【短編小説】社会人、お金の価値を知る
学生時代、お金はただの「手段」だった。
月に数回のバイトで稼いだ数万円。
食費は実家暮らしだったからほぼゼロで、
使い道は服や遊び。1回の飲み会で5,000円使っても「まぁいいか」と思えたし、
貯金なんて考えたこともなかった。
そんな自分が社会人になり、
最初の給料をもらったとき、
少しだけ大人になった気がした。
「これが私の稼いだお金か」
それなりの額が振り込まれていたけれど、
実際に使える額は思ったより少なかった。
家賃、光熱費、通信費、食費、社会保険…。
固