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美味しかったものカレンダー・2022
今年食べたものの中で、特に感動した一皿の鮮烈なおいしさを記憶の薄れないうちに記録しておきたくて、「毎月のNo. 1」を書いておく。外食・自分で料理したものどちらも含むうえに、No. 1といいつつ2〜3個挙げている月もある。かなりフリーダムな記録。
1月
発酵白菜の鍋
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発酵白菜を使った鍋。豚肉と、発酵による白菜の強烈な旨味を吸った春雨が本当においしい!白菜を発酵させるのに多少時間はかかるけれど、作り方は簡単。それでいて「外食なら5,000円は出せる」と思えるほどの上等な味。レシピはこちら。
2月
軽井沢・いろだいどころやのごはん
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とってもおいしい和定食をいただける。しかも、おかずは日替わり。お味噌汁に、泥を落とすのが大変だろうにほうれん草の一番甘くておいしい根っこの部分が入っていたり、ちゃきちゃきした母娘の連携プレーもすばらしくて、一瞬で惚れた。2日連続でお邪魔した。近所にあったらいいなあ、というお店ナンバーワン。
坂田阿希子さんレシピで作る「ポテトフライ」
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自宅で作るポテトフライの最高峰だと思う。ポテトフライのレシピは一生これがいい!じゃがいもを蒸して、一晩冷ましておくのがポイントのよう。ラードでなく米油で作ったけど大満足だった。今後の人生でホームパーティをする機会があれば、これをふるまおうと妄想までしている。名レシピは心のお守り。
ちなみに、「ポテトフライ」と「フライドポテト」の違いが気になって調べた。意味は一緒だけどどうやら「ポテトフライ」は和製英語のよう。「flied potato」は海外で通じるけれど、ポテトフライは通じないのね。
3月
代々木上原・按田餃子の「ラゲーライス」
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言わずと知れた按田餃子の、ラゲーライス。餃子もおいしかったけれど、私はすっかりラゲーライスのファンに。ラゲーライスは、豚の煮込み・生姜の千切り・キクラゲなどがハトムギご飯の上に載っている。キクラゲの食感や風味・生姜のピリっとした辛みなどが渾然一体となった、すごい一皿。この組み合わせは思いつかないなあ、と脱帽した。人気店だからかなり並ぶし、普段行列はなるべく避けてる私が、翌週もう一度食べに行った。
4月
神谷町・ミンスクの台所の「ズッキーニのサワークリーム煮」
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惜しまれつつ閉店した「ミンスクの台所」。雨の夜に、会社の同僚数人となだれ込んだのを今でも覚えている。カウンターで一人静かにワインを飲む人も、我々のように賑やかなグループも、それぞれの華金を楽しむ楽園みたいな店だった。
名物のピロシキもデザートもとってもおいしくて、中でも「ズッキーニのサワークリーム煮」は格別だった。こっくりしたサワークリームのソースに、グリルして甘みの引き出されたズッキーニが驚くほどあう。ソースの染みたマッシュポテトなんて、山盛り食べられそうだった。
「また行こうは馬鹿野郎」だと翌月思い知る。ミンスクの台所は閉店してしまった。店員さんたちは全員旧ソ連諸国の出身とのことだけれど、ワインを注いでくれたお姉さんやピロシキの説明をしてくれたおばさまは今どこでどうしているのだろうと思う。
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京都・Monkの自家製甘酒とヨーグルトのアイスクリーム
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京都のピザ屋さん。コースオンリーで、ピザ窯で焼いた野菜やお肉に始まりピザで〆るスタイルはピザ割烹と呼ばれている。
一皿食べるごとに「焼いて塩をふっただけのものがどうしてこんなにおいしいの?!」と混乱と感動にうちふるえ、なんとかデザートまでたどり着く。さんざんおいしいものを食べたあと、最後のデザートでその日最高潮の興奮を迎えることになるとは予想しなかった。食べた直後のiPhoneのメモが気持ち悪いことになっていた。「こんな味を覚えさせないでほしい」
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「このデザートを作られたシェフは…?」と聞いたのも人生初だったし、そのシェフが数か月後には某北欧の超有名レストランでのインターンに出立すると聞きSNSを教えてもらったのも人生初だった。こんなに美味しいものを作るひとが独立してどんなお店を開くのか、絶対に知りたいと思ったのだ。2022年に口にしたすべての食べ物のなかでも、ナンバーワンだった。
京都・糸仙の「かしわ玉子焼」
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京都中華の名店。にんにくなどを使わない、出汁をベースにした上品な中華。かしわ玉子焼はふわふわの玉子焼の下に、ぷりぷりの鶏肉と甘くてとろっとした玉ねぎが隠れている。火の通り具合が違う食材なのに、全員ベストコンディション。他にも、ぴかぴかに磨かれてかけ一つない器たちや、きびきびと指示を出しフロアを仕切る女将さんにもいたく感動した。野球では「不思議な勝ちあり」でも、飲食店において不思議な名店はないのだと知る。
5月
逗子・beachmaffineのフライドポテト
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衣がザクザクのフライドポテト。外食のフライドポテトの中で一番好みだった。謎のスパイスも美味しくて。2月のレシピといい、今年はフライドポテト運が大吉だった。
白山・alsoの葱油餅のハムチーズ焼
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早乙女ぐりこさんの日記で知ったalsoへ。ただでさえ大好きな葱油餅に、チーズとハムまで…!?そんなのこと許されるの…?!もちもちの葱油餅に、とろんととろけたチーズと塩気の強いハム。最高。優勝。おいしくないわけないじゃんね。ずるい。
6月
パイナップルとチーズのサラダ
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沖縄の、おいしいパイナップルが2玉手に入った。1.5玉はそのまま、残りはサラダにすることに。モッツァレラチーズを手でちぎって、塩と胡椒とオリーブオイル。パイナップルのジューシーな酸味もあいまって、とてもおいしい!
