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食をもっと楽しくさせてくれたnote
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#エッセイ

行きつけ

行きつけ

お店の方に顔を覚えてもらい、着席アズスーンアズで「いつもの!」と、瓶ビールの一本でも煽りながら料理ができあがるのを小粋に待つ。多くのお店が軒を連ねる華の都大東京で暮らす者の一人として、そんな行きつけのお店のひとつでもあれば、と、上京当初は憧れていたものです。

一方、自意識オーバードライブ系男子であるおれの場合は、いざお店の方に顔を覚えてもらう段になると途端に気恥ずかしさが生じてきてしまいます。日

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料理が好きでよかった

料理が好きでよかった

自分の食べたいものを、食べたいときに諦めなくて済むから。例えば「今日はぜーったいにゴーヤーチャンプルーが食べたい!」というときに、私はどうしてもゴーヤーチャンプルーを食べないと気がすまない。外食するのもめんどくさいし、スーパーのお惣菜コーナーにあるとも限らない。自分の手で欲望とお腹を満たせるのは、それだけ幸福に近いということ。

料理が好きでよかった。ひっきりなしに情報が流れては消えていくスマホか

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美味しかったものカレンダー・2022

美味しかったものカレンダー・2022

今年食べたものの中で、特に感動した一皿の鮮烈なおいしさを記憶の薄れないうちに記録しておきたくて、「毎月のNo. 1」を書いておく。外食・自分で料理したものどちらも含むうえに、No. 1といいつつ2〜3個挙げている月もある。かなりフリーダムな記録。

1月 

発酵白菜の鍋

発酵白菜を使った鍋。豚肉と、発酵による白菜の強烈な旨味を吸った春雨が本当においしい!白菜を発酵させるのに多少時間はかかるけれ

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私的「讃岐・超ディープうどん紀行」をしてみたら

私的「讃岐・超ディープうどん紀行」をしてみたら

村上春樹のエッセイに、「讃岐・超ディープうどん紀行」なる紀行文がある。

香川県のうどん屋さんを巡る旅を描いた、30年以上前の隠れた名エッセイだ。

そこに描かれた当時の香川のうどん屋さんのディープさはもちろん、村上さんの新鮮な驚きや感動がストレートに伝わってきて、素朴ながら惹きつけられる紀行文となっている。

そして、その文章が収められたエッセイ集『辺境・近境』のあとがきに、村上さんはこんなこと

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金曜日のトマトパスタ

金曜日のトマトパスタ

「1週間の献立を何にするか?」は世の中の多くの主婦を悩ませている議題の1つだろう。特に週末に1週間分の食材を一気に買い出しして、その限られた食材の消費期限や1食分の栄養バランス、さらにお弁当にも使えるメニューを考えなければならないとなってくると、もうこれは難解な冷蔵庫パズルである。
某ドラマでもこの”冷蔵庫パズル“の悩みが取り上げられていて、大いに共感した。「月曜日に使ったエノキの残りが茶色くなっ

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なんでもない日に はみ出る穴子の天丼「松」を食べたい

なんでもない日に はみ出る穴子の天丼「松」を食べたい

ー おいしいものを食べるのに理由なんて作らなくていい ー

夕暮れ時に乗り換えの駅に着いた。

そろそろご飯にしよう。何を食べるかは何も決まっていないけど。

そう思って電車を降りて、どこに行くか考える。

タイ料理、ピザ、パスタ、ラーメン、なんか違う。

インドカレー、和定食、うーん違うなあ。

天丼とか?

あー天丼!

