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情報の民主化がもたらしたオープンイノベーション ~学びあうオープンイノベーション(4)~
そもそもオープンイノベーションとは何なのでしょうか?
他者(他企業や大学)との共同研究開発は、従来から行われてきました。それとオープンイノベーションは何が違うのでしょうか?
歴史的背景から解説していきます。
インターネット時代の到来
1995年11月、米マイクロソフト社から画期的なOS「Windows95」が発売されました。このWindows95が、それまでのWinodws3.1と異なっ
「キーデバイス(キーとなる要素技術)は内製化」は本当に正しい戦略か 〔学びあうオープンイノベーション(3)〕
先日、筆者の著書「学びあうオープンイノベーション」をベースにした「なぜソニーは、世界最強の『CMOSイメージセンサー』を開発できたのか」という記事(※1)がJBpressより公開されました。
この記事の内容は、日本のモノづくり企業では「オープンイノベーション」に対し誤解があると述べ、「脱自前主義」がオープンイノベーションの本質ではないと説きました。その具体例としてソニーが自社技術と他社の技術を
学びあうオープンイノベーション(2)~ 短縮化するビジネスの賞味期限 ~
自社だけで新規事業を開発するのが難しい要因の一つとして、プロダクトライフサイクルが短くなり、ビジネスの賞味期限も短くなってきている背景があります。
プロダクトライフサイクルには、導入期、成長期、成熟期、衰退期があります。ビジネスとして利益を上げられるのは「成熟期」です。下図グラフはテレビの国内出荷台数推移ですが、ブラウン管テレビの時代は、この成熟期が30年ほどありました。しかし、液晶テレビに
学びあうオープンイノベーション(1)~三菱スペースジェットとホンダジェットを分けた要因の本質は何か~
2024年3月に日本経済新聞出版より「学びあうオープンイノベーション ~新しいビジネスを導く“テクノロジー・コラボ術”~」を上梓しました。
このnoteでは、この本で書かれた内容について、本文中には書かれなかった背景にあるものや、本題から外れるため書かなかった考察結果について解説します。本書と一緒に読むことで楽しんで頂ければと思います。
まず初めに、本書の冒頭で登場するのは、2003年にア
兵庫開港の意義(国際社会との約束とは)
1868年、横浜開港から9年後に兵庫開港が実現し、神戸が世界に対する西の玄関となった訳です。しかし、この兵庫開港実現には乗り越えなくてはいけない大きな課題がありました。
当時の天皇であった孝明天皇が大の異人嫌いであったため、それにより「尊王攘夷」という言葉が大流行したのですが、この天皇がいる京都に近い神戸を開港することに朝廷が猛反対していたのです。京都から遠く離れた横浜とは事情が全く違ったので