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認知症グループホームのはなし

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認知症の方への支援の記事をまとめています。
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#認知症

認知症当事者の声から学ぶ

認知症当事者の声から学ぶ

認知症ケア学会 北陸・甲信越ブロック大会に参加しました。
参加と言っても、今どきはWEB配信なので参加費を払って視聴しただけです。北陸・甲信越ブロック大会に参加できるのですから、良い時代になったと思います。
そのブロック大会はと言うと、すべて良い講演でした。
その中でも、タイトルに書いたように、「当事者の声」が聴ける講演は本当に考えさせられましたので、簡単な紹介と私の感想を書こうと思います。

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与えてるの?・与えられてるの?

与えてるの?・与えられてるの?

認知症の方は
記憶の障害等で
気持ちの表現の仕方が
わかりづらかったりします。

私たちから見て
認知症の方の表現をわかりづらいと感じるのは
言語での表現ではなかったり
一般的な社会の規範や常識から
かけ離れている表現だからです。

逆にいうと、
私たちの方が
一般的な社会の規範や常識に囚われていて
「人」の感情を見ていない事もあるのかも知れません。

認知症の方の行動を
例えどんな行動であっても

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家族との共感の話し ピアサポートからの考察

家族との共感の話し ピアサポートからの考察

グループホームにおける認知症ケアにおいても、ピアサポートはとても大切だと思っています。

介護者と利用者はどうしても「支援する側」と「支援される側」になりがちで、「専門性」は時に人を傷つける事があると思っています。
介護者がどれだけ意識しても、利用者本人が息苦しく感じてしまう事もあるんじゃないかとも思います。
それなので、グループホームにおいても、認知症の方同士の関係性を大切にして、仲間同士が支え

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認知症の方が外に出て行く理由

認知症の方が外に出て行く理由

私が管理者をしているホームは鍵をしていません。
なぜならば家だからです。
防犯の為にはしても良いと思います。
しかし、中にいる人を「出れなくする」為の鍵はしてはいけないと考えています。それは根本の解決にならないからです。
それでは、外に出て行く方に対してどの様に支援すれば良いのでしょうか。
出て行く理由から考えていきたいと思います。

認知症の方が出て行く根本的な理由とは認知症の方が外に出て行こう

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新入職員教育

新入職員教育

9月1日から新しく中途で職員を採用した。
人事異動による欠員で、約2年ぶりの職員採用。
久しぶりの新入職員教育。

入職してくれた方は、去る2ヵ月前の7月にホームを職場体験して、ホームのケアに共感してうちに決めてくれた。

初日はオリエンテーションを行い、ホームの認知症ケアの考え方等をお話しし、2日目からはOJTを行っている。

私が現場で新しい職員を教育するにあたり、業務については優先順位が低い

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認知症の方に合わせてホームの環境を変える

認知症の方に合わせてホームの環境を変える

ホームの環境は認知症の方に合わせて変えなければいけません。

認知症の方は今までわかっていた事がわからなくなったり
環境に合わせる事が難しくなっているから認知症なのです。
それなので、ホーム側が認知症の方に合わせなければなりません。

以前、トイレにおいて
手を拭く為のペーパータオルでお尻を拭いてしまう方がいました。
それは、認知症で物の区別が付かないのに、
おしりを拭く紙

手を拭く紙
の 2

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餅つき

餅つき

5月の「こまば食堂」では、餅つきを行いました。

餅つきは良いですね。

餅つきは年末年始の季節行事として
日本人、特に高齢者は恒例行事としてやっていた方も多いと思います。

それなので、
皆さん身体が自然と動くんですよね。

餅を付いて
丸めて
食べる

そもそも知っているから
誰かが音頭を取れば
認知症の方も見様見真似で参加できます。

5月のこまば食堂5月の餅つきでは
蒸す人がいて
順繰り突

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大切なのは日々の生活

大切なのは日々の生活

別府から入居した方の支援の話しです。
入居から30日経過。

別府で独りで暮らしていましたが生活が成り立たなくなり、東京の私の勤めるグループホームに入る事になりました。
しかし、本人にしたら東京に居る理由などないので別府に帰ろうとします。本人が帰ろうと思ったら止める事はできず、外に出たらホームに連れ帰るの事も難しいです。朝に窓から出て行ってしまう事もありました。
その方に対しての支援としては、

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お風呂に入る事よりも大切なこと

お風呂に入る事よりも大切なこと

別府からホームに入居した方の話しの続きです。

別府から来た方は、絶対にお風呂に入りません。
ホームが「居場所」になってきてはいるものの「家」とは思っていないので、
お風呂にお誘いすると
「ありがとう。でも家に温泉があるからね。ゴボゴボッゴボゴボッっち沸いてきよる。今度、うちに入りおいで」
とおっしゃって断ります。
返す言葉がありません。

このような場合、お風呂に入れようもしても無駄だと思います

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認知症ケアにおいて鍋は最高という話し


こんにちは。お鍋の時期ですね。
冬は暖かい鍋で身体も心も温まりたいですね。
 
認知症グループホームでの食事においても、鍋はすごく良いと思っています。私はホーム長ですが現場にも入るので調理も勿論行います。夕食の調理は月に1・2回位で少ないのですが、私の冬メニューは、鍋のみです(笑)。
 
鍋ばっかりやるのにはちゃんと理由があるので、理由と併せて(認知症グループホームでの)鍋の良さをお伝えしたいと

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管理的なホームを変えた話し(ヒヤリハット活動には気を付けるべし)

管理的なホームを変えた話し(ヒヤリハット活動には気を付けるべし)

管理的なホームを変えるにはどうしたらよいでしょうか。
7年前に異動でホーム長になった時、うちのホームはとても管理的で、歳月をかけて少しづつ利用者さんを中心に考えられるホームにしてきました。
管理的になってしまっていた原因の一つとして、ヒヤリハット活動の運用の仕方が間違っていた事があげられます。
そこで今回、ヒヤリハット活動及びリスクマネジメントの考え方をまとめることで、管理的なホームにしない方法を

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運営推進会議を認知症カフェにする話し

運営推進会議を認知症カフェにする話し

運営推進会議を地域の交流の場にしたい

運営推進会議を久しぶりに再会しました

先日、運営推進会議を久しぶりに対面で行いました。コロナ以来の3年ぶりになります。
それまではオンラインで行っていて、ホームの実践事例報告をしてみたりと工夫してやれる事をやってはいました。
ただ、今回行ってみて、対面はやっぱりすごく良かったです。
何が良かったって、単純に盛り上がったのです(笑)。

今回のテーマは、「来

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認知症グループホームのお仕事

認知症グループホームのお仕事

認知症グループホームでの仕事って、一体どんな事をしているのか、わからない方も多いと思います。
事業形態の違いは少し調べればわかるかもしれませんが、職員が何にこだわって、どんな事を考えて動いているのか、というのはその業種・その職場で働いてみないとわからないものです。
そこで今回は、グループホームの仕事を一つの事例で描いてみました。

Aさんが独りで外に出ていくようになった※個人が特定されないように、

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