お仕事読書で宗教社会学についてちょい触れ。「世俗化」「再聖化」といった語を知った。宗教学は性善説で、カルト宗教の闇の面はジャーナリズムの仕事だと切り離す旧来の考えがあった、という話も興味深い。伊藤雅之『現代スピリチュアリティ文化論』(明石書店、2021年)
宗教学研究において、特定研究分野の他、基本的な学問は、「比較宗教学」と「宗教社会学」であり、前者では、私のように、ユダヤ教の研究であれば、『聖書』(『聖書』と言えば『旧約聖書』)を吟味し、ヘブライ語で記された『聖書』を引用しつつ、議論できるようにしなければなりません。
「宗教社会学」に拠れば、寺の経営は、檀家数1000戸で安定、500戸で何とか成立、300戸では兼職しなければ成立せず、日本の寺の80 %は、300戸以下であり、しかも、少子高齢化により、墓の引継ぎ者がなく、寺の80 %は、将来、存続の危機に、日本の仏教の未来には、暗雲立ち込め。
『桜井淳宗教論』(論文・記事193本)は、昨日2時間、本日2時間で、編集を完了し、内容は、曹洞宗雲水としての問題意識のみならず、「比較宗教学」「宗教社会学」の視点から、ユダヤ教、ヒンドゥ教、仏教、キリスト教、イスラームについて、文献調査・現地調査の結果を自由に綴ったものです。
(続き)私の宗教学の研究分野は、「中世ユダヤ思想の研究」を中心とし、宗教基礎理論として、「比較宗教学」(ユダヤ教とヒンドゥ教と仏教とキリスト教とイスラームの相互比較)と「宗教社会学」(宗教と社会の相互作用)を極めており、少子高齢化による寺の経営状況や寺の数の減少問題なども検討中。
「宗教社会学」に拠れば、日本の寺の檀家数と経営状況は、 ・檀家数 300戸 住職は兼職 割合80 % 苦しい、 ・檀家数 500戸 住職は専業 割合10 % 何とか、 ・檀家数1000戸 住職は専職 割合10 % 楽々、 少子化により、墓の維持が困難、墓じまいと寺閉鎖が進行中。
私は、東大大学院人文社会系研究科で、「中世ユダヤ思想」の研究を中心に、「比較宗教学」「宗教社会学」さらに、「インド哲学」も学び、「インド哲学」は、木に竹を接ぐように感るかもしれませんが、「インド哲学」の内容は、古代インド宗教(仏教やヒンドゥ教など)であり、本質は、宗教学です。
靖国神社や護国神社(鳥居があり、神主や巫女や宮司がいるため寺と言うより神社)には戦没者が神として祀ってあります。靖国神社と護国神社の「みたま祭」は、おカネをかけ、大変、立派な施設を作り、良い雰囲気の中で、実施されています。「宗教学」や「宗教社会学」の視点から興味ある催し物。
日本の仏教寺院は、八割が経済的に成り立たず、少子化の中で、墓じまいなど、深刻な状況下にあります。檀家数が300戸ならば、兼職せざるをえず、500戸で専業で成立し、1000戸ならば、安泰となりますが、大部分は、300戸です。「宗教社会学」からすれば、日本仏教は、存続の危機。