなっていくかわからないのだし、考え方によっては既にどうなるか決まっ

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こんな生き方はできないけど、人生を楽しむことは諦めないよ。〜「死ぬこと以外かすり傷」を読みました〜

こんな生き方はできないけど、人生を楽しむことは諦めないよ。〜「死ぬこと以外かすり傷」を読みました〜

編集者・箕輪厚介さんの「死ぬこと以外かすり傷」を読んだ。

成功している人は、やはりそれに見合った努力や行動をしているのだなと実感した。
ラッキーパンチだけで名を上げられるほど、人生は甘くない。

良い意味で狂っている。
人生を楽しもうという熱量が、本を通して伝わってくる。
言葉を通じて、自分も人生を楽しんでやろうと、何だか野心的になれている。

一方で、冷静な自分もいる。
こんな生き方はできない

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心の声に耳を傾けて、選択しながら生きていたい。〜「列」を読んで〜

心の声に耳を傾けて、選択しながら生きていたい。〜「列」を読んで〜

中村文則さんの「列」を読んだ。

人間とは、どうしても他者と比較しながら生きてしまうものなのだと、改めて感じる。
気づけばどこかの列に並んで、周りの顔色をうかがいながら生きてしまう。

列から飛び出すことは怖い。
社会からはみ出して生きていく勇気を、残念ながら私は持ち合わせていない。

「そうゆうもの」という諦めを胸に、生きてしまってもいいんじゃないかと思う。
人間とは、他者と自分を比較して、どこ

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「生成と消滅の精神史」を読みました。

「生成と消滅の精神史」を読みました。

下西風澄さんの「生成と消滅の精神史」を読んだ。

すごい。分厚い。
電子書籍で読んだのに分厚い。

内容は難しくてきっと1割も理解できていないのだろうけど、心を巡ってこの長い歴史の中で多くの偉人たちが苦悩してきた事実を知れただけで、なんだか救われた気持ちになった。
そうだよな。生きることって、心ってしんどいよな。みんなそうだったんだ、僕だけじゃなかったんだ。

答えが出ないから面白いとも言える。

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逆境よありがとうのマインドが、人生から不安を取り除く。〜「ストイック・チャレンジ」〜

逆境よありがとうのマインドが、人生から不安を取り除く。〜「ストイック・チャレンジ」〜

逆境を楽しむ。
逆境は避けられない。
なら諦めて、楽しむ。人生の糧とする。

どう楽しんでいくか?
これはゲームだ。
この逆境を授けてくれる「神」がいる。
その神との対話だ。遊びだ。
面白い。やってやろうじゃないの?神様よ。

逆境を乗り越えていくことをゲームだと考えられれば強い。
人生は逆境を乗り越えて充実感を得ていくゲームだ。
何もない人生なんて味気ない。
逆境があってこそ、その向こう側に待っ

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世界との不確かな壁を築くことで、人生は楽になるかも。 〜「街とその不確かな壁」を読みました〜

世界との不確かな壁を築くことで、人生は楽になるかも。 〜「街とその不確かな壁」を読みました〜

村上春樹さんの「街とその不確かな壁」を読んだ。

現実世界と、そしてもう一つの不確かな壁に囲まれた世界を描くお話だ。

物語では「本当の自分」と「影の自分」という描写が用いられる。
この考え方は、人生を楽にするコツだなと感じた。

本当の自分の他に、もう一人の自分がいる感覚。
辛い現実世界では、その影としての自分が自動的に果たすべき役割を果たしてくれるイメージで生きればよい。

壁の内側の世界と外

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金は大切だし、そこに生まれる感情はもっと大切。 〜「黄色い家」を読みました〜

金は大切だし、そこに生まれる感情はもっと大切。 〜「黄色い家」を読みました〜

川上未映子さんの「黄色い家」を読んだ。

お金と人生について深く考えさせられた。

お金は大切だ。
けど人生の全てじゃないことも知っている。

お金がないと不安になる。
お金があってこそ得られる幸せもきっとある。
逆にお金があると失う不安が生じたりもする。
お金ってむずい。

人並みの生活ができてりゃいいやって思う。
結局は他人との比較だ。大切なのは世間体だ。
自分がどの位置にいるのか。
普通のや

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あなたの苦しみを言葉にしてごらん?それを見た誰かが救われるかもしれないよ。 〜「毒をもって僕らは」を読みました〜

あなたの苦しみを言葉にしてごらん?それを見た誰かが救われるかもしれないよ。 〜「毒をもって僕らは」を読みました〜

冬野岬さんの「毒をもって僕らは」を読んだ。

本の帯に引き寄せられて本書を手に取った。

「この世界の、薄汚い、不幸せなことを私に教えてくれないか」

登場人物の女性は余命が僅かで、生きることに希望を見出せない。
主人公の少年に対して、あなたの苦しみを教えてくれと懇願する。

苦しみを言葉にすることは、辛い。
トラウマを掘り起こす作業なんて本当はしたくない。
記憶が流されてくれるのをただ息を潜めて

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「死」を意識することで「今」は輝く。 〜「余命一年、男をかう」を読みました〜

「死」を意識することで「今」は輝く。 〜「余命一年、男をかう」を読みました〜

吉川トリコさんの「余命一年、男をかう」を読んだ。

人はいつか死ぬ。
当たり前だけど、そのことを思い出させてくれた。

今、仮に余命を宣告されたら嬉しいだろうか?
「あぁ。やっと終われる。楽になれるんだ。」と、救われる気持ちになる人だってきっといるのだろう。

人生が「期間限定」であることを、人間はすぐに忘れてしまう。
期間限定だからこそ楽しもうと思えるのだし、逆に永遠に続くと思ってしまうからしん

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