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料理を好きになれない足取りで、私は100均へと向かった
プロローグ
吾輩は、生粋の面倒くさがり屋である。掃除、洗濯、料理。全てにおいて、家事があまり好きではない。私の家事嫌いをよく知る夫は、私の代わりに率先して掃除、洗濯、料理をしてくれる。
「私よりも、もっといい人がいたはず」
「仕方ないやろ。結婚してしもたし」
こんなやりとり、一体何度したことだろうか。そういえば夫は昔、私に「焼きうどん作って欲しいなぁ」とか言ってたっけ。あの頃は、まだ付
「なんのはなしです課」通信 際際な三十通目
noteの街の路地裏へようこそ。月曜日をぶっ飛ばせのお時間です。この通信は、世界中の通信員から、決められた期間に秘密裏に報告された #なんのはなしですか から追っています。月に二度だけ開門される路地裏の入口を見つけてしまって迷い込んでしまったどこか「おかしい」人達だけが素知らぬ顔で集まっております。
いったいどこで路地裏を知り、どこから誘い込まれたのか、そしてこの「なんのはなしですか」という言葉
龍は本当にいるんだよ【掌編】
みるみるうちに黒い雲で空が覆われ、まだ昼過ぎだというのに夜のような闇が迫ってきた。生ぬるい風が私の頬を撫でて髪の毛を揺らした。いまにも雨が降り出しそうな空模様だった。
「急ごう」
鄭強が言った。そう言うや否や、鄭強が私の手を握った。それはとても自然な動きだったから、私は鄭強に手を握られたことに気づく暇もなかった。
狭い路地裏を小走りで進む。道端の露店は店じまいを始めている。
角を