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弱おじの本棚

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2024年3月の記事一覧

人生とは死ぬまでの暇つぶしだから、全力で遊んでいく。〜「目的への抵抗」を読みました〜

人生とは死ぬまでの暇つぶしだから、全力で遊んでいく。〜「目的への抵抗」を読みました〜

國分功一郎さんの「目的への抵抗」を読んだ。

ただ生きてる
本当にそれだけでいいのだろうか?

いいと思う。
だけど、人は退屈してしまう。
暇を持て余して、その空白がしんどくなる。

人生に目的などあるのだろうか。
どうせ死んでゼロになってしまうのに。
何を成し遂げようとも、いずれ皆に忘れ去られてしまうのに。

人生なんて死ぬまでの暇つぶしだ。
だから好きに生きていい。
目的なんてなくていい。

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人生暇やし、誰かに親切にしてみよう。 〜「水車小屋のネネ」を読みました〜

人生暇やし、誰かに親切にしてみよう。 〜「水車小屋のネネ」を読みました〜

津村記久子さんの「水車小屋のネネ」を読んだ。

本にサビというものが存在するなら、
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」という台詞をあげたい。
何千文字の中から、驚くくらい脳内にすっと入り込んできた。
そうだ。誰かに親切にする理由なんてそのくらいでいい。
何か暇だし、誰かのために生きてみる。
きっと自分のためだけに生きていても、その幸福にはすぐに慣れてしまって、退屈を抱える。

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純文学とエンタメが誠にバランスよく配合されている作品 〜「それは誠」を読みました〜

純文学とエンタメが誠にバランスよく配合されている作品 〜「それは誠」を読みました〜

乗代雄介さんの「それは誠」を読んだ。

修学旅行に行った高校生の男女が、ある生徒の恩人にあうために規定のルートを抜け出していくという物語。
なんだか青春の味がした。素敵。

著者の作品をはじめて読んだけど、文章がとても好きだ。
文学的であり、ポップでもある。
洒落た言い方をしてみると、なんだか音楽を聴くように文字が脳内に入り込んできて、とても心地が良かった。

友情であり恋愛であり家族愛であり信頼

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Chatter「頭の中のひとりごと」を読みました。

Chatter「頭の中のひとりごと」を読みました。

イーサン・クロスさんの Chatter「頭の中のひとりごと」を読んだ。

この本を手に取ったのは、最近、「幸せになるには自分の心の声に従うしかないよな〜」とか感じていたからだ。まさにタイムリーな一冊。

心の声に蓋をするのではなく、耳を傾けて人生に有効に活かしていけたらいい。
もちろん、ネガティブな心の声も少なくない。
それは生存本能で自分を守るための反応だと諦めて、その上で前向きな行動を取れたら

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虚構だらけの世界を想像力とともに歩みたい。〜「鈍色幻視行」を読みました〜

虚構だらけの世界を想像力とともに歩みたい。〜「鈍色幻視行」を読みました〜

恩田陸さんの「鈍色幻視行」を読んだ。

とある小説を巡って関係者たちが謎を解き明かそうとするミステリー要素溢れる物語。
本作に登場する小説が実際の世界で書籍化されているのもすごく面白い。(未読なので絶対に読みます。)

本書が扱う大きなテーマは「虚構」、つまりはフィクションだ。
作られた一つの物語をきっかけに、大きくの人の人生が動かされ、交わっていく。

虚構に触れることで、多くの人生に触れること

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人事を尽くして天命を待てと、サトミツさんが教えてくれた。〜「スターにはなれませんでしたが」を読みました〜

人事を尽くして天命を待てと、サトミツさんが教えてくれた。〜「スターにはなれませんでしたが」を読みました〜

作家 佐藤満春さんの「スターにはなれませんでしたが」を読んだ。

僭越ながら感覚が似ていて、読んでいてとても心地が良かった。
人生へのスタンスもとても参考になった。

サトミツさんは運と縁が大切だと本書で言っている。
この本から学んだことを端的に表現するなら、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を用いたい。

やれることをやる。ただし、精一杯に。
自分の熱が感じられるところを、ひたすらに掘り下げ

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好きを貫き通す中で、大切な存在に出会える。 〜「ラウリ・クースクを探して」を読みました〜

好きを貫き通す中で、大切な存在に出会える。 〜「ラウリ・クースクを探して」を読みました〜

宮内悠介さんの「ラウリ・クースクを探して」を読みました。

プログラミングに異常な才能を持つ二人の少年を描く伝記的な物語。
戦争などの運命に翻弄される姿がリアルで苦しくもなりますが、最後は希望の光が差し込む好きな終わり方でした。

