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【2024年9月】最近読んだ本のご紹介

もうすぐ中秋の名月ですが、「読書の秋」がまだずっと先に思えるような暑さが続いてますね💦

そんな暑さの中でも本を読むのは楽しいものです。今月も最近読んだ本をご紹介させてください。今回は5冊です📚

どれも読み応えのある本でしたが、特に、ハンナ・アレントの名著『人間の条件』を読みきったことは大きな人生経験となりました。この本はまた個別に取り上げて記事にしたいなと思っています😁

それでは、どうぞ。


📖ハンナ・アレント・牧野雅彦訳『人間の条件』講談社学術文庫

🔖心に残った一節
永続する事物の世界のうちに居場所を見出さなければ、その生命は本当の人間の生にはならないのである。

いつか読みたいと思っていた『人間の条件』。

先日、The Five Books さんがオンデマンド講義で取り上げてくれたことにより、その重い腰を上げて読みきることができました📖

講師の方の丁寧な説明を聞きながらの読書は至福の体験✨

アレントの文体は知的で小難しい印象もありますが、いわゆる難解な哲学書とは違い、メッセージ性の強い、ストレートな表現はわかりやすくもあります。

そして、ここまで人間という存在を、深淵かつ網羅的に考察した書物はなかなかないのではないでしょうか。
だからこそ本書が多くの知識人に引用され続けている理由なのでしょう。

人間ごっこは終わり。
もっと人間らしく生きなければ。

この人生で何か残したい。
そう思わせてくれる一冊です。

📖伊藤亜紗編『「利他」とは何か』集英社新書

🔖心に残った一節
もちろん小説家が原稿に向かっている最中は、ただ目の前の作品を仕上げることに全力を集中しているだけで、歴史や系譜など意識することはないのですが、そうやって完成した作品の連なりが、結果として連綿と続く小説の歴史に奉仕するための仕事になっている

「贈与」や「利他」がタイトルに含まれる本が増えていますね。

現代に生きる私たちは、交換や利己によっぽど疲れているのでしょうか。

ただ「贈与」や「利他」に漂う胡散臭さがあるのも事実。

結局人間は純粋に利他的には生きられないのではないか。

最近、私の考えていたことです。

この本を読んで、その考えは合っていると感じるとともに、利他は意図せずしっかりと存在することも実感できました。

それは自分という器を誠実に生きるということ。

自分が全力になれることを全力でやることが、人類の歴史や系譜に奉仕することになるという作家・磯﨑憲一郎さんの言葉は、私たちの迷いを幾分和らげてくれるのではないでしょうか。

利他を考える前に、自分の器を磨き信じることが大切だなと感じ、今日も私は本を読むのでした☺️

📖奥野克巳『はじめての人類学』講談社現代新書

🔖心に残った一節
人類学とは、私たちにつねに「外部」を見せ、「外部」への想像力を掻き立てながら、人間について考えてきた学知だったのです。

哲学や思想などリベラルアーツ系の本を読み進めていると、いつのまにか「文化人類学」と呼ばれる分野に手を出していることに気づきました。

レヴィ=ストロース、マルセル・モース、グレゴリー・ベイトソンなど、思想界にその名を残す文化人類学者は数多く存在します。

なぜ私たちは人類学を学ぶのか。

本書はそのヒントを教えてくれます。

本書では、マリノフスキ、レヴィ=ストロース、ボアズ、インゴルドの4名を取り上げて人類学の系譜を辿ります。

彼らの偉大な功績は、未開の部族の中に入り込んで、外部に学び、西洋を中心とする社会を批判的に見つめたこと。

日本の柳田國男も近代社会を憂いて、民俗学を創始したと伝えられています。

先人が持った危機感を受け継いでいくこと。

それが、人類学を学ぶ意義ではないか。

入口としておススメです🌟

📖山本芳久『100分de名著 アリストテレス 二コマコス倫理学』NHK出版

🔖心に残った一節
人間の行為や存在の究極目的は幸福にある

大好きな番組の、Eテレ「100分de名著」。

気になっていたアリストテレス・ニコマコス倫理学の回はテキストも入手して読みながら番組をみました。

偉大なる哲人アリストテレスの思想から何を受け取れるだろうかと、ワクワクしながらテキストをめくる、私。

すると、冒頭からシンプルに「人間は幸福のために生きている」と言われると、気持ち良い風が吹いたような、スーッと楽になる感覚がありました。

難しく考えるな、と肩をポンっと叩かれた気持ちでした。

あらゆる行為はすべて幸せになるためなんだと考えると、物事が至ってシンプルに見えてくるから不思議です。

さすが、アリストテレス。

しかし、100分de名著シリーズは分かりやすくて本当にお得ですねぇ😆

📚最近読んだ本のご紹介

📖西村佳哲『ひとの居場所をつくる』ちくま文庫

🔖心に残った一節
日本、とくに東京のような都市にいると、「働いて」いるか、あるいは「お金を使って」いないと、まちにあまり居場所がない感覚がある。

以前、西村佳哲さんの『自分をいかして生きる』を読んで、その文体に感動したのを覚えています。

久しぶりにそんな西村さんの文体に触れたくなって、自分の中で「居場所」がキーワードだったこともあり、こちらの本を読んでみることに。

西村さんの文章は、何がよいのか。

それは、柔らかに本質を射抜いていることだと思います。

誰もがなんとなく気付いているけど言葉にできていないことを、西村さんはさらっと核心をついた言葉にしてくれるんです。

上で挙げた、都市の居場所のなさを表現した一節もまさにその感覚。

時代を的確に捉えた見識の深さが成せるワザでしょう。

ちなみに、本書はランドスケープ・デザイナーの田瀬さんへのインタビューを軸に構成されておりますが、個人的には、西村さんの見識に触れられる「注釈と付記」や長めの「あとがき」が本書の読みどころです✨

以上、5冊でした。これから訪れる秋のおともにいかがでしょうか。

読んだ本はインスタでタイムリーに紹介しているので、もし興味ある方はぜひフォローしてください😁

〈instagram〉
https://www.instagram.com/masaki.tomaru/

最後に、最新の読書会もご紹介させてください。

その名も『積読ダイアログ』✨📚

内容はいたってシンプルです。

オンラインで2時間集まり、前半は積読本をじっくり読む時間、後半は感想を話し合う時間を持ちます。

少人数なので、本についてじっくり対話できるのも魅力ですし、お互いに全然違う本を読んでるのに、対話で予想外なつながりが見つかったり、新しい発見があったりして、これが面白いんです😆

気軽に参加してもらえるし、積読が1冊減ることは確実です!笑

現在、9/20(火)19:30〜の回を募集しておりますので、ご興味ある方、ぜひ下のリンクから詳細をご覧ください💁

ご参加お待ちしております📚🌝

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