いいかもね〜

頭の中で私の分身たちが会話を進めてくれて、今夜の晩ごはん

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令和4年のフィナンシェ事変

令和4年のフィナンシェ事変

令和2年のフィナンシェ事変、なら「にねん」と「じへん」で踏めたのに。
と思いつつ、事実に即したタイトルでお送りしようと思う。

第一の変最近友人とわが家で食事をしたとき、お土産に「ちひろ菓子店」というお店のフィナンシェを持ってきてくれた。
大阪の福島と心斎橋に店舗を持つ、フィナンシェが主力の洋菓子店らしい。
友人も「前から気になってたんだけど、食べたことはないんだよね」と言っていたので、食後にコー

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2022.3.18 - 3.21 お菓子とキャンプ飯

2022.3.18 - 3.21 お菓子とキャンプ飯

連休明けっていつも悲しいのだけど昨日も今朝も、わりとさらりと出勤できている。自分としては病むよりも身体がラクなのでありがたい。

先週の金曜日の晩から昨日までの日記を書いていきます。

金曜夜は連休スタートのテンションでラーメンを食べに近所の幸楽苑へ。幸楽苑、近くて安くてうまいから結構好き。
いつもわたしは味噌野菜タンメン+麻辣1辛+ロカボ麺+煮卵と決まっていて、それにW極餃子を夫と半分ずついただ

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好きな食べ物10個決まったからもてなします

ささいな笹さんによる、「好きな食べ物10個決まったからもてなします」というnote。さささんが好きな食べ物10個をコース仕立にして紹介しているのだけれど、私はこのnoteがとても好きです。ありがたいことにさささんにあっさりOKいただいたので、私も同じテーマで書きます。

はじめにコースをご紹介する前に、なぜさささんのこのnoteが好きなのか、少しだけお話させてください。

今、「好きな食べ物は?」

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名もなき器もいいものよ

名もなき器もいいものよ

料理好きはたいてい、器にも凝りだす運命にある。私もそのうちの一人だ。せっかくおいしい料理を作ったのなら、テンションのあがる器に盛りたいではないか。

ただ、私は作家さんや窯元には詳しくない。使用頻度の高いスタメン食器たちを眺めてみると、大概が「名もなき器たち」だった。

例えばこの長方形の器は、閉店する小料理屋で買ったもの。散歩中にたまたま通りがかった小料理屋さんが「閉店するのに残してもしょうがな

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2022年も、いい食卓を一緒に作りましょう

2022年も、いい食卓を一緒に作りましょう

ある人と、少し距離を置いた。仲間内での集まりで、その場にいない共通の友人!の、給料や出世状況について話題にするようになったからだ。

「あいつはイケてる」「あいつは世渡り下手」

そんな言葉が出てくると、私は「しょ~もな」と思いながら料理を黙々と口に運ぶに徹する。仲間内の大半は同調せず、さりげなく話題を変えたり、適当に流したりしているのがせめてもの救いだ。

10年前だったら、私は「しょ~もな」と

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恋人が寿司を作った

恋人が寿司を作った

 恋人は釣り人で、魚が大好きで、恐らく三日に一度は「寿司食いたい」と言っている。
 わたしは恋人と会うまで、寿司というのは特別な日か、そうでなくても「今日は寿司だ!」という心持ちで食べるものだと思っていたので、これほどまでに高頻度にカジュアルに寿司を食べて生きている人を目の当たりにして驚いた。
 しかし幸いなことに、わたしは食べることが大好きだった。魚も例外ではない。

 とはいえ意外と変なところ

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2020年の「ごはんアルバム」を作ってみた

2020年の「ごはんアルバム」を作ってみた

明けましておめでとうございます!
昨年noteで仲良くしてくだった皆様、本当にありがとうございました☺️
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
皆様のご多幸をお祈りしております。

さて、2021年最初のnoteは「2020年のごはんアルバムを作った」というお話です。

毎年年末にFacebookのアルバムでその年のごはんまとめを作っていたのですが、今年は紙のアルバムにしてみました。

▲しまうま

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鎌倉に「何を頼んでもおいしいお店がある」と聞いて

鎌倉に「何を頼んでもおいしいお店がある」と聞いて

ー この言葉、最上級の品質保証 ー

秋風が切なく感じられる今日この頃、私は鎌倉に出かけた。

おめあては夜ごはんだった。

鎌倉といえば何を想像するだろうか?

お寺巡り、江ノ電に乗って江ノ島観光、鳩サブレー、小町通りで食べ歩き、海岸でチルアウト、生しらす丼

私はざっとこんな感じをイメージする。

今まで鎌倉で夜ごはんなんて、食べたこともなければ考えたこともなかった。

(私だけ?)

だから

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