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心の声に耳を傾けて、選択しながら生きていたい。〜「列」を読んで〜

中村文則さんの「列」を読んだ。

人間とは、どうしても他者と比較しながら生きてしまうものなのだと、改めて感じる。
気づけばどこかの列に並んで、周りの顔色をうかがいながら生きてしまう。

列から飛び出すことは怖い。
社会からはみ出して生きていく勇気を、残念ながら私は持ち合わせていない。

「そうゆうもの」という諦めを胸に、生きてしまってもいいんじゃないかと思う。
人間とは、他者と自分を比較して、どこかの列に並んで安心する。そうゆう生き物。

だから列に並んでしまう情けない自分を責めない。それはもう「本能」のレベルで、努力でどうこうできる問題じゃないみたいだから。

とは言え、流されるだけの人生は虚しい。
流されながらも、自分が大切にする「軸」だけはちゃんと抱きしめておきたい。

本当は幸せなはずなのに、世間がそれを幸せと認めないからって、私までそれを否定するのはおかしいし、勿体無い。
自分が感じる幸せに対して、敏感になっておく必要があるし、外野の声をスルーする鈍感さも持ち合わせて生きていけたらいい。

私が良ければいい。
でも世間の評価も気にしてしまう。
どっちもあっていい。その揺らぎの中で、心のちょうどいいバランスを見つけていくのが人生なのだから。

後ろの人間を見下して、安心する時もあっていい。
前の人間を羨んで、絶望する時間があったって構わない。

人は強くない。
だから、流されて生きていくことを私は肯定したい。
流されていく中で、たまに見える美しい景色を、美しいと感じながら生きれたらそれは幸せだと思う。

諦めて列に並ぶ。
ただ、自分の大切なものはしっかりと抱えながら。

飛び出す勇気がない。
でも、やりたいことがある。
そんなあなたには、「いつだって戻れる」という事実を覚えていてほしい。
やってみて、ダメならまた列の後ろにそっと並べばいい。
案外、この列にはそんな人間がたくさん存在しているのもしれない。

ダメで元々。ダメなら戻ればいい。
そんな気楽さの中で、やりたいことはやる人生にしていこう。
列からはみ出すことは怖いけど、やりたいことをやらないで終わる人生はもっと怖い。

列に並ぶのは惨めだけど安心だ。
この安心感を得られていることも忘れてはならない。
全てはトレードオフで、失うからこそ得られているものが確かにある。

「選んでいる」という感覚を大切にしたい。
列に並ばされているのではなく、自分から、並んでいるのだ。
はみ出すのが怖いから。並んでおくと安心だから。
天秤が並ぶことを指し示しているから、私は自らの意志で列に並ぶことを決めている。選んでいる。

同時に、いつだって列からはみ出るという選択をすることもできると覚えておこう。
今日列に並んでいるからといって、明日も並ばなくてはならないという義務はない。

まとめると、私たちは自由なんだ。
従うべきは社会の圧力じゃなくて、自分の心が叫ぶ言葉だ。

どうしたい?どう生きたい?
心に問いかけてみる。

心の声に耳を傾けた時点で、私たちは列の呪縛からきっと解放されているのだろう。
たとえそれが、列に並ぶという選択肢であろうと、心に従った結果ならば納得がいく。

この列の先はどこへ繋がっているのだろうか。
そして私は、このまま列に並び続けるのだろうか。はたまた違う列に並んでみるのか、列のない道を進んでみるのか。

どうな人生になるか、楽しみでならない。

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