認知症ケアにおいて鍋は最高という話し


こんにちは。お鍋の時期ですね。
冬は暖かい鍋で身体も心も温まりたいですね。
 
認知症グループホームでの食事においても、鍋はすごく良いと思っています。私はホーム長ですが現場にも入るので調理も勿論行います。夕食の調理は月に1・2回位で少ないのですが、私の冬メニューは、鍋のみです(笑)。
 
鍋ばっかりやるのにはちゃんと理由があるので、理由と併せて(認知症グループホームでの)鍋の良さをお伝えしたいと思います。
 

簡単

まずは、簡単。
これに越した事ないですね。
認知症ケアにおいても、利用者さんと一緒に調理をする為には「簡単」というのはとてもメリットがあります。
皆さん当たり前にやっていますが、調理というのはとても高度な作業なのです。
認知症の方の立場から考えると、ゴールから逆算して工程を考える事は至難の業です。
それなので、鍋のように段取りがいらないというのはとても楽なのです。「切って入れる」だけで済みます。
職員の立場で考えても、細かい段取りを利用者に伝えるのは難しいです。伝える難しさから認知症のステージが軽めの人ばかりを誘ってしまいます。
また、鍋のあの形がわかりやすいといいのもメリットです。
見ただけで何をやっているのかがわかります。
わかりやすさから沢山の方が調理をする事ができ、みんなで調理ができます。

具材の形を気にしない


鍋の具材は形を気にする必要がありません。大きくても煮込めば良いのですから。
 調理って意外と人それぞれのにこだわりがあるものです。利用者も職員もカットの仕方や形・大きさを譲れません。
認知症の方は途中で形が変わってしまったり、切っているうちに、違う形になる事が多いです。
形のこだわりを譲れないと認知症の方と調理を一緒にやる事自体が難しくなってしまいます。
対して、鍋ならどんな形になろうが煮込んでしまえば良いのでお互いに気が楽になります。

アツアツを食べられる

食べる段になっても鍋は良い事ばかりです。
アツアツを食べられる。
言う必要ありませんね。

野菜を沢山摂れる

これもそのままです。利用者さんは人によって欲を抑えられない方もいます。その方も野菜なら沢山とっても悪い事はないので、目くじら立てて止める必要もありません。

残せる

逆に余り食べたくない方もいます。高齢の方は残すのをはばかって隠したりします。鍋なら自分で調整できるので利用者さんに気を使わせないで済みます。

みんなで食べれる

最後にみんなで食べられると言うのはやっぱり楽しいです。
いつも顔を合わせて食べていますが、自分でよそったり人に取り分けたりするのは楽しさの度合いが違います。
よそったりあげたり、その場で煮込んだり混ぜたりと、調理に関わっていない方も一緒に鍋作りに参加できます。

鍋でこんな素敵なことがありました

最後に、鍋でこんな素敵なことがありました
そもそもこれを書こうと思ったのは、先日鍋をしていて素敵なことがあったからです。
記憶障害から判断力が低下している利用者の方がいるのですが、その方は、いつもどうやって食べてよいのかがわかりません。
 「よくわかりません。どうしたらよいですか」
と人に聞くので、いつも職員がよそって差し上げていました。
 
その日は、みんなで具材を入れながら鍋を囲んでいたのですが、鍋ができるやいなや、おもむろに立ち上がり、鍋から具をよそって自分の器にいれたのです。
恐らく、鍋に具材を入れたり、ぐつぐつさせている過程、見た目のわかりやすさから、
鍋をしっかりと認識する事ができ、
器によそって食べる
というのが理解できたのでしょう。
認知症ケアの目指すところは、認知症を持ちながらも、環境をわかりやすくして本人が自分でできることが増えて、自信を持って生きていける事だと思っています。
それなので、小さなことですが、いつもなら、わからなくてやって貰っていることを、自分で自然に行った事はとても素敵な事だと思いました。
私はそれを見ただけで胸が熱くなりおなかが一杯になりました。

まとめ

鍋の良さは、調理をする際も食べる際も「わかりやすい」という点にあるのだと思います。
そして「わかりやすさ」からみんなで作れて、みんなで食べれます。
それって
認知症でも普通に生活している
事になるんじゃないか、と思ったりしました。


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