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シャルロッテンブルクの街、アッシュの家。 月夜にベッドですやすや眠るのは、エルルとマリオ。 (急にポータルが開いた時には、驚いたけど) タイムばあやも、安心して孫の寝顔を見守る。 アルゴ号が沈む寸前、避難してきたのか? (きみは、だれ?) マリオは、不思議な夢を見ていた。

オペラ:チャイコフスキー《マゼッパ》、エルル・チロル・フェスティヴァル Tiroler Festspiele Erl, 21.07.24

「ふぉぉぉぉ〜!来る、来たぁ!!」 「エルル、走ったら危ないよ」 いきなり、騒がしい気配。もしやこれは? まさかと思いつつ、曲がり角をのぞきこむパパさん。 ごっちんこ☆ 「ぐわ〜っ!?」 頭に星が回る。目の前に現れたのは、エルルちゃん。 北欧の薄焼きパンをくわえていた。

ロキがオルルーンとエルルを見比べながら、思案する。 「話を聞いた限りだと、流れ星が落ちた後…この子になった?」 「誰かが、彼女みたいな娘を嫁に欲しいとでも思ったのか?」 戦乙女の一人ヘルヴォルが、推測を述べる。 (対象を複製する漂着物…もし巨人に使えば?) 謎は深まる。

朦朧とする意識の中、流星に頭を打たれたオルルーンが身体を起こす。 「大丈夫か?」 一緒に水浴びしていた、仲間の戦乙女も駆け寄って。 「だいじょぶですかぁ?」 おかしいぞ。三人で来たのに、四人目がいる。 「誰だお前は?」 「エルルちゃんはぁ、エルルちゃんですよぉ♪」

オペラ:ワーグナー作《ラインの黄金》、エルル・チロル・フェスティヴァル、05.07.24 Tiroler Festival Erl

オペラ:ワーグナー作《神々のたそがれ》、エルル・チロル・フェスティヴァル、10.07.24, Tiroler Festival Erl

オペラ:ワーグナー作《ジークフリート》、エルル・チロル・フェスティヴァル、08.07.24 Tiroler Festival Erl

オペラ:ワーグナー作《ワルキューレ》、エルル・チロル・フェスティヴァル、06.07.24 Tiroler Festival Erl

ブリテンはムウの遺産を集め、軍事・民間問わず利用する。 この街の至る所で見かける、走る鉄の箱もそう。 新大陸で先住民の聖地から盗まれた「七海の瓶」を悪用し、ブリテン海軍はイスパニア艦隊を壊滅させた。このまま好き勝手させては危険だ。 秘宝の奪還が、ソルフィンからの頼みだった。

リヴァプールで宿を取る一行。 万一に備えクワンダは隣室へ、シャルロッテとエルルは相部屋。 ベッドに寝ると、今日の疲れが一気に。 「エルルしゃん。ヤスケしゃんのことでも考えてまちたか?」 「シャルさぁん、鋭いですねぇ」 ヒノモトで知り合った、元奴隷の青年。今頃どうしてるだろう。

「順を追って話すよ」 「これは、シチリア島に暮らす男女の悲しき物語」 エリックが事情を話そうとすると、マリスが合いの手を。 どこにあったのか、エルルがフラメンコギターで悲しげな旋律を奏でる。 「キミ、ノリがいいね」 「趣味で吟遊詩人ごっこを少々♪」 「しょうがないな…」

いよいよ、お待ちかねのサウナ。火山の如き熱気に、玉の肌を流れる汗。 「エルル、ヒノモトの彼とはどうなの?」 「ヤスケさぁんは、お友達ですよぉ♪」 女三人集まれば、やっぱり話題はコイバナで。 「シャルさぁんとマリカさぁんは、勇者の花嫁の座を争ったんですかぁ?」 「秘密でち!」

「まずは、シチリア島へ向かうでち」 「お酒と合う、レモンの島ですねぇ♪」 物見遊山に留まらず、船にまで乗り込んでるエルル。 「断って密航されるよりは、ね?」 カレの港での出来事を思い出し、顔を見合わせるマリカとシャルロッテ。 「壊血病予防に、酸っぱい果実は欠かせないの」

