マガジンのカバー画像

私のイタリア生活

66
日々のイタリア生活で感じたことや思うこと。
運営しているクリエイター

記事一覧

私だって食べたい

私だって食べたい

8月も終わりに近づき
夏の真っ只中の、あの暑さに比べたら
少しだけ過ごしやすい日々を迎えている。

オリーブ畑の片隅では、
猫の額ほどの小さなところで家庭菜園もどきをしている。

昨年までは…いや、この春先くらいまでは、
レタスもちゃんと育っていたし、
昨年なんかは、植えたトマトが豊作で
あまり買わずに済んだのに
なぜか今夏は、からっきしダメ。
昨年に比べ、今年の夏は雨が少ない…というのもある。

もっとみる
微妙なお天気が続く中

微妙なお天気が続く中

日本一時帰国から戻ってきて、20日ほどが過ぎた。
ようやく落ち着いてきたので、
お土産を持って、友人に会いに行く。

「ユキさん、いつも忙しそうだから…」
そう言われてはじめて、
私って、忙しいのかしら?と思った。

フィレンツェとオリーブ畑のあるマレンマ地方を行き来している現在は、
週の半分、フィレンツェ、残りをオリーブ畑で過ごすことが常になっている。
やることはそれなりにあるけれど、
とりわけ

もっとみる
遠くのなんとかより、ご近所さん

遠くのなんとかより、ご近所さん

オリーブの小さな実が少しずつ膨らみ始めている。
今年は、沢山の花がついたけれど、
実になったのは、全てではない。

先週の話で、

「アレッサンドロに聞いてみるわ。」
隣のおばちゃんが言っていた。

アレッサンドロとは、私たちのオリーブ畑よりもう少し上の方に住んでいるご近所さんである。
どう見ても50代後半くらいにしか見えないのだけれど、既に年金生活に入っていて
持ち合わせているたくさんの農地を、

もっとみる
オリーブオイルは何と味わう

オリーブオイルは何と味わう

5月になった。
オリーブはまだ花芽で、咲くのはもう少し先になりそう。

農協的スーパーに行った。
この時期は、そら豆やアスパラガスなど
春の野菜が並んでいる。
旬の野菜は、季節ごとにあるけれど
春の野菜を見てワクワクするのは、なぜだろう。

グリーンピースも売られていた。
房ごとドサっとカゴに入っていて、
好きな分だけ袋に入れて
量り売りで買う方式。
イタリアの野菜は、パック詰めのものもあるけれど

もっとみる
作り手としての思い

作り手としての思い

4月も半ば。

オリーブ栽培に携わるようになって、
早くも、4年目の年を迎えようとしている。

今年のノンフィルターオリーブオイルが、現地のイタリア人にも人気で、
フィルターがけをする前に50リットルほど、別のタンクに保存していたものも
おかげさまで、完売に至った。
フィルター済みの方はまだ少し、余裕があるものの
こうして少しずつ、いろいろな方にその味を知ってもらえるのは
本当にありがたいことであ

もっとみる
花の咲く時期

花の咲く時期

4月の初め。

新芽が出たなぁ…と思ってからわずか2週間ほど経って、
気がつくと、もう花芽をつけているオリーブの木々たち。

販売の方が一旦落ち着いて、剪定も終えた最近は
もっぱら、新年度の価格改定で
計算機とにらめっこをしている。

「値段を設定するのって難しいね。」友達と、そんな話になった。

これから本格的に事業を展開しようとしている友人は、
どんなふうに、そのサービスに値段をつけて良いのか

もっとみる
いろんな手法

いろんな手法

あっという間に、4月。

今年は雨が多くて、暖かくなってきたこともあるからか、
雑草の成長具合が激しい。
登録している IGP の決め事で、trinciatura と呼ばれる除草や草刈りは
5月の中頃まで出来ないから、ほぼほぼ放置状態。
なので、オリーブ畑を歩き回るには、少々、歩きにくい。

