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読書企画:米原万里作品を読んでいく

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テーマを決めて読書すると発見や学びが増えたりします。米原万里さんの作品が好きで少しずつですが読み進めています。米原さんの著作について語る人は今もいるので、そんな皆さんの投稿を集め…
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記事一覧

読書日記1『不実な美女か貞淑な醜女か』米原万里

読書日記1『不実な美女か貞淑な醜女か』米原万里

読書日記の第1冊は、敬愛する米原万里さんの著書です。
『不実な美女か貞淑な醜女か』

私と米原万里
国語教師である私も、かつては野球少年で読書などしていませんでした。そんな私が「たまには本でも読むか」と思い、親の本棚から何気なく手に取ったのがこのエッセイでした。
エッセイというと、エライ実業家が聞きたくもない成功談を語ったり、どこぞの評論家が一方的に体験談を語るようなイメージもあるかもしれませ

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東大卒⁈the fuu・Mioが選ぶ「おこもり最適本」。5選。

東大卒⁈the fuu・Mioが選ぶ「おこもり最適本」。5選。

こんにちは、the fuuのMioです!

最近はなかなか外出しづらい風潮があり、家で過ごしている方も多いかと思います。

そんな私も、いろんな予定がキャンセルになってしまいました…時間ができたのでNetflixで最近『ネクスト・イン・ファッション』を見始めました。中高生の頃、アレクサ・チャンの着こなし(トラッドだけど、一癖あるスタイル!)が大好きだったな…。そんなノスタルジーに耽りながら何日

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書評1 「ヒトのオスは飼わないの?」米原万里=著

書評1 「ヒトのオスは飼わないの?」米原万里=著

タイトルからするに女性目線の男性論的な内容を想像しがちだが、この本は作者である米原万里氏が飼っている犬や猫についてのエッセイである。人間の男女の色恋沙汰は全然出てこない。書籍タイトルの「ヒトのオスは飼わないの?」は、米原氏が飼っている犬や猫がどんどん増えていることを恩師に宛てた年賀状に書いたところ、「早くヒトのオスを飼いなさい」とパートナーを見つけることをせかされたことに由来しているとみられる。な

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ブラックユーモアと生きるための知恵 『旅行者の朝食』 #255

ブラックユーモアと生きるための知恵 『旅行者の朝食』 #255

この記事は、個人ブログに移しました。ご了承ください。よかったら、こちらのリンクからご覧ください。

現在、noteで記事の更新は行っていません。理由はこちら↓

『姉・米原万里』井上ユリ

『姉・米原万里』井上ユリ

Instagram 2019 January 28

「ねぇ、ニキビの芯とって」と女友達が妹に頼んでいて驚いたことがある。私には弟がいるけれど、弟にそんなことを頼んだことはない。考えられない。姉妹ってそんな付き合い方をするのか!と衝撃を受けた。仲が良くても悪くても同性だと密度が濃いのかもしれない。

私の好きな米原万里について、妹のユリ(夫は井上ひさし)が振り返り補足する本。子供の頃、ロシア語がわ

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ハルヴァとリガの市場

 米原万里さんのエッセイ「旅行者の朝食」に収録されている、「トルコ蜜飴の版図」。ハルヴァという中東のお菓子に関する話である。いわく、油脂とナッツで麦こがしのような味がして、とにかくとてもおいしい、らしい。
ラトビアの首都・リガの中央市場で見つけたそれは、想像よりも華やかで、種類もとても多かった。その店で売られていたハルヴァは大きく2つに分かれ、ごま油ベースのものとひまわり油ベースのもの。そこにピス

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最近読んだ当たり本10選

最近読んだ当たり本10選

転職して早2ヶ月半。
もう2ヶ月半、まだ2ヶ月半。
体感が追いついていないような変な感覚です。

最近当たり本が多かったので、読書量で健康を振り返りつつ推し本の紹介もしようと思います〜

読書量で健康を振り返る気が向いたときにこの遊びをするのですが、遊び始めて2年あまり経ちました。

記録から推測するに、読書量が増える傾向にあるのは…
・恋愛不安定期(現実逃避)
・興味大爆発期(digモード)

