【発達障害】こんなときどうしたらいいの?#12~思い通りにいかないとかんしゃくを起こす~
はじめに
発達障害を持つ子どもは、感情のコントロールや行動の自己管理が難しいことがあります。ゲームで負けそうになると怒り出したり、自分の希望が通らなかった時に泣いて暴れたりすることが多いです。これは、感情のコントロールが難しいこと、ものごとへのこだわりが強いこと、そして想像する力が弱いことなどが原因となっています。
1.子どものかんしゃくを理解する
例えば、負けて悔しい気持ちや嫌だという気持ちを抑えられずにかんしゃくを起こすことがあります。また、「勝つこと」にこだわりが強い子どもは、負けることを想像していないため、実際に負けた瞬間にかんしゃくを起こしてしまうこともあります。さらに、「休み時間はみんなでサッカーをするんだ」と思い込んでしまうと、それ以外の遊びを受け入れられずにパニックになることもあります。
2.落ち着くための環境を整える
子どもがゲームで負けて怒り出した場合、そのまま叱ったり制止しようとすると、さらに感情が高ぶってしまいます。まずは静かな場所に移動し、クールダウンさせましょう。例えば、リビングから子どもを自分の部屋に移動させ、静かな環境で冷静になる機会を与えます。落ち着いた後、子どもの気持ちを尊重し、「負けて悔しかったんだね」と言葉で確認します。そして、どのように振る舞うべきだったかを一緒に考え、次回の同じ状況に対処するための方法を話し合います。
3.自己コントロールの方法を教える
親や先生が子どものそばにいない場合でも、子どもが自分で感情をコントロールする方法を身につけることが重要です。たとえば、かんしゃくを起こしそうになった時には以下のような方法が有効です。
①静かで一人になれる場所に行く
例えば、自分の部屋やお気に入りのコーナーに移動し、落ち着くことができます。
②水を飲む
水を飲むことで、リラックス効果が期待できます。
③深呼吸をする
ゆっくりと深呼吸をすることで、心身を落ち着かせることができます。鼻から息を吸い込み、口からゆっくりと息を吐き出します。
④手足をぶらぶらさせて体の力を抜く
手足をゆっくりと振りながら、体の力を抜いてリラックスします。座ったり立ったりする姿勢で行うことができます。
これらの方法を子どもに教えてあげることで、彼らが自分に合ったクールダウン方法を見つける手助けとなります。子どもが自分で感情をコントロールする力を身につけることで、つらい状況に対処する能力も向上します。
4.家庭での練習
「勝つこと」にこだわる子どもには、家庭でのゲームを通じて勝敗の重要性を柔軟に理解する機会を提供することが有効です。たとえば、家族でゲームを楽しむ際に、勝っても負けても楽しめるようなゲームを選ぶことがポイントです。
具体例としては、家族全員でジャンケン大会を開催することが挙げられます。ジャンケンは運の要素が強く、勝敗が瞬時に決まるため、子どもが自然と勝ち負けに対する柔軟な考え方を身につけるきっかけとなります。また、負けた場合には、「次は勝てるかもしれないよ」「次、また頑張ろう」といったポジティブな言葉で子どもを励まし、次に向けての前向きな気持ちを促します。
このような家庭での活動を通じて、子どもが勝利に執着することなく、ゲームや競争を楽しむ心を育てることができます。
5.成長を褒める
子どもが最後まで怒らずに我慢した場合、その精神的な成長を十分に称賛してあげましょう。たとえば、兄弟姉妹とのゲームで負けたにも関わらず、冷静に対処し、怒りを爆発させなかった場合、次のようにほめることができます。「今日のゲームで負けても、冷静さを保って、みんなと楽しい時間を過ごせたね。その心の強さは素晴らしいよ。」
また、日常生活でも、過程や努力を褒める機会を大切にしましょう。例えば、宿題に取り組む姿勢や、友達との問題解決に努める態度など、成長した点を指摘して肯定的に評価します。「この宿題に取り組む姿勢、すごくいいね。君の努力が見えるようになってきたね。」
結果だけでなく、子どもの努力や成長を褒めることで、彼らが「勝つ」という結果に執着することなく、プロセスを楽しむことを学ぶ手助けになります。
6.言葉で気持ちを表現する練習
友だちからからかわれたり、ちょっかいを出されると、すぐにかっとなってしまう子どもがいます。このような場合には、学校の先生に相談し、友だちに対して嫌がる行動をしないよう指導してもらうことが重要です。
たとえば、友だちが冗談で子どもをからかうと、子どもはイライラして怒ってしまうかもしれません。このような場面で、先生がしっかりと友だちに「からかうのは良くない」と伝え、子どもの感情を尊重するよう指導してくれると、子どもは安心して学校で過ごすことができます。
また、子どもには自分の気持ちを言葉で表現する練習を積極的にさせましょう。例えば、「嫌だ」「やめて」という言葉を使って、友だちに対して自分の気持ちを伝える練習をします。これにより、子どもは自分の気持ちを適切に表現する方法を身につけ、感情のコントロールができるようになります。
最後に
子どものかんしゃくは、親にとっても大きなストレスになることがあります。しかし、適切な対応とサポートを続けることで、子どもは徐々に自分の感情をコントロールする力を身につけることができます。毎日の小さな成長を見逃さず、子どもの努力を認めてあげてください。親としてのサポートが、子どもの未来を明るくする大きな力となるのです。