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なぜ感情は暴走するのか?感情をコントロールするための工夫とは(信念と義務感を抑える)
「つい感情的に言ってしまった(後悔…)」
こうした気持ちになる事、時々ありますよね。冷静さを失って後悔する事も。他にも「ずっとモヤモヤとした不安がある…」「ショックが大きくて気持ちが落ち着かない…」など。
感情が気持ちを大きく左右します。
喜怒哀楽で言うと「喜」と「楽」はポジティブな気持ちで素直に表現すれば良いです。一方で「怒」と「哀」といったネガティブな気持ちはどうしてこうもコントロールが難しいのでしょうか。
うまく感情と付き合う方法について考えます。
感情は3つに分けられる
一口に「感情」と言っても、いくつかに分類することができます。岩井俊憲さんの著書「感情を整えるアドラーの教え」には、心理学上、人間の感情は、大きく分けて3つに区分することができると説明しています。
①感覚的感情(センサリー•フィーリング)
五感によって受け取る快不快の意識状態のこと。「いい匂い」「まずい味」「きれい」といった意識のこと。
②気分(ムード)
爽快感や憂鬱といった身体の生理的機能との結びつきが強く、比較的持続する感情。「受験に失敗して落ち込む」「スポーツを観て興奮する」などの気持ちの状態。
③情動(エモーション)
喜怒哀楽のように急激に生じる、比較的激しい一時的な感情の高まりのこと。「怒る」「悲しむ」「歓喜する」といった感情はこの情動に分類されます。
これら3つの感情の内、快・不快に関わる「①感覚的感情」は、実は私達にはコントロールできません。美味しくないものを食べた時に「まずい!」と感じるのを避けることはできません。なぜなら、それらは思考より先に来るある種の「脳の反応」だからです。自分ではどうしようもない、一定の条件化で瞬間的に生まれるもので、自分で回避したり、コントロールしたりするのは困難です。
また「②気分」も同様にコントロールは難しいです。状況や置かれたシチュエーションに左右されて生じる感情のため、環境による所が大きく自分でコントロールする事は難しいです。
アドラー心理学では「①②はコントロールできないが、③情動は自分でコントロールできる」と説きます。そして、この「③情動」こそが、日々の生活の中で大きな悩みのタネでもあります。
「怒り」の正体
情動の中でも一番厄介なのが怒りではないでしょうか。怒りは火山噴火のように突発的に爆発する制御不能なエネルギーと思われがちですが、実はそうではありません。
仕事中に思い通りに行かずにブチ切れている時に憧れの先輩や社長とばったり出会った時、一瞬で笑顔になって挨拶できたりします。つまり、怒りは出し引きできると言う事です。
怒りには必ず「相手役」と「目的」があります。つまり怒りをぶつける「人」と、その人に対して何らか達成したい「コト」があるということ。
「目的」のコトで言うと、相手を支配したい、主導権を握りたい、自分を守りたい、正義感を発揮したい、などです。
そして、「怒り」は二次感情と言われていて、実はその手前に別の一次感情があるのです。例えば「はやく勉強しなさい!」と怒っているお母さんには、その感情の前に「子供の学力を心配している」という一次感情があるのです。
このケースでいうと「心配」が実は大切なのですが、怒る方も怒られる方もここに気づいてないケースが多いのです。お母さんが怒れば怒るほど子供も意固地になり、反発し、すれ違います。怒りと向き合う時はその手前にある一次感情が何かに目を向けることが大切です。
怒りとの付き合い方
怒りには「信念」が影響してる事が多いです。「◯◯すべきだ!」という自分の信念に沿って考えると、「許せない!」となって怒るのです。義務感が強い人は特にこの傾向があります。
そこで、うまく怒りと付き合う方法の一つが「信念を緩める」という事が挙げられます。すべきだと思うハードルを下げること。自分の信念が必ずしも正解という事もありません。客観的に、冷静に考えて、「信念を緩める」事で、怒りの感情は出にくくなります。
さらに、義務感を感じない環境に身を置くという事も大切です。仕事でいうとそもそも余計な仕事を受けないというのも手です。ある仕事の要請が来た時、自分よりも生産性高くできる人がほかにいるなら、はっきりと「NO!」と言って別の人に振ることも時には大切です。
人は心のどこかで「好かれたい」「嫌われたくない」という承認欲求があります。だからなかなか断れません。しかし、この欲求に囚われると過剰に仕事を請け負ってしまい、義務を抱えがちです。結果、その義務から自分の信念に外れた時に怒りモードが発動してしまいます。
そもそも義務を負わないことで、怒りの感情が生まれる発生源を断つこともとても有効です。
怒りの伝え方
信念を緩める、義務を負わない、といった対応でなるべく怒らない環境に身を置きましょう。とはいえ、それでも怒る時はあります。
人は怒る時、「お前はなぜ◯◯なんだ!」と主語が相手の人になります。そうなると相手も感情的になります。先に挙げた親子もそうです。その主語を人ではなく、問題そのものに向けることで建設的な会話ができます。
怒るのではなく注意を届けるという感覚。先の子供を叱る親のケースでは、「私はお母さんとしてあなたの学力を心配している」という、youではなくIを主語にすること。そして、「あなたが悪い」ではなく、「どうすれば前向きに勉強できるか?」という問題そのものに対して問いを立てて一緒に考える、注意を与える、こうした態度をとることで怒りから解放されたコミュニケーションができるのです。
まとめ
感情は自分ではコントロールできるものとできないものがあります。その中でも情動はコントロール可能な感情。コントロールできるものは上手に扱いたいものです。
情動の中でもケアすべきなのが「怒り」です。怒りは出し方を間違えるとコミュニケーション上大きなデメリットになり得ます。
怒りは二次感情であり、大切なのはその手前にある一次感情。怒りのベースになっている感情が何かに気づくこと。どうしたいから自分は怒っているのか、その怒りの原因に意識を向けて、建設的に会話したいものです。
そして怒りは義務感による信念から外れた時に芽生えがちです。であれば、そもそも義務を背負わないこと、そして凝り固まった信念を緩めることで怒りのほとんどはなくなります。
怒りを伝える時は「怒る」のではなく「注意する」というスタンスで、主語をyouではなくIに変えて伝えましょう。そうすることで、お互いストレスの少ない前向きなコミュニケーションが取れます。
コントロールできる感情があると知っておくことは、自分の気持ちを整える幅が広がります。上手に自分の感情と向き合い、穏やかな気持ちで日々を送りましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【最後に(お知らせ)】
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