マガジンのカバー画像

ジェンダー・性・愛

16
運営しているクリエイター

記事一覧

私は選択的夫婦別姓を認める派

明日終わってしまう「虎に翼」にも話題になった夫婦の姓の問題。いわゆる選択的夫婦別姓問題。日本伝統の戸籍制度がー、とか言っている人がいるが。
 かつて『諸君』や『正論』を読み、西部邁氏の論考にも触れてきました。彼は保守的な視点を持ちながらも、単なる右派とは異なる独自の考え方を示していたと感じる。
 最近、旧ツイッターなどで選択的夫婦別姓の話題がよく取り上げられている。この議論は長年続いているにもかか

もっとみる
ロマネスク教会のコンクの地獄(煉獄)絵図ー中絶・堕胎

ロマネスク教会のコンクの地獄(煉獄)絵図ー中絶・堕胎

フランスのオック地方にあるロマネスク教会コンク(Conques)の地獄絵図の解読はエミール・マールの本に載っているけど全て載っているわけではない。アンブロワーズ・セグレさんによるコンクのタンパンの詳しい解説がある。ただし、学術的に認知されたものかわからない。引用文献で目立つのはル・ゴフの煉獄の誕生くらいである。

https://www.art-roman-conques.fr/english/s

もっとみる

「家父長制と資本主義」上野千鶴子と「なぜ男女の賃金に格差があるのか」クラウディア・ゴールドウィン

先日の私のへっぽこ記事で

終わりの方に、上野千鶴子氏の思想を彼岸に、クラウディア・ゴールドウィン氏の記事を現世に例えた。フーコー風にいうと現世での成功はアンチ・プラトンやアンチ・アリストテレス。
 上野千鶴子氏の同書の7章「家父長制と資本論の二元論」はわかりにくく現在4度目の読解中であるが、7.3節「資本制下の家事労働:統一理論の試み」ではこれまで大風呂敷を広げてきたことが、家事労働の無償制→有

もっとみる

ところが夫が家事を手伝うと妻にダメ出しされる

家庭のシリーズ

その3を追加しました。
 時々職場の男性に「家事を手伝っている?」と聞くと、「嫁にダメ出しされて、『そんな言うならお前がやれ』と言って、やめちゃったよ」という返事をする人がいました。(念のため強調しますがこれは私の家の話ではありません。)

 その男性は、子育てがほぼ終わりつつある世代です。これから子育てを始める人や、今まさに子育て中の男性に対して、私は「家事って最初は嫁さんにダ

もっとみる
マリー・アントワネットは当時怪物扱いされていた。フーコーによるフランス革命時の記録の報告

マリー・アントワネットは当時怪物扱いされていた。フーコーによるフランス革命時の記録の報告

パリオリンピックの時にマリー・アントワネットが斬首された自分の首を持って歌い、音楽はヘビーメタルがかかっていた演出がされていたのを覚えている人も多いだろう。あれはなんだったんだ?
 それに起因してフランス人にとってフランス革命ってどう捉えているんだろうと思ってもそれぞれの主張があるだけでまとまったいい本がありそうもないし、ベルバラに染まるのも史実との照合を考えるとめんどくさいし、と思って放っていた

もっとみる
上野千鶴子氏の「女ぎらい」のタネ本のセジウィック「男同士の絆」

上野千鶴子氏の「女ぎらい」のタネ本のセジウィック「男同士の絆」

氏が本の中でタネ本だと言っていた「男同士の絆」。またNHKでお正月にやっていた100分で名著のフェミニズム会でも紹介していた本。

ホモソーシャルということばは今ではよく使われるが、その言葉をはじめて提案した本であるとのこと。

まだ序章と結論しか読んでいないが、上野千鶴子氏がこの本はフーコーの「性の歴史」の影響を受けているというだけあって、ボズウェル、ドーバーなどの同一の引用文献が出てくる。
 

もっとみる

上野千鶴子「女ぎらい」朝日文庫に現れるミシェル・フーコー

ジェンダーやセクシュアリティについての調査なら日本では上野千鶴子氏をみておかないといけないと思い、まずは図書館で取り寄せ。
 興味深い分析が続く。さすがな分析だと思う。別文献かもしれないが、そのような社会が成立した原因、要因、歴史的なものへの言及はない、かあえて避けている。なぜそのようなことを思ったかというと:
 フーコー「性の歴史」が頻繁に引用される。
例えば、第2章ホモソーシャル・ホモフォビア

