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学びあうオープンイノベーション(2)~ 短縮化するビジネスの賞味期限 ~

 自社だけで新規事業を開発するのが難しい要因の一つとして、プロダクトライフサイクルが短くなり、ビジネスの賞味期限も短くなってきている背景があります。

図:プロダクトライフサイクル(筆者作成)

 プロダクトライフサイクルには、導入期、成長期、成熟期、衰退期があります。ビジネスとして利益を上げられるのは「成熟期」です。下図グラフはテレビの国内出荷台数推移ですが、ブラウン管テレビの時代は、この成熟期が30年ほどありました。しかし、液晶テレビになると、市場が急成長した後、一気にシュリンクしました。利益を上げるべき成熟期がほとんど無いのです。

「『学びあうオープンイノベーション』の図4-1:製品ライフサイクル(ディスプレイのケース)」より(※1)

 このプロダクトライフサイクルの短縮化はテレビだけの特異な現象ではありません。経済産業省が2016年に調査した結果では、あらゆる業種・業界でプロダクトライフサイクルは短縮化していると感じている企業が多かったことが判明しています。特に「電気機械」「化学工業」ではライフサイクルの短縮化が顕著となっているようです。

グラフ:2016年版ものづくり白書 図132-2 「10 年前のライフサイクルとの比較」(METI/経済産業省)より

 インターネット・SNSが普及した現代では、情報が瞬時に世界中を駆け巡り、良いものは瞬く間に売れる時代となりました。
 ビジネスとしての賞味期限が短くなった今、開発にスピードが求められるようになりました。自社だけで時間をかけて開発する余裕はなく、自社で不足している技術は外部から調達し、自社の技術と外部の技術を上手く組み合わせて、いかに商機を逃さずに投資を回収するかがビジネス成功の重要な要素になったといえるでしょう。
 オープンイノベーションとは自前の開発を放棄する意味ではありません。この「自前の技術と外部の技術を上手く組み合わせる」というとことに価値があります。

※1:データ出所:JEITA〔グラフは筆者が作成〕

■「学びあうオープンイノベーション」~新しいビジネスを導く“テクノロジー・コラボ術”~」2024年(日本経済新聞出版 日経BP)

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