本書を読んで強く感じたのは、「やりたいことをやっていくしかないよな」という潔い諦めです。
人生などどうなっていくかわからないのだし、考え方によっては既にどうなるか決まっ

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きっと再生できる。前よりもっと、素晴らしい自分に会える。〜「リカバリー・カバヒコ」を読みました〜

きっと再生できる。前よりもっと、素晴らしい自分に会える。〜「リカバリー・カバヒコ」を読みました〜

青山美智子さんの「リカバリー・カバヒコ」を読んだ。

ある公園にあるカバの乗り物「カバヒコ」は、自分の回復した部分を触ることで実現するというご利益があると言われている。
本書で好きなのは、このカバヒコからの目線はいっさい描かれていない点だ。
苦しむ人たちがカバヒコのもとを訪れ、自身の感情と向き合いながら、様々な人との繋がりを経てリカバリー(再生)していく。その様がとても美しく、温かく、人生に希望を

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こんな生き方はできないけど、人生を楽しむことは諦めないよ。〜「死ぬこと以外かすり傷」を読みました〜

こんな生き方はできないけど、人生を楽しむことは諦めないよ。〜「死ぬこと以外かすり傷」を読みました〜

編集者・箕輪厚介さんの「死ぬこと以外かすり傷」を読んだ。

成功している人は、やはりそれに見合った努力や行動をしているのだなと実感した。
ラッキーパンチだけで名を上げられるほど、人生は甘くない。

良い意味で狂っている。
人生を楽しもうという熱量が、本を通して伝わってくる。
言葉を通じて、自分も人生を楽しんでやろうと、何だか野心的になれている。

一方で、冷静な自分もいる。
こんな生き方はできない

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「運動脳の鍛え方」を読みました。

「運動脳の鍛え方」を読みました。

茂木健一郎さんの「運動脳の鍛え方」を読んだ。

運動がメンタルに良いことは既知の事実だが、それを脳科学の視点から根拠に基づいて解説してくれているため、非常に勉強になった。

私は運動を完全に習慣化している。
それは、習慣化しなければ、生きてこられなかったからだ。必要だったから、運動した。それだけ。

仕事のストレスで人生を投げ出しそうになった時、私を救ってくれたのは運動だった。
いや。運動に関する

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「言語の本質」を読みました。

「言語の本質」を読みました。

今井むつみさん、秋田喜美さんの「言語の本質」を読んだ。

何の気なしに使っている言語を私たちがなぜ理解できるのか、どう学んできたのかを解説してくれていて、とても勉強になった。

そもそも、なぜ当たり前に言語を使用できているのか?なんて問いを、この人生で持ったことがなかった。
気づけば言葉を当たり前に使い、当たり前に生きてきた。

ここで感じるのが、私にも確かに言語を使えるようになってきた過程があっ

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生きたいように生きたい。 〜「星を編む」を読みました〜

生きたいように生きたい。 〜「星を編む」を読みました〜

凪良ゆうさんの「星を編む」を読んだ。

人生について考えさせられ、また隣で共に生きてくれる人がいる奇跡に改めて感謝を感じさせてくれる物語だった。

きっと、人生の選択に正解などない。
どの道を選んだとしても、あの時ああしておけばという感情は拭い取れないかもしれない。

だからこそ、好きに生きていい。
好きに生きるしかない。
自分が信じた道を、これだと思う道を、信じた人とわかり合おうとする努力と共に

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自分の性質を愛して生きられそうな気がする。 〜「スピリチュアルズ」を読みました〜

自分の性質を愛して生きられそうな気がする。 〜「スピリチュアルズ」を読みました〜

橘玲さんの「スピリチュアルズ わたしの謎」を読んだ。
自分という人間について理解を深めるとても良い機会になった。

本書では人間は大きく8つの分野に分けて自分を定義することができ、その特性を活かして人生を楽しむことが大切だと書かれている。

自身の場合を考える。
私の核をなす部分は、きっと「内向性」にある。
その事実をもっと早く知っていれば、若い頃の苦しみは軽減されたのかもなと思ったりする。

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「地図と拳」を読みました。

「地図と拳」を読みました。

小川哲さんの「地図と拳」を読んだ。

小説を通して戦争という歴史に触れることで、今自分が戦争の渦中にいないという事実がとても奇跡的に感じられる。
そして、現代に生まれたことをありがたくも感じられるようになった。
これが本を読むことの効能だと思う。
全く違う世界や価値観に触れることで、何でもない今が尊く思えるようになったりする。

戦争中はやりたいことなんてやれなかった。
上からの命令で戦地に赴き、

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