「ヨミコさぁんの夢ってぇ、ホントは何ですかぁ?」 飲み友として悲しいと、眠り姫エルルが乱入。 「オレも止めさせてもらう。世話になった義理だ」 「ノブナガの飼い犬か」 黒い肌の巨漢ヤスケも、ヨミコと対峙。 「魔王軍に滅ぼされたヨハネスの街を立て直す前に、ひと仕事やるか」

音楽ニュース:セクハラ事件の続き、オーストリアのクラシック音楽界におけるセクハラ疑惑、グスタフ・クーンの場合

オペラと旅の話:エルル・チロル・フェスティヴァル2019、ブラウンフェルツ(作曲とテキスト)、《鳥》プレミエと劇場

「だいじょ〜ぶ、エルルちゃんが来た!」 不意に、柔らかいものが。 覗き込んでくる、つぶらな瞳。距離が近い。 「お主は!?」 オルルーンに似た、誰か。 でも彼女は、いきなりハグなどしない。 「彼女は、オルルーンに落ちた流れ星の化身なんだ」 ロキの説明に、呆然とするオグマ。

(招かれずにワルハラへ入った私は、不法侵入なのか) パパさんが自問する。では、赤い糸で結ばれたこの子は? そのとき、脳裏にあの演説が浮かぶ。シャルル総帥の。 「生きることは、戦いだ。長き冬を耐え抜いた同胞のために… 私は、ここに宣言する」 一触即発の状況で、彼は何を!?

エルルを心配したロキが、曲がり角を曲がると。 見知らぬ服のおっさんが、彼女の下敷きに。 「これは!?」 数多の魔術に通じるロキには、見えていた。 エルルと彼を結ぶ、絆の糸。 それは、戦乙女が自ら選んだ戦死者との間に結ぶつながりに似て。 「知らないよ、こんな魔術…!」

「私の代わりに、オグマの世話を頼めるか?」 「エルルちゃんにぃ、おまかせですぅ!」 地上に残るオルルーン。 (素性も知れぬ娘に、こんなことを頼むとは。 不思議なものだが…運命に縛られない彼女なら) 「彼女は僕が、ワルハラまで送り届けるよ」 ロキに抱えられ、飛び立つエルル。

年が明けて、エインSAGAの配信も再開。 パパさんが楽しげに、再生をクリックすると。 (あれ、オルルーンに妹いたっけ?) 森の中、三人の戦乙女が困惑した様子でロキと話している。 そして、後ろで見ているエルルちゃん。 間違いない。彼女は夢で見た…! どうして、夢とアニメが。

止まらない終末へのループ、終わりなき戦乱の冬 一筋の流星は、誰の願いを映したか 悪戯の神ロキが盗み出した、世界を滅ぼす巨人の秘密 異世界の勇者たちは、輝ける殿堂に集う 新番組「輝堂勇者エインSAGA」 立ち上がれ、ニホンの勇者! …あれ?

翌朝、リヴァプールの宿。食堂に漂う、スパイスの香り。 「バーラトの香辛料を使った、流行りの煮込み料理でございます」 食欲をそそる、鮮やかな黄色。 「黒胡椒以外にも、色々あるんでちね」 「いいことした後はぁ、食事が美味しいですねぇ!」 女子二人、満面の笑みでカレーを頬張る。

「やっぱり、ヤスケさぁんだ!」 「まさかとは思ったけど」 エルルとヤスケは、ウルルの大岩以来1年ぶりの再会。 「ヒノモト仕込みの銃の腕で、サムライの義侠心でちゅね」 ヒデヨシも奴隷制に怒ってたと、シャルロッテも語る。 「あんたも、魂だけで実体あるのか?」 「修行したでち」

「奴が来たぞ!」 「闇森の黒猿だ」 恐慌に陥るブリテン兵。無闇に発砲するも、何者かの狙撃で次々と倒れてゆく。物陰から様子を見るエルルとシャルロッテ。 「俺たちの英雄だ!」 黒人たちは熱狂し、踊りに似た独特の格闘技で抵抗する。 「ヤスケさぁん!」 思わず、エルルが叫んだ。

「アリさんがぁ! 甘いのないですよぉ?」 押し寄せる兵隊アリに、フライパンで応戦するエルル。 「マリオしゃんには、指一本触れさせないでち!」 シャルロッテも、氷の魔銃でアリを撃退する。 「待って、マリオが…?」 マリカの脳裏に、迸る直感。 「こっちよ!」