もっとみる
上野千鶴子氏の「家父長制と資本主義」に引用されているミシェル・フーコー

上野千鶴子氏の「家父長制と資本主義」に引用されているミシェル・フーコー

上野千鶴子氏のフーコー好きは有名か?
氏は確かに女ぎらいでフーコーの本を読んでインスピレーションを受けたことを書いている。
それはすでにレポートしました:

さて、家父長制と資本制を読んで、フーコーネタを少し拾ってみる。
まず明示的な引用、
1 第8章「ミシェル・フーコーは「性の歴史」の中で、近代的な性道徳は「家族」の中に<性>を押し込めたと指摘するが、その裏面は、「家族」が歴史上かつてない<性化

もっとみる

上野千鶴子氏の「家父長制と資本制」を読んでます。まだ第5章ですが、マルクス、フロイト、アルチュセール、メイヤスーなど理論的な思想家が引用されつつ家庭内労働や再生産など実践的な議論が乗っかってきます。となると、この本の出版からこれまでの総括が気になります。

(続)男も家事をしないと結婚してもらえない

(続)男も家事をしないと結婚してもらえない

下記記事を用意していたら能登で震度7
ここも震度4の長周期地震でした。
寒空の中、避難中の皆様にはお見舞い申し上げます。

あけましておめでとうございます。

前回の記事は私の記事の中では1番読まれました💦

なので続編は新年に相応しいかもしれない😀

さて、続編をと思ったのですが私と家人のことや知り合いの話を書くとバレるとカッコ悪いだろうと思うので続編に至りませんでしたが、ちょっと思いついた

もっとみる

男も家事をしないと結婚してもらえない、そして自由

私の母が私が高校生から大学生くらいの頃、1990年ごろだろうか、よく、男も家事をしないと結婚してもらえないよ、と言っていた。それは今,共働きが増えてますます強まってきているように感じる。
 先日母と二人で食事することになり、そのことをどうしていうようになったのか、聞いてみた。私の想定はテレビとかだろうと。
 そうしたら、お店のお客さんよ、とのことだった。母は婦人用雑貨を国道沿いに営んでいた。そして

もっとみる

ノーベル経済学賞はクラウディア・ゴールディン氏「男女の賃金格差」

ノーベル経済学賞の告知イベントは残念ながら見逃してしまいました。最近は私にとってはあまり興味の湧かないテーマでしたので。
 ところが、今回は「クラウディア・ゴールディン氏」とのことでもちろん氏のことは知らなかったのですが、男女の賃金格差分析を実証的にした方とのこと。また世界の労働市場についてもよく知っていてすでに新聞にたくさん紹介されています。科学より扱いがいいように思います。というのも、女性に関

もっとみる
映画「フェアプレイ」と転げ落ちる男

映画「フェアプレイ」と転げ落ちる男

ネットフリックスに映画フェアプレイが予告された時から興味のあるテーマだった。

同期で婚約中のヘッジファンドのカップルの女性側が昇進することになり二人の仲はギクシャクし始め。

というストーリー。ネタバレになるのでストーリーはこれ以上書けないが、ポスターのダークな感じを見れば結論はなんとなくわかるだろう。

クロエ ドモントが長編監督デビュー作として脚本および監督した 2023 年のアメリカのエロ

もっとみる
アニー・エルノーの「シンプルな情熱」とボーヴォワール

アニー・エルノーの「シンプルな情熱」とボーヴォワール

ノーベル文学賞のアニー・エルノーの「シンプルな情熱」をようやく読んだのですこし備忘録。
離婚し、子供も独立した50過ぎの女性の年下男性への不倫の肉体的な熱愛。まずその強度にのけぞる。
 ボーヴォワールの雰囲気によく似ている。ボーヴォワールがサルトルなどを中心とした実話ベースに対してこちらは小説化したものかとおもったら、サルトル、ボーヴォワールの影響下にいることを自ら表明しているそう。また、ピェール

もっとみる