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お金の匂いを嗅ぎ分ける男の話 ペらぽう日記Ver.2\384

紙幣には独特な匂いがある。お金になる話の匂いも嗅ぎ分けられると言う男は偽札の見分け方までレクチャー…匂いに釣られたカモは?


お金の匂いをかぎ分ける人


💵💶💷💴💸ドル紙幣を初めて手にしたとき

なんとも言えない独特な匂いがすることに驚いた。
「インクと紙とほんのり汗の混ざったような香り。」
日本の紙幣にはほとんど匂いがないので
日本銀行京都支店の準備室で何億円単位で積み上げらた新札はほぼ無臭だった。
「お札が一億円ごとにビニールにくるまれていた」からだが
お札には「〇〇銀行▽☆支店」などと無造作に書かれたボードが
差し込まれていた。

「ササニシキ30kg2万円」と書いた札に取り替えたら
精米所の店頭のようであった・・・
「いくらお米が高価になってもあれほど厳重に警備員はつかないだろうが」



先進国でなくとも紙幣の管理は徹底されている。
前職で「アフリカ銀行本店」の金庫室へ何度も入った。

なぜ小官がそこへ普通に闖入できたのかは謎だ・・・
しかしほら話だとすれば「元同僚の3名」がバラすだけでウソが簡単に判明する。
いくら小官でもそんな単純な嘘はつかない。

金庫室担当者は壮年の恰幅のよいボスと
手下のボブ・サップを20年前に戻したような屈強な若者で
「空手を教えてくれ」といつもすり寄ってきた。
裏拳の小指・薬指のつけ根まで相手を観察しているとは油断がならない。

発展途上国の紙幣そのアフリカの小国はでも…どうにもひどい状態だった!? これでもか!と
使い古され手垢にまみれカビくさく…酸っぱい匂いがした。

アチコチ…セロテープで補修された札束が本店営業部でも平気で払い出される。

「新札はないのか?」と聞くと
「新札はみんな自分の古いお札と取り換える」との事
良貨は本当に駆逐されている。


アフリカの某都市の両替店の前には
「正規ではない両替あきんど」が複数常駐する。

両替商は日本ではとんと見かけない。
「銀行が両替商を兼務している」からだろう。

日本以外の国ではよほどへき地でないかぎり都市部では「大手の両替商」が立派な店舗で商っている。

アフリカの喧騒の中道端に座る中国系の男に声をかけられた。

「兵隊さんちょっと見ていかないか?」

男が広げたボロボロの布の上には
色とりどりの紙幣が並んでいた。
どうやら各国の通貨を交換しているらしい。

両替商の交換率より2割ほど有利なレートで客を釣っているようだ。

「匂いを嗅いでみな。国ごとに違うのがわかるぜ」


興味本位で嗅いでみると確かに国ごとに異なる香りがある。
インドのルピーはスパイスのような香り
オマーンのリアルは土っぽい香り
そして米ドルはやっぱりアメリカっぽいインクの饐えた香りだ。

「お金の匂いってのは、その国の暮らしが染み込んでる」

なるほどと妙に納得した。
そのとき男はふとつぶやいた中国語で・・・。

「お金の匂いは違う意味でも使う!」
小生が少しだけ中国語が判るとは思っていなかったのだろう。

男はなぜかにやりと笑った。
片言の英語で

in this world who can smell the scent of a "profitable deal"

「世の中には「儲かる話」を嗅ぎ分ける人間がいる」

確かにそんな人間はいる。
儲かる話があると聞けば…理屈抜きで飛びつく者たちだ
仮想通貨ブームのときも…
ネットワークビジネスが流行ったとき…
そういう人々はこぞって群がり・・・

借金だけが残った


Who made the Plenty?

「だれが儲けたのか?」と尋ねると
男は親指を内側に向けた…

But  truly Plenty real money comes out, it's already too late.

「でも ホンモノのお金がたくさん出てくると もう手遅れだ」

おかしな英語だが…男の言葉にドキッとした。

That's why  know the "true smell" of money are strong.

「だから、お金の「本当の匂い」を強く感じる。」

「悪貨が良貨を駆逐する」それは古今東西を問わない。
発展途上国では
綺麗な新札はすぐに銀行や裕福な層がネコババするから
一般人の手に渡らない。
古くてボロボロの札ばかりが市場を回り続ける。
そんな市場に新しい札があれば・・・匂いを嗅ぎつける者が群がってくる。

使い古された札ほど安心な理由がそこにある

それが
「高級ホテルや銀行でもピカピカの新札にはお目にかかれない」
理由なのだ。

ピン札を喜ぶ風習は日本や韓国など一部の国の文化だが
「それは基本的にお上がズルをせず新札だって市場に流通する」
と庶民が信じているからだ…

「通貨の信認」

という空虚な言葉が日本ではまかり通る。

そんな日本だから

観光客が諸外国から押し寄せてくる???


中国系の男は

That's why I collect money. Where money is spent gives you insight into the economy.


「だから俺は紙幣を集める。金がどこで使われるかで行先が見える」

そこで彼はにやりと笑いながら一枚の紙幣を取り出した。
驚くほど綺麗な2009年発行のUSD100紙幣

remember, counterfeit bills are always cleaner.

「覚えておけよ。偽札ほど綺麗だ」

そう言いながら彼は指で札をこすり光にかざしてみせた。

その札はまるで印刷したてのように綺麗だった。

ピカピカの新札を疑わない文化!
そしてほとんど匂いのしない日本の新札

彼が本当に「お金の匂いを嗅ぎ分ける」男だったのか?
それともただの詐欺師?
今となってはわかるはずもない。

しかし…ひとつだけ確かなことは……。

匂いに釣られて…カモにされる上客は世界中にいる。


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海尾守 中2病
チップのお返しは・・・なにができるのか?思案橋です