今夜はスイートルームに一泊。 三人娘がパジャマパーティで作戦会議。 「ロバニエミの時みたいに、島全体を一つの夢で覆うでち」 「行き先は、ゼンタの夢ね。あたしはマリオのお世話もあるから」 「エルルちゃんも、手伝いますよぉ!」 夢見の宝珠で、真相究明タイムの始まりだ。

「ぎゃ〜すぅ! おば、おばけぇ?」 不気味な軋み音と共に、霧の中から現れた幽霊船。 事情を知らないエルルはおったまげ、笑うシャルロッテ。 「お〜い!」 「おばあちゃん!」 マリスとマリカが手を振り合う。さらに混乱するエルル。 「ウルルの大岩でのことは、ボクも夢で見たよ」

「この子はマリオ。目元がアッシュ似でしょ?」 「可愛いですねぇ♪」 一行は親子の新居へ。赤子がエルルに手を伸ばす。 「でもぉ、冒険には連れてけませんよねぇ?」 「大丈夫。あたしの母さんも、船の上で育ったから」 この親にして、この子あり。 「クワンダさん、いいですか?」

馬車の上で雑談が始まった。 「君のように素敵な女性を妻にしたいが、自由な渡り鳥を縛りたくない」 ホランド王に言われたと、胸を張るシャルロッテ。 「シャルさぁん、やるぅ♪」 「社交辞令だろうな」 そこでエルルが思い出す。 「ソルフィンさぁんとはぁ、その後どうですかぁ?」

広大な緑地に大テント。楽団の演奏に、乾杯の声。 エウロパ中央の都市バイエルは、今年も秋のビール祭りで賑わう。 幻の銘酒、酒蔵ヘイズルーン。 テントの下で忙しく応対する金髪娘の青い瞳に映る、見覚えある姿。 「シャルロッテさぁん?」 「エルルしゃん!」 1年ぶりの再会だった。

手を振るソルフィンのバイキング船が、みるみる小さくなる中。一緒に来ていたエルルがシャルロッテに耳打ち。クワンダが不思議そうに見る。 「シャルロッテちゃんの新しい恋、応援してますよぉ♪」 ソルフィンへの恋心を自覚した少女は、顔を赤くしつつも拳を握る。 今度こそは、いい男ゲット。

同じ頃、ロバニエミ村の酒蔵で目を覚ますエルル。 「ふぁ…よく寝ましたぁ」 どれだけの間、寝てたのやら。 しばらくぼんやりしていたが、急に用を思い出す。 「ああっ、バイエルのお祭りに出すエールはぁ!?」 ヒノモトの米酒も素晴らしいと思いつつ、街の様子を見て回った。

「エルル。世話になったが、俺は故郷へ帰る」 「ヤスケさぁん?」 城下町の屋敷で、酒蔵の娘と黒い肌の巨漢が話している。 「復活したヨミコがノブナガ様から魔王の座を奪って以来、ヒノモトは…」 ヒデヨシと大陸へ渡るが、それが最後の奉公。 かつて魔王に仕えた男は、寂しげに呟いた。

「ヨミコさぁん、ナイス飲みっぷりぃ!」 酒蔵の娘がお酌する酒を、ぐびぐび飲み干すヨミコ。なぜか仲良し。 しばし後、気が晴れたのか。またなと言われて娘は退出。 「さっきの子ね」 「魂だけで実体があるじゃと?」 霊体で偵察中のマリカとおばば。天守閣での会話も、全て聞いていた。

酒蔵の娘から膨大な夢のチカラが漏れ、渦巻く二つのポータルを形作る。 「すごい…この子」 中に見えるはロバニエミ近郊の森、もう片方はヒノモトのお城か。 「民家のベッドを借りて、魂だけで行くのが無難ね」 マリカの助言で、夢渡りを試みる一行。 「シャルロッテ! 勝手に行くな」

「途方もない、夢のチカラが渦巻いてるな」 「酒蔵はもっとヤバい。危険だから近寄ってないが」 暴走する夢は、村周辺を現実から切り離したのか。 「手伝いに来たわ」 夢渡りでリモート参加のマリカも加わり、一行が酒蔵で見たのは。 「んんぅ…ヒノモトぉ…おしゃけぇ…」

おたねさんちの童話集 「雨蛙のエルル」