有楽町・ヤウメイの春巻き
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クラシカルな店内でできたての点心を味わえる夢のようなお店。コースの途中ででてきた春巻きが特においしかった。八角をきかせて甘辛く煮た牛肉を包み、パリパリに揚げたもの。きゅうりの爽やかさと食感がいいアクセントになっていて、組み合わせの妙に唸る。
7月
代々木上原・フニクラの「ゆずのクリームブリュレ」
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すべてのメニューがおいしそうで、胃袋が足りない!フニクラはそんなお店。メインディッシュのお肉やピザを食べたあと、「デザートは食べきれるかな…」と躊躇していたけれど、ゆずのさわやかな香りのおかげで、あっというまに完食。きっとそういうことまで計算されているのだろうな。次回は大食漢でおしゃべりな女友達4人くらいで行きたいお店。
8月
京都・汽のモーニング
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小野ぽのこさんが教えてくださったお店。「清水五条×レバノン料理」という斬新な組み合わせで繫盛していると聞いたから、食べる前から期待が高かった。(私の中で、立地やテーマが少しマイナーなのに繁盛している店はかなり実力店だという偏見に満ちた法則がある)
汽はそんな勝手な期待を軽々超えてきた。特に鶏肉が驚くほどしっとりしていて、香ばしい。鶏肉の下に隠れたフライドポテトも別格においしい。(今年はつくづくフライドポテト運がよかった!ぴーす)
味だけではなく、空間の設計も素晴らしかった。レオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」に描かれているような長いテーブルに、知らない人と向かい合って座る。静かなようで賑やかで、一人で食べているのに誰かと食べているような、不思議な空間。京都に行かれた際はぜひ足を運んでみてほしい。予約必須。
9月
横浜で友人の結婚式帰りに食べたラーメン
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大学時代の友人の結婚式二次会で横浜へ。三次会も22時にはお開きになり、みなとみらい駅へぞろぞろと向かう中、隣を歩いていた女友達が「なんかお腹減ったね…」とぼそり。私も同じことを思っていた。「わかる、なんなら出汁とかラーメンとかそういうものが食べたい」「最高、行っちゃう?」善は急げで即座にラーメン屋を探すも、どこもラストオーダー終了。でも、そんなことで諦める私たちではない。ラーメンへの執念から、一度みんなと一緒に電車に乗って、私と女友達だけは横浜で途中下車した。
下車するとき別の友人に「帰るの?」と聞かれ「ラーメン食べ行く!」と返すと、「ええな!」と笑ってくれたことを妙に覚えている。だって「太るぞ」とか「よく食べるな」とか言われたら嫌だけど、実際にそう返す人も結構いそうだしなんなら私も言ってしまいそうだ。水を差さないでくれてありがとう。
結婚した友人の幸せそうな顔と、23時すぎのラーメンに付き合ってくれる女友達と、そうしたワルい行動を肯定してくれる友人と、すべてのことがなんかうれしくて、このラーメンもすごくおいしかった。店名は覚えていない。
10月
山形で食べた蕎麦ジェラート
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旅館のデザートで出てきて、すっかり気に入って翌日も直売所で食べた。蕎麦ジェラートって山形だとメジャーなのかなあ。全国区になってほしい。蕎麦の香ばしい風味と、バニラベースのジェラートが合っておいしいのだ。ほうじ茶アイスが好きな人は好きだと思う。
11月
元町・ジョーズアメリカンカフェのモーニング
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自分の「おいしそうなお店」センサーを、私は結構信頼している。この店もたまたま通りがかり、どうしても気になったので別の店に行く予定を変更して入った。結果、大当たり!人生で初めて、「パンっておいしい…」と芯から思った。いやいや、パンは好きだしおいしいと思っている。でも、「ごはんよりパン派」の人たちの気持ちが分からなかった。このお店の食パンを食べて認識を改めた。ふわふわでひきが良く、バターの香りがふわんと香る。たっぷり添えられたバターをつけて食べる。なるほど、これは美味しい食べ物だ。パン好きな人たちの気持ちがわかる。
秋田・男鹿半島の石焼料理
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石焼料理は、半日かけて1,000度まで熱した火山岩で食材に火を通すユニークな調理法。泊まった旅館で調理パフォーマンスがあったのだけど、鯛と水が入った鍋に石を投入したその瞬間、お湯が沸騰する様子は迫力!味噌やネギは後入れで、そのとき石に押し付けるようにする。そうすることで香ばしさが出るそう。瞬時に火が通った鯛の身はキュッとしまっていて、コクのある汁もおいしかった。
12月
今井真実さんの「柿モッツァレラ春菊」
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柿とモッツァレラと春菊という組み合わせで、こんなに上等な甘さになるのか…!と悶絶。料理家さんやシェフの食材の取り合わせセンスって、本当にすごい。簡単でおいしくて、これも(妄想上の)おもてなし会のメニューに採用決定。レシピはこちら。
「柿モッツァレラ春菊」
— 今井真実 料理家 (@imaimamigohan) December 24, 2020
熟した柿、モッツァレラ、春菊の葉、オリーブオイル、粒子の粗いお塩、胡椒、好みで大人はワインビネガーを!
これ、とってもおすすめ!あと一品の洒落た前菜に便利です。 pic.twitter.com/8h93MFOZqu
4,000字近くの大ボリューム記事になってしまった。来年もたくさんのおいしいものとの出会いがあるといいなあと期待に胸をふくらませつつ、気になっていたお店にもどんどん行くし、お気に入りのお店はがんがん再訪しようと思う。