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『鎌倉のマリ』創作ノート③ 死者の国を訪ねる言葉

本日初日を迎える『鎌倉のマリ』。

今生きている私が、死んだ人を思って書く文章は、死者へどのように伝わるのだろう、ということをふと思った。死んでいるのだから読めないし、伝わらない、というのがまあまっとうな考え方なんだろうけれど、私はいわゆる「まっとう」から外れた辺境の地の人間な気がするので、もうちょっと違う考え方を探ってみたい。

作家の小川洋子さんは「文章を書くということは、名前も顔もわからなく

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鎌倉のマリ 創作ノート②  どんな道のりであれ、自分1人の道

『鎌倉のマリ』の執筆のために、米原万里さんの著作をあらためて読み直した。米原万里さん自身のエッセイも小説も素晴らしいのだが、米原さんの妹さんによる著作「わが姉、米原万里」や、米原万里さんのホームページに載っている友人知人による米原万里エピソードの数々も、生前のエネルギッシュで血の通った彼女を偲ばせて、「偉くて頭のいい作家さん、通訳さん」という位置から、米原万里さんをぐっと私の身近に引き寄せてくれた

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「鎌倉のマリ」創作ノート① 偉くない「私」が一番自由

今週末に、私の書いた新作『鎌倉のマリ』が上演される。
この作品は、上演団体である鎌倉アクターズワークショップさんの企画している、鎌倉の場所、人、もの、歴史や物語にちなんだお話をベースにお芝居を創り上演していく「鎌倉歳時記 夢十夜」というシリーズの第一作目だ。

鎌倉という土地は日本の歴史の舞台として、それこそ有名どころな場所や文化遺産がゴロゴロしているし、鎌倉ゆかりの有名人にもことかかない。誰を、

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2019/6/12 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」感想 / 他人事では断じてない

2019/6/12 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」感想 / 他人事では断じてない

以前参加した読書会で、次の課題図書として紹介されたのがこの本だった。結局その読書会にはそれきり行かず、だからその場でKindleで買ったもののしばらく読まずにいたのだけれど、ふとそういえば、と手にとったら、これがすごい本で、あっという間に読み切った。

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」の著者の米原万里さんは、両親の仕事の都合で、10歳から15歳までチェコのプラハ・ソビエト学校で学ぶ。本作はその時に

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*「姉・米原万里」(井上ユリ/井上ひさし夫人)

*「姉・米原万里」(井上ユリ/井上ひさし夫人)

… 1月4日に文春文庫の一冊として刊行。

【内容紹介】
ロシア語通訳、作家・エッセイストとして活躍した米原万里が、2006年に56歳の若さで世を去ってから10年以上の年月が経つが、その人気は今も衰えていない。
プラハのソビエト学校における少女時代を共に過ごし、その闘病生活も看取った3歳下の妹、井上ユリ(故・井上ひさし夫人)が綴る、食べものの記憶を通した姉・米原万里の思い出。プラハの黒パン、ペリメ

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5月25日。米原万里「よく聞きなさい、私は美人作家じゃなくて美人なのよ」

5月25日。米原万里「よく聞きなさい、私は美人作家じゃなくて美人なのよ」

米原 万里(よねはら まり、女性、1950年4月29日 - 2006年5月25日)は、日本の、ロシア語同時通訳・エッセイスト・ノンフィクション作家・小説家である。

日本共産党の幹部党員だった父の仕事の関係で在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外語大学ロシア語学科卒。東大大学院露語露文学専攻修士課程修了。共産党に入党したが、後に除名された。33歳頃から第一級のロシア語会議通訳として活躍。ペレストロイ

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本が本を呼ぶ

本が本を呼ぶ

人が人を紹介して、人づての紹介から人の輪が広がっていくのは楽しい。同じように本が本を紹介して自分の読書範囲が広がっていくのも楽しい。

昨年、井上ひさしさんの書評集『井上ひさしの読書眼鏡』を読んだ。この本で、井上ひさしさんは米原万里さんを絶賛している。そこまで言うならと、米原万里さんの本を1冊読んでみた。確かに面白かった。そこから米原万里さんの本を続けて読むようになった。(といっても読了5冊、積ん

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