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心如水中月

心如水中月

心は水中の月の如し
 『宗鏡録』(すぎょうろく)

【勝手な詩】 月の記憶

【勝手な詩】 月の記憶

月の光は夢の薄絹
窓の向こうで消えゆく幻影

夜の黒いカーテンが引かれ
星々は静かに囁くけれど
その声は遠く、届かない

窓から月が見えなくなった
それは悲しみの淵に沈む舟
夜空に穴を空けて、失われた時間を吐き出す

思い出たちは踊る
霧の中で、輪を描きながら
でも月は戻らない、今宵は永遠に閉ざされる

目を閉じてみると
窓の中にはまだ月が浮かぶ
しかし、それはただの記憶
柔らかい影が心に残るだけ

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【詩】月を殺す

【詩】月を殺す

窓辺には
男が切り取った月の欠片たちが
寂し気な輝きを放ちつつ
整然と並べられていた

彼は冷徹な瞳で月を刺し殺し
その刃は月を切り取りながら冷たく笑う

男はしかし
欠片たちを決して売ることはない
ただ窓辺に立つことが
彼の生の証

満月の夜も
新月の夜も
男は月を刺す

そして彼は肥え
生きるのだ

だがついにある夜
彼は月殺しのかどで
捕えられた

月を殺して生きるということは
男が予期でき

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君らにはまだわかるまいが、あれでいて月だってけっこうやりくりしているんだ。
もう少し、月のおかげってもんを知らなきゃいけないね。
―レイ・ブラッドベリ―
#ルナティックス

月のことならイルカが知っている。
かれらは月の出を待ちかまえて みんな一緒に海の淵から顔を出す。
ジョン・リリー

月の謎かけ

月の謎かけ

部屋は一面、月の光にさえざえと照らされている。ここは何もかももとのままだった。 椅子、鏡、黄色い長椅子、額入りの画。大きな丸い銅紅色をした月が、まともに窓からの ぞいている。
「これは月のせいでこんなに静かなんだ」とラスコーリニコフは考えた。「月はいま、きっと謎をかけているんだ」。彼は立って待っていた。
ドストエフスキー『罪と罰』

月見る月

月見る月

残暑がなかなか
フェイドアウトしてくれない9月。
それでも、季節は中秋へ。

お月見の日とされる、中秋。
明日 9/17 は、満月手前の、
ちょっぴり欠けた名月になるのですね。
「待宵月」という美しい名前も持っています。

翌日、うお座で満月になるそれは、
今年二番目に大きい満月だそう。

もし見逃しても、来月半ばにも名月あるし笑
10月は、今年最大のスーパームーンも。
これまた楽しみです。

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つきかげしぐさ

つきかげしぐさ

お月さまをのぞくと
あなたの顔がみえる

あなたの顔をのぞくと
わたしの顔がみえる

わたしの顔をのぞくと
くらい夜がみえる

くらい夜に
月をみることはできない

でもそれは
雲にかくれているだけ

みえないところで
いつも輝いていて

雲のすきまに
あなたの顔がみえる