先日、たまたま、知人に教えてもらって
オリーブではないけれど、日本にはいろいろな農法がある事を知った。

もっとみる
OLIVE DELLA YUKI  変わりやすい春のお天気の下で…

OLIVE DELLA YUKI 変わりやすい春のお天気の下で…

すっかり、夏日和だと思ったのは、先週の空。

フィレンツェでは、雹が降り、
グッと気温が下がっている。
北側の山では、雪が降った。

3月の半ばに終えた剪定から
まだあまり日が経っていない時期の急激な冷え込みは、
オリーブの成長にも影響をもたらすんじゃなかろうか…と
実はちょっと心配している。

「風は凄かったけど、雹は降っていないよ。」

あまりにも天気が悪くて、
オリーブ畑には行かなかった今週

もっとみる
OLIVE DELLA YUKI  初心

OLIVE DELLA YUKI 初心

春の陽気。
陽の当たるオリーブ畑は、
暖かいというより、むしろ、暑いくらいで、
日中の温度は、20度を超えている。

「そうそう、IGPの申請は6月までだからね。」

先日からお世話になっている、
役所のお助け機関のシニョーレが、
そう、言ってくれた。

IGP(イー ジー ピー)
Indicazion Geografica Protetta

日本語で言うと、
「保護指定地域表示」というのだそう

もっとみる
OLIVE DELLA YUKI  田舎のお助け機関で…

OLIVE DELLA YUKI 田舎のお助け機関で…

ようやく、春めいてきた。
なんとなく、オリーブ畑に目をやると、
視界の片隅に、ピョンピョンと動くものがいて、
何かと思って、よく見ると
それは、野ウサギだった。
写真に収めようと、近寄ったら、
当たり前だけど、
ピョンピョンと遠くに行ってしまった。

その日は、オリーブ畑のある地方の、
公的機関へ出向く予定だった。

イタリアには、いろんな公的機関があって、
それらの手続きをお手伝いしてくれる団体

もっとみる
OLIVE DELLA YUKI  手続き

OLIVE DELLA YUKI 手続き

そろそろ、剪定をお願いしたい…と
収穫をお手伝いしてくれたモロッコ人にお願いしたら、
一週間のうちに、全部の剪定をやってくれていた。

本当は、少しは自分でやってみたかったのだけど、
彼らの都合もあるし、こちらの都合もある。
慣れないうちは、オリーブの木を傷つけてしまったりするだろうから、
ここは、手慣れた彼らにお願いするのが筋だと、思うことにした。

今年のオリーブオイル作りは、こうして、スター

もっとみる
OLIVE DELLA YUKI  2年目の春

OLIVE DELLA YUKI 2年目の春

週末は、オリーブ畑へ出向く。
先週も、今週も、
あまり様子は変わらないのだけれど、
そろそろ、剪定の時期を具体的に考えなくてはならない。

昨年、収穫を手伝ってくれた収穫隊のボスはモロッコ人で、
近くの大きなワイナリーが所有するワイン畑やオリーブ畑も、
彼が取り仕切っている。
春から秋まで、イタリアのそれぞれの畑仕事を終えると、
ゆっくり休むイタリア人とは対称的に、
今度は地元のモロッコに帰って、

もっとみる
OLIVE DELLA YUKI  食べ方いろいろ

OLIVE DELLA YUKI 食べ方いろいろ

オリーブオイルが、ご注文いただいた方々のお手元に届いて、
それぞれが、それぞれの楽しみ方を写真でアップされているのを見ると
感慨深い気持ちになる。

一番最初に、モノは試しにと
送ったのは、母親のもとであった。
「あんた、イタリアなんかで何してんの。」
と言っていたのが、
最近では、
「何だか知らんけど、まあ、好きなようにしたらいいよ。」
と言うようになっていた母親への
挨拶がてらのオリーブオイル

もっとみる
OLIVE DELLA YUKI  搾油所でのはなし

OLIVE DELLA YUKI 搾油所でのはなし

久々に、搾油所に顔を出した。

事務員のSimonettaは、いつも笑顔で迎えてくれる。
まるで、家族みたいに。
優しいけれど、きっちりしている。
世話役フランコも、そんな彼女のことを高く評価している。

「それはしていいけど、これはダメ。」

働く人たちの、手を煩わせたくなくて、
「ボトル詰めなら、私がやりましょうか?」と言ったら、
はっきりと断られた。
「ボトル詰めする環境が整っていないでしょ

もっとみる